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『シビル・ウォー』後、キャプテン・アメリカとブラック・ウィドウの関係はどう変化したか ― 過酷な現実、恋愛は「ない」

映画『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016)において、ナターシャ・ロマノフ/ブラック・ウィドウは、アイアンマンとキャプテン・アメリカ、ソコヴィア協定をめぐって二分されたチームの間で複雑な立場に置かれた。二人のヒーローをよく知る彼女は、それゆえに双方の心情と立場に思いを巡らせ、結果としてキャプテン・アメリカにやや与することとなる。

『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』の予告編で、ブラック・ウィドウは髪色をブロンドに変え、従来のイメージを刷新して登場した。シビル・ウォー以後、彼女とキャプテン・アメリカの間には何があったのか。二人の関係性の変遷を、キャプテン・アメリカ役のクリス・エヴァンス、そしてブラック・ウィドウ役スカーレット・ヨハンソンの言葉から紐解きたい。

注意

この記事では、映画『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』の内容に言及しています。

お互いを理解し合う、ドライな関係として

『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』の物語は、『シビル・ウォー』から約2年後が舞台になっているという。米国で刊行されたコミック“Marvel’s Avengers: Infinity War Prelude”では、ヒーローとして活動しなくなったスティーブ・ロジャース/キャプテン・アメリカが、ナターシャやサム・ウィルソン/ファルコンとともに反テロ活動の最前線を戦っている様子が描かれていた。

米Entertainment Weekly誌のインタビューで、エヴァンスとヨハンソンは「態度の硬化」という言葉を用いて二人の友情を説明していた。一方で、2017年夏に撮影現場で行われたインタビューでは、よりドライで、しかしお互いを深く理解する両者の関係がヨハンソンの口から語られている。

「『シビル・ウォー』から『インフィニティ・ウォー』の間、スティーブとナターシャは一緒にいたんだと思います。二人は悟られないように、今でも自分たちのやり方で自分の仕事をしていますよ。アンソニーとジョー(・ルッソ監督)は、この映画に出てくる時点の彼らが、ちゃんとオイルを差した機械のようなものだと説明してくれました。」

「機械」という言葉から、二人の間に流れる、決して感傷的/感情的ではない関係性を察することは容易だろう。キャプテン・アメリカとブラック・ウィドウは、過去作品にもみられたドライな関係性を決して損なってはいないようだ。しかし二人の置かれている環境は、それだけではあまりにも過酷だったのかもしれない。

二人のコミュニケーションはスムーズですが、お互いに硬くなっていると思いますね。長い間隠れて仕事をしていると、励ましの言葉や正しい評価が必要じゃなくなっていく。大切なもののために戦っていても、巨大な組織や社会全体から評価や支援を受けることさえない。これが二人に負荷をかけていると思うんです。」

またヨハンソンは、ブロンドになった髪色には『シビル・ウォー』以降の物語を示唆したいという意図があることも明らかにしている。本編でどこまで描かれるかは定かでないが、『シビル・ウォー』以降の時間は、二人の関係性や個人のあり方に現れることになるだろう。なにせキャプテン・アメリカのボロボロになったスーツには、傷ついた個人の姿が象徴されているというのだ。

キャプテン・アメリカとブラック・ウィドウ、恋愛感情は

むろん、そうしたハードな環境下で二人の間に“いい空気”が流れることはなかったようだ。米Entertainment Tonightのインタビューにて、ヨハンソンは「二人の間に恋愛感情が生まれたことはないと思いますね。ないでしょうね…ガッカリさせて、ごめんなさい」と述べたのだ。エヴァンスはこの言葉に強く同意しつつ、また別の角度からコメントしている。

「僕もそう思いますが、そこに役割はあったと思いますね。お互いに埋める隙間があって、お互いに壊れてしまった信念に向き合わなくてはならなくて、いろんな理由でお互いに寄りかかってきたんじゃないかって。キャップはブラック・ウィドウをあらゆる部分で尊敬していると思います。彼女は(キャップよりも)少し賢くて、経験豊富で、現実の世界に冷淡ですからね。」

エヴァンスによれば、スティーブ・ロジャースという人物は「歳を重ねるごとに幻滅している」だという「この世界は、こうあってほしいと自分が望んでいるようなものではないのだと学んでいるんです。」

『スパイダーマン:ホームカミング』(2017)では、『シビル・ウォー』を経たキャプテン・アメリカが追われる身であることが明らかにされている。地下に潜って活動することを余儀なくされたキャプテン・アメリカとブラック・ウィドウは、お互いを信頼し、理解し、支え合いながら、過酷な現実を生きてきたのだろう。しかし闇の帝王サノスが到来しようとする今、そんな二人の再起も近い……。

映画『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』は2018年4月27日より全国ロードショー

Sources: Comicbook.com(1, 2), ET

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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