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征服者カーンって何者?マーベル新ヴィランを全部予習

アントマン&ワスプ:クアントマニア
(c)Marvel Studios 2023

征服者カーン役、影響を受けたのはアイアンマンとジョーカー

征服者カーンは巨大なMCUそのものの印象を大きく左右する、超重要なキャラクターだ。演じるジョナサン・メジャースは、「ロキ」に登場した人の良さそうな“在り続ける者”とは区別して役作りを進めた。次のように話している

「“在り続ける者”は“在り続ける者”であって、僕は彼のことをカーンと呼んですらいません。カーンの変異体かもしれないし、違うかもしれない。征服者カーンが“在り続ける者”の変異体だったかもしれないと考えながら、心をオープンにしています。僕にとっては流動的であって欲しい。

とはいえ、この二つの役柄に、似ているところはありません。征服者カーンを演じた時、“在り続ける者”のことはあえて振り返らないようにしました。」

ロキ
(C)2021 Marvel

征服者カーンのMCU映画デビュー作となる『アントマン&ワスプ:クアントマニア』の主人公スコット・ラングといえば、ユーモアたっぷり、ジョークたっぷりの人物。これと対比するようにメジャースは、「カーンは極めて合理的で、冗談を言わない人物」だと紹介している。

メジャースが役作りの参考にしたのは、アレキサンダー大王やチンギス・ハーン、ユリウス・カエサルといった実在する時代の覇者。「お前は賢いが、私の賢さを見よ」といった対抗心も、役作りの上で重要だったという

そこで引き出されたのが、アイアンマン/トニー・スタークだ。「ロバート・ダウニー・Jr.のアイアンマンは、スーパーヒーローの中のスーパーヒーロー。そして僕は、スーパーヴィランの中のスーパーヴィランをやる。時流にどう抗うのか。この話だけで本が一冊書けそうですね」。

シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ
(c)2018 MARVEL

コミック映画史上最も偉大なヴィランの1人である『ダークナイト』ジョーカーにも多大な影響を受けたそうだ。メジャースは18歳当時にこの映画を鑑賞して、故ヒース・レジャーが怪演したジョーカーに衝撃を覚えたと語っている。映画での征服者カーンの恐ろしさにはまだ誰も直面していないが、メジャースの演技アプローチを聞くと、俄然「とんでもないヴィランになりそうだ」という実感が湧いてきたではないか。

征服者カーンと最初に対決するアベンジャーズ、スコット・ラング役のポール・ラッドは、「アントマン役として、カーンを映画で紹介する最初の機会にあずかれて嬉しい。カーンはマジです」とコメント。『クアントマニア』はシリーズ3作目とあって、ラッドはお馴染みのキャラクターたちの醸し出す「リズム感」に慣れてたつもりになっていたというが、「ジョナサンが登場すると、リズムが一変するんですよ。BPMがスローになって、ゆったり感が出て」と振り返る。「役者としてすごく面白かったですね。“うわぁ!このシーンはカーンが支配しているぞ”と。おかげで映画全体に威嚇されたような、違った感じが出た。すごいですよ」。

アントマン&ワスプ:クアントマニア
(c)Marvel Studios 2022

征服者カーン役ジョナサン・メジャースってどんな俳優?

『クアントマニア』海外メディアのレビューでも、「ジョナサン・メジャースがすごい」と絶賛の声だらけだ。マーベル・スタジオ社長のケヴィン・ファイギも、メジャースが演じたカーンは「これまでテスト試写をした中でも、最も高評価を受けたヴィラン。特殊効果をつける前の段階から、ジョナサンは独自の特殊効果をまとっていました。彼は初めから形になっていたのです」と大絶賛である。

そうは言っても日本のファンの中には、実はジョナサン・メジャースがどういった俳優なのか、まだよく知らないし、ほかの出演作もきちんと観たことがないという方も多いのでは。

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メジャースは俳優デビュー2017年と、比較的新鋭の俳優だ。デビュー作はクリスチャン・ベール主演の映画『荒野の誓い』。以来、『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』(2019)『囚われた国家』(2019)といった比較的小規模な映画に出演している。『ザ・ファイブ・ブラッズ』(2020)はチャドウィック・ボーズマンとの共演作となった。ドラマ「ラヴクラフトカントリー 恐怖の旅路」(2020)では主役を演じ、その演技力が注目を集めることとなる。『クリード3(原題)』では、対戦相手のボクサー役として抜擢。つまり2023年、メジャースは『クアントマニア』と『クリード3』、2作の相手役として大きな注目を集めることになるのだ。

躍進的な出世を遂げるジョナサン・メジャースの演技力を確かめてみたいという方は、配信サービスにも登場している戦争アクション映画『ディヴォーション:マイ・ベスト・ウィングマン』(2022)がオススメだ。『トップガン マーヴェリック』(2022)ハングマン役グレン・パウエルとのW主演作で、海軍パイロットの空戦を描く作品。『トップガン』ライクな映画かと思って鑑賞してみれば、メジャースによる迫真の演技に圧倒されてしまうこと請け合いだ。

『ディヴォーション』はアメリカ海軍初の黒人飛行士と、そのウイングマンを描く戦争ドラマ。理不尽な差別に遭いながらも、任務のために危険な戦いに挑むパイロットたちの絆の物語だ。メジャースは本作で実在の飛行士ジェシー・L・ブラウンとして、涙を自在に操りながら、緊張感ある演技を披露。素晴らしい俳優がマーベルの新しい悪役を演じることになったのだと実感できるだろう。

そんなメジャースだが、実はマーベル映画への出演を自ら降りようとしたという裏話がある。なんと、マーベルの全体会議で、待ちぼうけを食らったため途中退席したというのだ。

「ずっと昔の話なんですけど」と語るメジャース。「当時の僕は演劇学校を出たばかりで、(仕事を求めて)街中を走り回っていた。それで、その時はオフィスにいたんですけど。僕は育ちが独特なもので、誰かの時間を無駄にしちゃうのが嫌だった。で、僕がそこにいた時は、周りの人たちがバタバタ忙しそうにしていて。“自分はここにいても良いのか?”って思っちゃって。長引きそうだったので、“もう行きますね、自分、もう帰ります”って」。

長らく待たされたことで気まずくなって退室しようとしたメジャース。しかし、そこでキャスティング・ディレクターに呼び止められ、そこから実のある話し合いが始まったのだという。「カーンについての話し合いをしたのは、それから3年後のことでした」ということだから、マーベル・スタジオはまだ役者としての実績がそうあるわけでもない頃から、メジャースに目をつけていたということだ。

間違いなく今後のMCUを牽引するラスボス級ヴィラン、征服者カーンのデビュー戦『アントマン&ワスプ:クアントマニア』は2023年2月17日公開。 

Source:SFX,Collider,Deadline,EW,Variety1,Variety2,Vanity Fair

Writer

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中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。