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君は、幻の『初代』ハリウッド版ゴジラを知っているか【主演はあの日本人俳優?】

ヤン・デ・ボン ゴジラ

2014年のギャレス・エドワーズ監督版『ゴジラ』、そして昨年の庵野秀明総監督・樋口真嗣監督の『シン・ゴジラ』の大ヒットにより、再び怪獣王として完全復活を遂げたゴジラ。今後も虚淵玄原案の謎のアニメプロジェクト『GODZILLA』が公開、ハリウッドではギャレス版ゴジラの続編、キング・コングと対決するスピンオフ作品など、ゴジラの驀進は止まりそうもない。

この大ヒットの裏側で度々やり玉に挙げられてしまうのが、ハリウッドが初めてゴジラを描いたローランド・エメリッヒ監督の1998年公開作品の『GODZILLA』だ。ここで描かれたのは、フランスによるムルロア環礁での核実験を機に産まれてしまった‟突然変異”のゴジラで、やがて海を渡りニューヨーク・マンハッタン島へと上陸。摩天楼を蹂躙する、というディザスター映画王のエメリッヒらしい破壊描写たっぷりの内容だった。

しかしオリジナル・ゴジラからは程遠いイグアナ状のゴジラにユーモアを超えてコメディになってしまったストーリー、大量のベビーゴジラと、散々な内容に本家ゴジラシリーズ内でも存在を否定され、今も批判を口にするゴジラファン、映画ファンは多い。

幻に消えた初代ハリウッド版ゴジラ

では、ここで一枚の画像を見てみよう。

「こんな怪獣、初めて見た」という映画ファンも多いだろう。実はこの怪獣、エメリッヒ版よりも以前に‟実現しなかった”初代ハリウッド版ゴジラなのである。

この造形は、『ジュラシック・パーク』の恐竜や『ターミネーター』の特殊造形で知られる故スタン・ウィンストンの手によるものだ。エメリッヒ版でパトリック・タトポロスがデザインしたゴジラに比べれば背びれや頭部のフォルムはオリジナル・ゴジラに近いが、細かい鱗でつるりとした体表、太い腕などの差異があり、人型に近い印象だ。

このゴジラをもってハリウッド初のゴジラ映画の監督に当たる予定だったのが、『スピード』『ツイスター』などヒット作を放ったヤン・デ・ボンだ。デ・ボンは以前よりゴジラファンを公言し、監督就任の際にもオリジナルに近付けるよう当時からハリウッドで主流となっていたCGによる表現を避け、着ぐるみによる撮影を行いたいと希望していた。その結果、必然的にウィンストンのコンセプトデザインが人型になったといえる。

しかし、この‟着ぐるみ”にこだわったことが逆に災いし、製作費が高騰することが判明。『スピード』では建設途中のハイウェイで実際にバスをジャンプさせ、『ツイスター』では竜巻で飛ばされた大型タンカーやトラクターなどを実際に地面に叩き落とすなど「本物指向」のデ・ボン監督。確かに着ぐるみでは破壊される街などを丸ごとミニチュアで作り上げ、失敗の効かない爆破や倒壊を延々と繰り広げなければならず、CG・VFX製作よりもコストとリスクが跳ね上がってしまう。これにスタジオが難色を示し、デ・ボンと対立。あくまで着ぐるみにこだわったデ・ボンは降板してしまった。

主役はなんとあの日本人俳優

しかし「もしもヤン・デ・ボン版が完成していたら」と思わずにいられなくなってしまうのが、キャスティングだ。デ・ボンが主演に念頭に置いていたのは、なんとあの高倉健だったのである。そんな馬鹿な、と思われるかもしれないが、実際にデ・ボンは撮影監督を務めた『ブラック・レイン』以降高倉健とは交友関係にあり、ロサンゼルスに招いてテスト撮影まで行っていたのだ。この辺りに関しては、高倉健という俳優とその生涯を追ったドキュメンタリー映画『健さん』の中で、デ・ボンがインタビューで高倉健との思い出を述懐する中でも触れている(高倉健がデ・ボンファミリーと一緒に収まる写真も披露し、彼の人柄を賞賛していた)。

残念ながらヤン・デ・ボン監督版『GODZILLA』は製作中止となり、紆余曲折を経てローランド・エメリッヒが監督の座に就いた。確かにエメリッヒ版への批判も解るが、着ぐるみによる特撮とCG描写を巧みに使い分けたビジュアルセンス、破壊描写は抜群で筆者は好きな作品だ。そして再びアメリカに上陸したギャレス版ゴジラは世界中でヒットを記録し、日本のファンにも受け入れられたのである。

その裏側で。ヤン・デ・ボンは『トゥーム・レイダー2』以降10年以上ディレクターズ・チェアーから遠ざかり、高倉健も鬼籍に入られてしまった。もはや決して実現することはないプロジェクトとなってしまったのが、幻の初代ハリウッド版『GODZILLA』なのだ。

Writer

ashimigawa

映画・映画音楽ライター。愛知県出身。
竜巻映画『ツイスター』で映画に覚醒。映画音楽に魅了されてからはサウンドトラックも買いあさり、映画と映画音楽漬けの日々を送る。

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