【全力擁護】ヒーロー映画史上最も自由な男、フーテンのトムさん世直し日記!『ジャック・リーチャー Never go back』弁護レビュー
予告編でほぼ全編公開してしまってるダイナーでの保安官とのやりとりや、飛行中の飛行機内でのアクション、ラストバトル前の敵との電話など、「ああいうのいいよね。」と思わず語りたくなる場面が散りばめられていますので、それだけでも十分お金を払った価値はあると思います。あえて今作の話運びに苦言を呈すならば、前作「アウトロー」は派手味を抑え、シンプルながらも地に足がついていた印象のストーリーでしたが、今作は展開がやや唐突で散漫な印象を受けます。要素が多いのは原作小説に起因するものかもしれませんが(邦訳小説発売が11/15ということもあり未読です)、限られた二時間で納めるならば、コビー・スマルダーズ演じるターナー少佐との恋模様のゆくえと、ダニカ・ヤロシュ演じるサムとの心の交流、同じくらいのバランスで同等に時間を割いて扱うのではなく、はっきり比重をサムとの関係に傾けたほうが今作のやりたかったことが明瞭になったのではないかと思います。
まあ何はともあれ個人的に今作で一番良かったところは、トム・クルーズのさわやかな笑顔が眩しいエンディング、「アメリカン・ヒーロー、再び旅路へ」という場面。まさに終わりよければ全てよし、と鑑賞してる側が否応なく納得できるのは、多少老いたとはいえまだ健在なトム・クルーズのスター力といったところでしょう。
ちょっとアンチ・トムクルーズ入っている方もダニエル・クレイグ版007でいうところの「カジノ・ロワイヤル」の後の「慰めの報酬」くらいの心づもりで鑑賞すれば大怪我はしないはず。ちょっとだけケチがついちゃったけど、どうかへこたれずに続編が製作されることを祈願して、弁護側の論証を終わりたいと思います。ご清聴ありがとうございました。