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【ネタバレ】『ジョーカー』未公開シーンが判明 ─ ホアキン・フェニックスが気に入った場面もカットされていた

ジョーカー
TM & © DC. Joker © 2019 Warner Bros. Entertainment Inc., Village Roadshow Films (BVI) Limited and BRON Creative USA, Corp. All rights reserved.

この記事には、映画『ジョーカー』のネタバレが含まれています。

ホアキン・フェニックスが気に入ったシーン、カットされていた

以前、フィリップス監督は『ジョーカー』の編集作業について、ファースト・カット(初期編集版)は2時間35分という長尺だったことを明らかにしていた。そこから全体的に余計な部分をカットしていき、できるだけタイトに仕上げたのが劇場公開版。監督いわく、物語上の展開をバッサリと削除するという方法は採られていないという。

もっともフィリップス監督は、撮影したシーンを一切カットしなかったというわけではない。たとえば、ホアキン演じる主人公アーサー・フレックが、ピエロとして働く会社の同僚ランダル(グレン・フレシュラー)と2度目に言葉を交わすシーンがカットされている。映画の冒頭、アーサーが少年たちに暴行されたことを知ったランダルは、身を守るためだとアーサーに銃を渡すが、その後、2人が事務所の階段で話す場面が撮影されていたというのだ。そのシーンは、のちに会社をクビになったアーサーが、タイムカードを殴り、階段を下りながら途中の標語を書き換えるくだりに重なる内容だったという。

ジョーカー
(C)2019 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & (C) DC Comics

このシーンが削除されたことを残念がったのは、他でもないホアキンだった。米Colliderでは「僕たちは撮影中、あれは最高のシーンだと思っていたんです。そのシーンでの(アーサーの)行動もみんな大好きだったし、僕もずっと大好きなシーンだった」と語っている。「トッドに“あのシーンをカットする”と言われた時は、まずは“ちょっと待って、どういうことなの”って」。

しかしホアキンも、実際に編集された映像を観た後、「カットしなきゃいけないのは明らかだった」として、問題の箇所を削除する判断に賛成したそう。「これが映画の最高に良いところ。素晴らしいシーンができて、きちんと筋が通っている場面であっても、映画はそういうシーンの集積なのであって、(それぞれのシーンが)物語を語るために一体となっていなければなりません」。もっともフィリップス監督にとっても、アーサーとランダルの会話をカットするのは「心苦しかった」といい、その決断は編集作業の最終段階に下されたものだったという。

ジョーカー vs マレー、トークショーのシーンもカットされていた

たとえシーンの出来栄えが良かったとしても、作品にマッチしないために削除する。この判断は、映画のクライマックスであるマレーのトークショーのシーンでもなされていたという。ごく短いカットではあるが、マレーに招き入れられたアーサーが観客の前に登場するくだりも、あらゆる可能性を試したのち、やむなく削除するという結論に至ったというのだ。フィリップス監督は、演じたホアキン自身にすら見せていない幻のカットがいくつも存在することを明かしている。

「面白いところをカットしたんですよね。(ホアキンに)君にもまだ見せていないんだけど。(番組で)アーサーがマレー・フランクリンの前に現れるところです。マレーが“ジョーカーをご紹介します!”と言うと、カーテンが開いて、彼が出てくるんですが、(撮影では)毎回違うことを試したんです。映画の中では、彼は回ってから女性にキスをする。だけど“ジョーカーをご紹介します!”というところを編集したので。たぶん13回くらい撮ったんですが、全部違うことをしているし、すごく面白かったし、たくさん良いのがあったんですよ。“どうしてあれを使わなかったんだろう?”って思いもしましたね。」

ジョーカー
(C)2019 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & (C) DC Comics

また、シーンやカットそのものを削除したわけではないものの、残念ながら“ベストテイク”を本編で使えなかったケースもあった。アーサー/ジョーカーはマレーに怒り狂い、矢継ぎ早に言葉をぶつけ、最後にはマレーを撃ち殺してしまうが、アーサーがマレーに怒鳴る場面も一番良いテイクは本編に組み込めなかったというのだ。ホアキンは「単独ではすごく良いテイクだったんですが、その他のシーンと組み合わせるとうまくいかなかった。その前のテイクは、すごく良いとは思えなかったんですが、(編集すると)一番うまくいったんです」と語っている

ところで気になるのは、一連の未公開シーンがいずれブルーレイなどに収録されるのかどうかである。ところが、現時点であまりその望みはなさそうだ。フィリップス監督は「完全版とか、削除シーンとか、大っ嫌いなんですよね。理由があって削除してるわけだから」と語っている。「(完成した)映画は、まさに僕が作りたかったものになったし、削除したシーンをお見せすることはないでしょう」。Colliderのインタビューでは、そう発言したかと思いきや「いつか公開するかもね…」とつぶやき、「からかってるだけですよ」と述べている。

とはいえ、完全版や削除シーンが「大っ嫌い」だというフィリップス監督は、過去に『ハングオーバー』シリーズで完全版を製作し、削除シーンを特典映像に収録したことがある。つまり、今は「お見せすることはない」と言っているものの、今後気が変わる可能性もなくはないだろう。カットされたシーンを観てみたい人は、じっと朗報を祈ることにしよう。

映画『ジョーカー』は2019年10月4日(金)より全国公開中

Sources: Collider, AP

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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