米ワーナー幹部、『ファンタスティック・ビースト』ジョニー・デップ裁判の悪影響を懸念 ─ 元妻アンバー・ハードは『アクアマン』

米ワーナー・ブラザースは、俳優ジョニー・デップと元妻アンバー・ハードの裁判が『ファンタスティック・ビースト』シリーズに及ぼす影響を不安視しているという。米New York Postが報じた。
ジョニーとアンバーは2016年5月に離婚。アンバーはジョニーから暴力(DV)を受けていたと主張したが、ジョニーはこれを否定している。裁判を経てジョニーは和解金700万ドルを支払っているが、アンバーの主張は虚偽の内容だとして、ジョニーはアンバーを相手に5,000万ドルの賠償金を求める名誉毀損訴訟を起こした。アンバーは「ジョニーの暴力は事実」として証拠写真を示したが、ジョニー側は証拠は捏造だと再び全面否定。過去にアンバー自身がDV事件を起こしていることなどから、アンバーから暴力を受けた人物への調査を進めるとしている。
ひとことに言って“泥沼化”しているジョニーとアンバーの裁判は、映画業界にも少なからぬ影響を与えることになりそうだ。今回の報道によれば、ワーナーが危惧しているのは『ハリー・ポッター』『ファンタスティック・ビースト』シリーズへの悪影響だという。ジョニーは『ファンタスティック・ビースト』でゲラート・グリンデルバルド役を演じており、ファンの間では、ジョニーを継続的に起用することについて「DVを肯定するのか」との批判もあがっている状況なのである。
New York Postは「ワーナー幹部は、ジョニーの問題で『ハリー・ポッター』に寄せられる批判にどう対処するかを思案している」と記した。特に女性幹部は、ジョニーの起用が世間へのメッセージとなることに強い懸念を示しているとのこと。ジョニーとの関係継続は企業の価値観を示すことになる、女性社員のモチベーションにもダメージを与えうる、という考えだというのだ。2019年3月、ワーナーの会長兼最高経営責任者であったケビン・ツジハラが、女優とのスキャンダルを理由に職を離れたことも同社にとっては痛手だった。また、『ファンタスティック・ビースト』がファミリー映画であるということも重要なポイントだろう。
しかしながら『ハリー・ポッター』の生みの親であり、『ファンタスティック・ビースト』の製作・脚本を務めるJ・K・ローリングは、さまざまな報道が出たあとも、ジョニーの起用を支持する発言を一貫して継続している。ジョニーがグリンデルバルド役を演じていることに満足しているのは原作者自身なのだ。この状況下で、ワーナーがグリンデルバルド役の再キャスティングへと踏み切るのは非常に難しいとみられる。『ファンタスティック・ビースト』第3作(タイトル未定)の撮影は2019年晩秋より実施される予定だ。
ジョニーとアンバーの裁判は二人のキャリアに大きな影響を及ぼしており、たとえばディズニーが『パイレーツ・オブ・カリビアン』のリブートに着手したのは、一連の出来事でジョニーのイメージが悪化したことも大きな理由とみられる(同企画は脚本家が離脱し、その後の状況は不明)。ただし、2019年4月時点でジョニーのDV疑惑はアンバーの主張する範囲にとどまっており、いまだ客観的証明がなされていないことも押さえておく必要があるだろう。「真実が不明瞭な段階から、企業や個人によって当事者が裁かれることは許されるのか」。この問題は#MeTooムーブメントのさなかにも語られたことであり、ここ最近は日本国内でも少なからず話題にのぼるものである。
ちなみにワーナーはジョニーのみならず、その相手方であるアンバーも『アクアマン』(2018)でヒロインとして起用している。世界的ヒットとなった『アクアマン』は続編企画が進行中で、こちらもファミリー向けシリーズとして展開されることになるだろう。今回、アンバーにもDV疑惑が浮上してしまっているわけだが、そちらは大丈夫なの…?
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Source: New York Post