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【特集】雷神ソーの謎めいた冒険とは ― 『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』でガーディアンズと新たな船出へ

思えばマーベル・シネマティック・ユニバースにおいて、『マイティ・ソー』シリーズほど変化に富んだ3部作もないだろう。ケネス・ブラナーを監督に迎え、ウィリアム・シェイクスピア作品を彷彿とさせる重厚なトーンを見せた第1作、思い切ったファンタジーに軸足を置いた第2作、そして軽やかなSFコメディへと急旋回した第3作。波乱万丈の冒険を経て、アスガルドの雷神ソーは新たな旅路へと踏み出す。

映画アベンジャーズ/インフィニティ・ウォーにおいて、ソーに与えられた役割や、その冒険の詳細はほとんど明かされていない。予告編ではガーディアンズ・オブ・ギャラクシーとの対面が印象的だが、彼は史上最凶のヴィラン、サノスを相手にどんな戦いを見せるのか? 本記事は、そのささやかなヒントを集約する形でお届けしたい。

注意この記事には、映画『マイティ・ソー バトルロイヤル』のネタバレ、および『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』のネタバレと捉えうる情報が含まれています。

サノスとの対面、新たな冒険

『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』におけるソーの物語について記す前に、まずは『マイティ・ソー バトルロイヤル』(2017)の復習から始めなければならないだろう。宿敵ヘラとの死闘の結果、ソーはヘラを退けることに成功するも、故郷のアスガルドを失うことになる。父親オーディンが治めていた土地は完全に失われたが、オーディン自身が口にしたように、アスガルドとは「人」なのだ。ソーやロキ、ヘイムダルらは民衆を乗せた脱出船で地球へと向かう……。

しかしポストクレジットシーンで、ソーの乗る脱出船の前に超巨大な軍艦が現れる。公開されている同作の脚本によれば、この軍艦こそがサノスの乗る「サンクチュアリII」。ロキがアスガルドからスペース・ストーンを持ち出してきた以上、アスガルドの人々に危機が迫っていることは明白だ。ソーの新しい冒険とは、まさにここから始まるようである。アンソニー・ルッソ監督は、「ソーのストーリーを『マイティ・ソー バトルロイヤル』の結末から再開することにしました」明言した

「彼の故郷である惑星アスガルドは破壊されてしまった。つまり言うなれば、ソーは新たな領域にいるわけです。過去を奪われてしまったわけですから。」

さらにアンソニー監督は、現在のソーと『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』(2014)のキャプテン・アメリカを比較してこうも語っている。

「(『ウィンター・ソルジャー』で)キャプテン・アメリカは現代の世界に放り込まれて、自分がそうなった意味を求めていた。[中略]ソーにとって、この映画(『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』)はそれによく似た機会だと思います。彼は大胆に変化して、決して戻れない道のりを前に進んでいくんです。」

この言葉を補強するのは、ジョー・ルッソ監督の「(ソーは)とっても重要なキャラクター」だという発言だ。ジョー監督は「非常に感動的な物語があります。[中略]『マイティ・ソー バトルロイヤル』と本作を経て、観客のみなさんから、彼は重要なマーベル・キャラクターとして注目されることになるでしょう」とも述べている。すなわち、ソーをめぐる物語の詳細こそわからないものの、その重要度だけは十分に保証されている状況というわけだ。

ソー役のクリス・ヘムズワースは、『マイティ・ソー バトルロイヤル』でタイカ・ワイティティ監督とともにソーの人物像を大胆に刷新した。ユーモアセンスを身につけたフレッシュなキャラクターは、本作でさらなる進化を遂げているという。
スポット映像からもソーはガーディアンズ・オブ・ギャラクシーと軽やかなやり取りを見せてくれる予感がするが、クリス自身、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』には非常に手応えを感じているようだ。

「僕たち、このキャラクターを何度も再発明している気がします。次の2作(『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』『アベンジャーズ4』)も含めてね。彼はまた進化しますよ。[中略]だから僕自身、真新しい興奮と熱意を感じています。たぶん、今までで最高だと思う。」

なお2019年公開『アベンジャーズ/エンドゲーム(邦題未定、原題:Avengers: Endgame)』をもって、クリスはソー役を卒業することを明かしている。ただし長らく親しんだ役柄を離れることに複雑な思いもあるのだろう、「契約としてはここまでです。僕の仕事は終わり」と述べながらも、「またやれるチャンスがあれば、是非やりたいですね」と再演の意欲も示していた

Writer

稲垣 貴俊
稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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