征服者カーンって何者?マーベル新ヴィランを全部予習 ─ 『アントマン&ワスプ:クアントマニア』事前解説

征服者カーン登場で予想する、MCU今後の展開
MCUにおける征服者カーンは、過去作や将来の作品と密接に関連する存在となり得る。時空を超えた長い歴史の中で、カーンはいくつもの異名を持っており、それらが他作品に関係を及ぼしているからだ。
ヤング・アベンジャーズ結成への布石?
20世紀にタイムトラベルした若きナサニエル・リチャーズは、未来の自分が強大なヴィランになるという運命を拒絶し、カーンに対抗するヒーローチーム「ヤング・アベンジャーズ」を結成。自らはアイアンラッドと名乗る。
「ヤング・アベンジャーズ」といえば、MCUでも(作品内で公言されたことはまだないものの)着々と結成準備が進んでいる若手ヒーローチームだ。その候補となるスピード、ウィッカン、ケイト・ビショップ、パトリオット、キッド・ロキ、アメリカ・チャベス、ミズ・マーベルといったメンバーが登場済みで、『クアントマニア』に登場するキャシー・ラングも「スタチュア」の名で加わる可能性がある。
予想できる展開はこうだ。『クアントマニア』でカーンの強大さと危険性が示唆され、続く作品でその脅威がいよいよ本格化すると、アベンジャーズは何らかの理由で機能不全に陥る。これに代わって、別の時空からやってきたナサニエルが「ヤング・アベンジャーズ」結成を呼びかけるという流れだ。
ちなみにアイアンラッドのスーツは、「未来版アイアンマン」のようなデザインと機能性を持っている。もしも実写化されれば、アイアンマンの影響を感じさせる描写になるだろう。
ムーンナイト合流への布石?
征服者カーンの登場は、別のMCU作品との接点がほとんどなかったドラマ「ムーンナイト」が他ヒーローと合流する布石となるかもしれない。カーンが古代エジプトで「ラマ・タト」と名乗っていた頃、月の神コンスと出会っているからだ。

コンスといえば、「ムーンナイト」の主人公スティーヴン・グラント/マーク・スペクターに力を与えた存在。MCU版でカーンの古代エジプト時代が描かれれば、そこでの出来事がムーンナイトに何らかの影響を与える可能性はあるだろう。
注目は2025年5月公開予定の『アベンジャーズ/ザ・カーン・ダイナスティ』。この副題は「カーン王朝」の意味だから、カーンが古代エジプト文明を支配した時代に何か関係があるのかもしれない。
『ファンタスティック・フォー』に繋がる?
原作コミックにおいて征服者カーンはファンタスティック・フォーと戦っている。今後のMCUでカーンは、『ザ・カーン・ダイナスティ』で大暴れすることが予想されるが、その直前(2025年2月)にMCU版『ファンタスティック・フォー』が公開予定であることは、単なる偶然ではないだろう。ここで描かれた出来事が、『ザ・カーン・ダイナスティ』のビッグバトルに繋がっていく展開も予想できる。
対カーン最終決戦では全時空のヒーローが集結するかも?
MCU「インフィニティ・サーガ」では、『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)で全ヒーローが集結して戦うという壮大なラスボス戦が描かれた。全世界累計興収およそ28億ドルを記録したこの大成功作を超えるため、マーベル・スタジオはさらなる「夢のヒーロー大集合」の図を思い描いていることだろう。
『エンドゲーム』ではアベンジャーズがサノスを倒すために過去に戻ったり、魔術を通じて全ヒーローが一ヶ所に集まったりするクライマックスだったが、カーンとの最終決戦では時間も次元も横断した戦いになりそうだ。コミックでは、様々な時代のヒーローたちが力を合わせ、赤子のカーンをさらうという作戦もある。
例えば、あのシリーズや、あんな作品からヒーローたちが登場したとしたら?現在・未来・過去に別次元を掛け合わせれば無限の可能性が生じるわけで、死亡/引退したヒーローや、別シリーズのヒーローが登場する展開も決してあり得なくはない。逆に言うならば、カーンを倒すためには、例え掟破りになろうとも、たくさんの特殊な協力者が不可欠になりかねないということだ。

征服者カーン、サノスとどう違う?
ヒーローたちが多大な犠牲を払いながら、やっとの思いで倒したサノス。これに代わってMCUの新たなる巨大ヴィランとなる征服者カーンは、いかなる点でサノスと異なっているのか?
「違いといえば人間性です」と説明するのは、『クアントマニア』と『アベンジャーズ/ザ・カーン・ダイナスティ』の脚本を手がけるジェフ・ラブネスだ。「もちろんサノスは偉大で象徴的なヴィランですが、でもデッカい紫のCG野郎でもあった。宇宙からやってきたエイリアンだったわけです。カーンでは、彼が人間である、ということをきちんと押し出したかったんです」。
ラブネスはカーンを「非常に孤独なキャラクター」と言い表す。「これから先、様々な形で、様々なカーンを見る事になりますが、そこでは彼の人間性や、脆弱性もきちんと紹介していきたい」との説明はなるほど納得だが、ラブネスは続けてこんな恐ろしい展開も付け加えた。「彼が黙示録的な、アベンジャーズ級の大きさになるまでね」。
やはりカーンがMCUの次期ラスボスとして強大な存在感を放つことは間違いなさそう。コミックのように、増殖しまくったカーンたちが殺し合いを始めたり、あるいは結託して全ユニバースを征服してしまうかもしれない。「カーンはトップクラスの、Aリストのアベンジャーズ・ヴィラン。こんなやつに勝てないぞという時、どうするのか?」と、ラブネスはアベンジャーズが今後対面する危機を予告している。