Menu
(0)

Search

マーベル『ブラックパンサー』妹シュリは16歳の天才科学者 ― 『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』登場、いずれ単独映画も?

ブラックパンサー
©Walt Disney Studios Motion Pictures 写真:ゼータ イメージ

マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の最新作、映画ブラックパンサーの見どころは、巧みなストーリーテリングをはじめ、主人公ティ・チャラ/ブラックパンサーやヴィランのエリック・キルモンガーの人物造形はもちろんのこと、魅力的なワカンダの登場人物たちにもある。

すでに本編を観た人にはお分かりいただけるかもしれないが、初登場にしてそのキュートさとクールさを炸裂させるのが、ティ・チャラの妹シュリだ。その驚異的な頭脳と豊かなキャラクターは、本作でブラックパンサーをサポートするだけにとどまらず、きっと今後のMCU作品でも重要な存在になることだろう。
そんなシュリ役を演じるのは、本作が初めての大作映画となる新進女優レティーシャ・ライト。本記事では、MCUにおけるシュリと同じように、おそらく未来の映画界を背負うキーパーソンとなるであろう彼女の言葉にも注目してみたい。

トニー・スタークを超える頭脳、衝撃の初登場

『ブラックパンサー』の主な舞台となるワカンダは、キャプテン・アメリカの盾にも使用されている世界最強の金属「ヴィブラニウム」の産出国。その事実を海外に伏せながら、ワカンダはその資源力と高い技術力を活かして都市を開発しており、表向きは途上国でありながら、実際には他国の追随を許さない発展を実現しているのだ。

本作のプロデューサーを務めるネイト・ムーア氏をもって「我々よりも20~25年進んでいる」と言わしめるワカンダにおいて、その技術開発を牽引しているのがシュリである。2017年2月、ムーア氏は彼女の特徴をこのように説明していた

「シュリは世界で一番賢い、トニー・スタークよりも賢いんです。けれども彼女は16歳の少女で、そこが面白いところなんですよ。」

MCUにおいてロバート・ダウニー・Jr.が演じるトニー・スタークは、億万長者の天才発明家・実業家にして、その技術を結集したスーツによってアイアンマンとしてのヒーロー活動を務める人物。キャプテン・アメリカとともにアベンジャーズを束ねるポジションを担ってきた彼よりも「賢い」という設定からも、その重要度がうかがえるだろう。実際に『ブラックパンサー』では、全編にわたってその能力がストーリーのカギを握っているのだ。

コミックにおいて、シュリはティ・チャラの負傷を受けてワカンダの君主を務め、自らブラックパンサーを名乗ることにもなっている。そんなキャラクターを実写映画で演じるにあたって、女優レティーシャ・ライトはあることを心に決めていたようだ。

「とにかく脚本に書かれていることにこだわりました。ライアン・クーグラー(脚本・監督)やジョー・ロバート・コール(共同脚本)がやろうとしていたことを信じていたんです。それから、コミックは読みませんでした。シュリがワカンダでいかに重要な役割にあるのか、その事実に圧倒されたくなかったんです。」(米Los Angeles Times誌)

世界中に熱狂的なファンがいるからこそ、コミックは読まず、映画版の目指すところを追い求める。本作を“MCU版ジェームズ・ボンド映画”にしようというライアン監督のアプローチについても、『007』シリーズでボンドをサポートする科学者に言及しながら「シュリはティ・チャラにとっての“Q”です。彼のそばにいて必要なテクノロジーを提供するんです。すごくカッコよく手助けするんですよ」述べているのだ。

ただし、シュリは天才科学者である以前にワカンダの王女でもある。そんな特殊な役どころについて、またティ・チャラや家族との関係性について、レティーシャはどのように解釈したのだろうか?

「彼らはお互いに大きな愛情と忠誠心を抱いていて、支えあっているんです。ティ・チャラはシュリを理解しているし、シュリも彼を理解している。王族ですけど、共感できるところがありますよね。いいチームですよ。[中略]シュリはティ・チャラの世話をして、彼を守って、それから真実を語ることもあるんです。」(LA Times)

一連のコメントが示しているように、彼女の演じるシュリは天才科学者としてのクールさ、王女としての気高さ、そして妹や少女としての無邪気さを見事に兼ね備えている。登場するたびに、きっと観客はその魅力に目を奪われることだろう。
ちなみに英Total Film誌によれば、レティーシャにはこの役柄を通じて伝えたいメッセージがあるそうだ。

「シュリがみなさんの助けになれたらと思います。もしもあなたがすごく賢かったり、知性的だったりしたら、学校で“お前、オタクだな”とか、イヤなことを言われているかもしれません。この映画を観て、“賢いことや科学ができること、数学が得意なことは全然悪いことじゃないんだ”って思ってもらえたら。」

Writer

稲垣 貴俊
稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

Ranking

Daily

Weekly

Monthly