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J・J・エイブラムス、『スター・ウォーズ』レイの背景に独自構想あった?『最後のジェダイ』とは別の展開を想定か

スター・ウォーズ

ルーク・スカイウォーカーやハン・ソロ、レイア・オーガナといったおなじみのメンバーではなく、レイ、フィン、カイロ・レンなどの新キャラクターを中心に据えた映画『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(2015)。この作品を観た『スター・ウォーズ』ファンにとって、大きな話題となったのは「新たなるフォースの使い手、レイの両親は何者か?」というものだった。

『フォースの覚醒』で脚本・監督を務めたJ・J・エイブラムスは、どうやらその疑問に独自の回答を用意していたようだ。同作でアンカー・プラット役を演じ、脚本に協力したサイモン・ペッグが明かしている。

注意

この記事には、映画『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』のネタバレが含まれています。

J.J.エイブラムス
J・J・エイブラムス Photo by Gage Skidmore https://www.flickr.com/photos/gageskidmore/19679067265/

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J・J・エイブラムスが考えていた「レイの両親」とは?

「レイの両親は何者か」。この問いかけには、『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』(2017)において思わぬ回答がもたらされる。カイロ・レンがレイの手に触れた時、彼はそのビジョンを視るのだ。いわく、レイの両親は惑星ジャクーの名もなきジャンク業者。酒のためにレイを売り、今では墓の中で眠っている……。しかし、ライアン・ジョンソン監督による回答は、どうやらJ・J・エイブラムスの構想とは異なっていたようだ。

ポッドキャスト「Happy Sad Confused」に登場したサイモン・ペッグは、自身が『フォースの覚醒』に協力していた当時のエピソードをこう語っている。

J・Jが意図していた、少なくとも検討していたアイデアを知ってます。(『最後のジェダイ』で)それはちょっと変わっちゃったんですけど。僕は知らない、わかりません(笑)。アンカー・プラット(編注:サイモンが演じたジャクーのジャンク屋)が本物の父親だと思いますね。」

判断に困るのは、サイモンの言及している「J・Jのアイデア」が、J・J本人にとって確かなものだったとも言い切れないことだ。「レイに関する血統の話をしましたよ」とも述べられているように、二人がその話題を扱っていたことは間違いないのだが、結局どんな結論が導き出されたのかはサイモンも知らないという。

「正直に言うと知らないんです、誰が真相を知ってるのかもね。様子を見ることにしましょうよ。」

レイの両親、今後どう展開する?

今のところ確かなのは、J・Jがレイの両親について、『最後のジェダイ』とは異なる展開を構想していたことだけだ。『最後のジェダイ』のライアン監督は、自身が就任した時点でレイの両親が決まっていなかったことを明かしている。ライアンがJ・Jによる脚本草案を使用しなかったことから考えても、ルーカスフィルムはJ・Jの構想にライアンを縛るよりも、むしろ彼の作家性を重視したのだろう。そもそも3部作全体について、ルーカスフィルムは監修という立場を取りつつ、事前に大きなストーリーラインを決めていないという。

『最後のジェダイ』の公開当時、レイの両親が「何者でもない」という事実を決めた理由をライアンは語っていた。

「ダース・ベイダーとルークの“アイ・アム・ユア・ファーザー”(1980年『帝国の逆襲』)が成功した理由は、単なるサプライズやツイスト(ひねり)ではなく、ルークや観客が知りうる、当時最もつらい事実だったからだと思うんです。憎むべき人物、殺したいと思うような悪人が、突然に主人公の一部だと分かる。[中略]
僕たちの映画はその逆です。“なるほど、こいつとあいつの娘だったんだ!”っていうのは、レイや観客が知りうる中で最も生ぬるい答えですよ。願望を満たしてしまうし、レイをお膳立てして、簡単に居場所を与えてしまう。彼女にとって一番つらいのは、たやすい答えは手に入らないと知ることなんです。」

また、カイロ・レンが見た両親のビジョンについては「(カイロ自身は)あれが真実だと信じています。レイも、彼から伝えられたことを信じるんですよ」とのこと。

しかし、J・Jの構想が『最後のジェダイ』で採用されなかったように、ライアンが絞り出した回答も、J・Jが再び手がける『エピソード9(仮題)』で採用されるとは言い切れない。『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』でJ・Jが自身の草案を使用するとも限らないようだが、レイの両親をめぐる真相が再びひっくり返ることもありそうだ。なにせライアン自身、「すべてはまだ保留」述べているのである。

かつてルーク・スカイウォーカー役のマーク・ハミルは、ルーカスフィルムのもとで複数のクリエイターがバトンを繋いでいく製作スタイルをリレーにたとえていた。ともかく、「船頭多くして船山に登る」事態にならないことを祈るほかない……!

映画『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』は2019年12月20日米国公開予定
なお、『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』MovieNEXは2017年4月25日に発売される。

Sources: SR, HSC

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。