まだまだ人気!『ジャングル・ブック』ネタバレありレビュー リピーター続出の理由は動物が可愛いだけじゃなかった!
むしろ同情します。
人間にとって火は上手く使えば恐ろしいものではありません。
ジャングルの動物にとって火は一番恐れるもので、特にシア・カーンにとっては目だけではなく、プライド(心)も傷つけられた痛みと恐れの象徴なのです。
そう考えるとシア・カーンは本作では見方によっては魅力的なキャラでした。
人間も、恐れから攻撃的になる人もいますよね。
キング・ルーイ
人間のずる賢い“傲慢さというエゴ”のシンボルです。
キング・ルーイの声はクリストファー・ウォーケンですね。
彼が歌っている『I wanna Be Like You』(君のようになりたい)は味わい深い歌声で、ここぞというシーンで使われ、心情がよく現れていて上手い演出でした。
2つの伏線と回収
ゾウ
バギーラから「ゾウは創造主(神)だから、お辞儀をして崇拝しないといけない」と教えられます。
その時、子どものゾウがチラッとモーグリを見るのです。
後に人間の道具を使ってこの子どものゾウを助けたモーグリ。
掟に従ったからではなく「ただ救いたかった」という本能的なもの、思いやりから動いたんですね。
これがまたラストにつながってきます。
死んだ木
冒頭、腐って折れそうな枝のことだとバギーラから教えられ、最後のシア・カーンとの戦いで活かされます。
モーグリの選択は?
ジャングルから出て村に戻ろうとしていましたが、アキーラが殺されたことを知ってシア・カーンと対決しようとするモーグリ。
赤い花を捨て、信念と自分の意志で戦おうとするモーグリの周りには仲間たちが集まってきます。
「ジャングルの掟は青空のように青い真実。掟を守るオオカミは栄え、破れば死あるのみ。
木に巻きつく蔓(つる)のように掟はゆきわたる。群れの結束はオオカミの力。オオカミの結束は群れの力。」
名シーンですね。
オオカミのようにトラに向かっていくモーグリに「人間として戦え!」とバギーラは言います。
モーグリはジャングルの掟の大切さを理解し、その上でバルーのような柔軟な考え方も学び、キング・ルーイの傲慢さも知りました。
この作品は、オオカミらしくでも人間らしくでもない、このジャングルという共同体の中で、自分が自分であること、「自分の生き方」を見つける旅路と成長の物語でした。
人間も、「女らしく」とか「男らしく」など「~らしく」などとよく言いますが、あまり意味がないのではないでしょうか。
人は生まれつき持っているものに加えて、赤ん坊から大人になるまでの間に、育った環境や出会った人から様々な考え方や価値観を刷り込まれます。
そんな“鎧”を脱ぎ捨て、本当の自分とは何か、どんな自分でありたいか、を探していくことが「生きる」ということなのかもしれませんね。
「出会いと経験は宝」だと改めて気づかされた作品でした。
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