ディズニー実写映画『ジャングルクルーズ』にゲイのキャラクターが登場か ― 真相不明も、キャスティングと設定に早くも批判起こる

ドウェイン・ジョンソン&エミリー・ブラント主演、実写映画『ジャングルクルーズ(邦題未定、原題:Jungle Cruise)』にゲイ設定のキャラクターが登場する可能性が浮上してきた。
このたび英国のタブロイド紙The Sunが取り上げているのは、エミリー演じるリリー・ホートンの弟にあたる人物。同紙によると、この人物はゲイという設定で、男らしくなく、ナヨナヨとした愉快なキャラクターなのだそう。関係者によれば、ゲイが社会に受け入れられていない19世紀を舞台とする本作の脚本は「大きなターニングポイントになる」という。
この情報が事実ならば、このキャラクターはディズニー映画において、史上初めて本格的に登場するゲイのキャラクターとなるだろう。実写版『美女と野獣』(2017)でジョシュ・ギャッドが演じたル・フウはゲイという設定だったが、物語上その設定がきちんと示されることはほとんどなかったのである。ただし留意しておきたいのは、The Sunがタブロイド紙であり、今回の情報が必ずしも確かな内容とは限らないということだ。正確な情報は公式発表を待ちたい。
しかしながら本件は、真実が明らかになる以前から、インターネット上で早くも大きな物議を醸すこととなってしまった。大きなポイントは、この人物を演じる俳優・コメディアンのジャック・ホワイトホールが異性愛者であることだ。
近年、ハリウッドにおいては“性的マイノリティの役柄には性的マイノリティの俳優を”という動きが積極的に進められている。たとえば、DCドラマ「バットウーマン(邦題未定、原題:Batwoman)」にはレズビアンであることを公表している女優ルビー・ローズが起用された。また映画『Rub & Tug(原題)』でトランスジェンダーの人物を演じる予定だったスカーレット・ヨハンソンは、当事者などからの批判を受けて降板、作品は企画の存続が危ぶまれる状態ともいわれる。
スカーレットのケースと同じく、すでにSNS上ではジャックの起用に批判的な声が決して少なくない。
Super excited about this huge moment for the LGBTQ+ family, and @jackwhitehall is amazing https://t.co/FwH4d7BZqZ BUT when so many gay actor friends of mine are turned down for straight roles because there’s a “whiff of gay”, it’s frustrating to cast NonGay people in gay roles
— James Barr 🏳️🌈 (@imjamesbarr) 2018年8月13日
ジェームズ・バール(司会者)
「LGBTQ+の人々にとって非常に大きな出来事にとても興奮しています。ジャック・ホワイトホールは最高。でも友人であるゲイの俳優たちが“ゲイっぽい”という理由でストレートの役を演じられない中で、ゲイの役にゲイじゃない俳優がキャスティングされるのは腹立たしい。」
Really @Disney #JungleCruise ? Your first significant gay role will be played by a straight white man perpetuating stereotypes? Fail! This ship should sink. https://t.co/npPESNZaxD
— Omar Sharif Jr. (@OmarSharifJr) 2018年8月13日
オマル・シャリフ・Jr.(俳優)
「本気か? 史上初めての、意義深いゲイの役柄を、ストレートの白人がステレオタイプを引きずったまま演じるって? 失敗しろ! この船は沈むべきだ。」
オマル氏が記しているように、報道された役柄の設定にも厳しい指摘がなされている。「“男らしくなくて、ナヨナヨしてて、愉快なゲイ”という設定は問題のあるステレオタイプ。LGBTの表現のためにならない」、「ゲイのキャラクターで笑わせるのは(表現や描写の)進歩ではない」など、2018年に製作されている映画らしからぬ設定のキャラクターになっていることを危惧する意見がみられるのである。
一方で注目したいのは、批判的な意見を記したジェームズ・バール氏が「素晴らしいストレートの俳優がゲイを演じることが問題だというわけではない」と記し、米ScreenRantが「『君の名前で僕を呼んで』(2017)のティモシー・シャラメ、『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』(2014)のベネディクト・カンバーバッチは絶賛されたが、ジャックは演技を見られる前に批判されている」と主張するように、比較的慎重な議論が各所でみられていることだ。
これが『ジャングルクルーズ』における人物設定が公式に発表されていないからなのか、それとも今回はゲイの登場人物・俳優が対象となっているからなのか(そこになんらかの関連性があるのか)、あるいは近頃の動きを踏まえた結果なのかは定かでない。ディズニーが報道や批判の声に対して、今後なんらかの反応を示すか否かも不明だ。本件については、しばらく状況を静観する必要があるだろう。
映画『ジャングルクルーズ(邦題未定、原題:Jungle Cruise)』は2019年10月全米公開予定。
Sources: The Sun, Comicbook.com, The Guardian, SR