A24・プランB『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』特別映像、変わりゆく街の風景を撮る

最注目の映画スタジオ・A24、ブラッド・ピット率いる製作会社プランBが『ムーンライト』(2016)以来のタッグを組む『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』が2020年10月9日(金)より全国公開される。このたび、主演のジミー・フェイルズやダニー・グローヴァーら、サンフランシスコ出身の出演者とジョー・タルボット監督が作品について語る特別映像が公開された。
米サンフランシスコで生まれ育ったジミー(ジミー・フェイルズ)は、祖父が建てた、家族と暮らした記憶の宿るヴィクトリアン様式の美しい家を愛している。しかし家主はある日、変わりゆく街の観光名所となっていたその家を手放すことにした。人の手に渡った“我が家”に再び住むことを願って奔走するジミーを支えるのは、親友のモント(ジョナサン・メジャース)だ。今や“最もお金のかかる街”となったサンフランシスコで、ジミーは心の在り処を取り戻すことができるのか……。
舞台となるサンフランシスコは、ゴールデン・ゲート・ブリッジや坂道を走る路面電車、優雅に佇むヴィクトリアン様式の家が並ぶ情緒豊かな街。しかし急速な発展により地価が高騰、富裕層の人口が増えたことで、古くからの住民は行き場所を失っていた。
今回の映像は、タルボット監督とフェイルズによる語りから始まる。実名で主人公を演じるフェイルズの実体験に基づいて紡がれた本作は、たったひとりの親友とともに、かつて家族と暮らしていた家を取り戻そうとする青年の物語。監督はフェイルズの体験を聞き、変化していく街の姿をスクリーンに留めておきたかったと語っている。サンフランシスコの美しい風景、ジミーと親友モントのスケートボードのシーンをスローモーションを多用して撮影するなど、印象的なカットに注目だ。モント役のジョナサン・メジャースも「愛と喜びにあふれ、詩的で色彩豊かだ」と述べている。

生まれ育った場所が面影も残らないほど変化することで、大切な記憶が上書きされ、自分のアイデンティティまで否定されてしまうような感覚。それは一見パーソナルな物語でありながら、今や世界中で起きつつある問題だ。本作はサンダンス映画祭で監督賞・審査員特別賞に輝いたほか、世界各国の映画祭で高い評価を受け、バラク・オバマ前米大統領が選ぶ2019年のベストムービーにも選出された。
映画『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』は2020年10月9日(金)より新宿シネマカリテ、シネクイントほか全国ロードショー。
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