Menu
(0)

Search

【特集】ブラックパンサー、オコエ、シュリ ― 『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』カギを握るワカンダの人々

2017年11月、映画アベンジャーズ/インフィニティ・ウォーの予告編が初めて公開された際、世界中のファンが驚いたに違いない。当時まだ公開されていなかった『ブラックパンサー』(2018)の舞台であるワカンダに、キャプテン・アメリカやハルク、ブラック・ウィドウといった大勢のヒーローが登場し、ブラックパンサーやワカンダの兵士たちと共演を果たしていたのだ。

その後公開された映像や情報からは、どうやらワカンダが本編で重要な意味を持ちそうなことや、若き国王ティ・チャラ/ブラックパンサーや親衛隊ドーラ・ミラージュの隊長オコエ、そしてティ・チャラの妹にしてトニー・スタークをしのぐ天才科学者シュリが大きな存在感を示すであろうことがわかってきた。
しかし物語の詳細が明かされていない以上、彼らが本作でどんな活躍を見せるのかは今ひとつ掴めないままだ。本記事では、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』でワカンダに与えられた役割や、「チーム・ワカンダ」とも呼べそうな3人の動向に迫っていく。

注意この記事では、映画『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』『ブラックパンサー』のネタバレ、および『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』の内容に言及しています。

『シビル・ウォー』から『ブラックパンサー』

『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016)で初登場したティ・チャラ/ブラックパンサーは、父親であり国王のティ・チャカをバッキー・バーンズ/ウィンター・ソルジャーが企てた(と思われていた)テロ事件で失い、復讐に燃えるキャラクターとして描かれていた。バッキーの身柄を追い、ブラックパンサーはトニー・スターク/アイアンマン側に付いてキャプテン・アメリカらと戦ったのである。しかし最後には、事件の真犯人だったヘルムート・ジモに生きて罪を償うよう求める。復讐が連鎖した末にヒーローが分裂する様子を目の当たりにし、彼はその連鎖を自分で止める決断をしたのだった。

つづく『ブラックパンサー』では、若き国王のこうした決断が、長きにわたって自国の真実を明かしてこなかったワカンダを変えることになる。希少資源ヴィブラニウムが豊富に採掘され、高い技術力を誇るワカンダは、かつて王族の一員がアメリカにもうけた“知られざる”王位継承権の持ち主エリック・キルモンガーから“復讐”を受けたのだ。自国の技術と資源を、苦しむ人々を守るべく攻撃に転用しようと考えたエリックに、ティ・チャラは真っ向から対立。戦いが終わった後、ティ・チャラは諸外国に真実を告げ、人々への援助を行うことを決定する。

ブラックパンサー
『ブラックパンサー』より ©Walt Disney Studios Motion Pictures 写真:ゼータイメージ

そして『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』へ

では、なぜヒーローたちは開国まもないワカンダを目指したのだろうか? その問いへの回答として、アンソニー・ルッソ監督は「キャプテン・アメリカは、ヴィジョンをワカンダに連れてくるという決断を下すんです」述べる
史上最凶のヴィラン・サノスが求める6つのインフィニティ・ストーンのひとつ、マインド・ストーンを額に埋め込んだヴィジョンを守るため、地球側はワカンダを最後の砦として選ぶのだ。ワカンダは国外から真の姿を隠すことができるほか、長らく隠し通してきた資源や技術力、兵力をもつ。数多のヒーローがこの地に結集するのは、すべてサノスと対決するためなのだ……。スティーブ・ロジャース/キャプテン・アメリカをティ・チャラらが出迎えるシーンは、そうした経緯の上に成り立っているのである。

国と王座を守るという使命を担う、親衛隊ドーラ・ミラージュの隊長オコエは、本作で新たなヒーローと出会い、未知なる存在との対決に臨むことになる。演じるダナイ・グリラは、今やワカンダとドーラ・ミラージュが大きな岐路に立っていることを解説した

「(ワカンダの)千年前の祖先が作った産業、伝統、儀式、組織は厳重に守られてきたもので、オコエもそれらを背負っている。国の機密情報や軍隊を任されていますからね。[中略]ドーラ・ミラージュには、王座を守らなければならないという責任もあります。
(『ブラックパンサー』を経て)彼女たちは、
国境を開き、自分たちが何者かを知らしめるという変化を経験しなければなりません。その準備ができている人たちもいますが、オコエはまだなんです。(ヒーローの来訪にも)慎重なんですよ。失敗しうることがどれだけあって、それらをどれだけコントロールできるのか、彼女は常に考えている。[中略]本能的に警戒しているし、不安なんです。ドーラ・ミラージュとしての使命は幼い頃から学んでいますし、オコエの使命はこの国を守ることですから。」

Writer

稲垣 貴俊
稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

Ranking

Daily

Weekly

Monthly