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ディズニーCEO、観客のマーベル疲れを否定 「素晴らしい映画をつくれば人は集まる」 ─ 『オッペンハイマー』を「その完璧な例」と絶賛

ボブ・アイガー
Photo by Thomas Hawk https://www.flickr.com/photos/thomashawk/20667236976/ Remixed by THE RIVER

マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)は始まって以来の窮地に立たされている。映画『アントマン&ワスプ:クアントマニア』(2023)や『マーベルズ』(2023)は興行・批評的に厳しい結果となり、ドラマ「シークレット・インベージョン」(2023)なども高予算に対してファンの支持を得られなかった。

現在のハリウッドでは、スーパーヒーロー作品や巨大フランチャイズに観客が疲労しているとしばしば語られる。『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)までは盤石の構えだったMCUが急速に支持を失ったのもそれが原因のひとつではないか、と。

もっとも、ウォルト・ディズニー・カンパニーのボブ・アイガーCEOはこれに異論を唱えている。2024年3月5日(米国時間)にサンフランシスコで開催されたカンファレンス・イベントに登壇したアイガー氏は、MCU映画33作が約300億ドルの興行収入を記録したのは「偶然ではない」と語ったのだ。

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「観客が疲れているのだと考える人もたくさんいますが、それは違います。観客は素晴らしい映画を求めているのです。素晴らしい映画をつくれば、観客は集まってきてくれる。ディズニーにしろ、そうでないにしろ、前例は数えきれないほどあります。」

ここでアイガー氏は、クリストファー・ノーラン監督の最新作『オッペンハイマー』を「見事な映画であり、その完璧な例」だと評した。たしかに、物理学者の半生を描いたR指定の伝記映画が全世界で9億5,700万ドルという異例の大ヒットとなったのは、作品のクオリティがあってのことだろう。

オッペンハイマー
© Universal Pictures. All Rights Reserved.

以前から明かされているように、すでにアイガー氏はMCU作品の製作本数を映画・テレビともに削減。「(削減の決断は)非常に重要なことですが、私はチームにも、またIP(知的財産)にも満足しています」と述べ、数年後の未来を見据えて多数のプロジェクトについて議論したことを認めた。

「自分たちが信じられないものは止めなければいけません。しかし、それは簡単なことではないのです。なぜなら、すでに始動している企画があり、資金は戻らず、また従業員やクリエイティブ・コミュニティとの関係もあるから。しかしそれでも厳しい決断を下さなければならないし、実際に決断してきました。公にはしていませんが、十分ではないと判断したプロジェクトはいくつか中止しています。」

そんな中、フィルムメイカーやクリエイターとは「美徳と尊敬の文化をつくることが大切」だとアイガー氏は言う。彼らと同じ時間を過ごし、製作中の映画を観ては改善につながるメモを具体的に書くこと。製作のあらゆるプロセスに関与し、監督やキャスト、脚本にもきちんと注目すること……。

現在、アイガー氏は「集中することが大切」だと話す。“俺ちゃんがマーベルの救世主に!?”と銘打たれた『デッドプール&ウルヴァリン』を皮切りに、MCUの華々しい復活は為されるか。

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Source: The Hollywood Reporter

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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