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マーベル映画の試写、ディズニー社外の人間を呼んでも良い時代があったがやっぱりネタバレ漏洩していた ─ 今では秘密のミステリー試写を実施

マーベルのロゴ

マーベル・シネマティック・ユニバースの作品といえば漏れなくネタバレ厳禁作品。例えばサプライズキャラクターが登場することもあるが、ファンは劇場で新鮮な驚きと共に本編を鑑賞したいものだ。「◯◯が登場する」との情報が事前に漏れてしまっては、作品体験が台無しになってしまう。

そこでマーベル・スタジオはネタバレ対策に厳しいことで知られており、社内には「ネタバレ警察」が存在すると伝えられている。出演者に対しても機密情報保持を徹底しており、「深夜にトレンチコート姿の男性が脚本を渡しにくる」と、まるでスパイ映画のような裏側を語ったキャストもいる。

ところが意外なことに、以前は作品のテスト試写に社外の人間を招いても良いという寛大な時代があったようだ。マーベル・スタジオの副社長でプロデューサーのネイト・ムーアが米ポッドキャスト番組で話している。

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当然と言うべきか、そこからネタバレ情報が漏洩する事態があったため、今では禁止されているそうだ。具体的にいつからルールが変わったのかは語られていないが、現在のマーベル・スタジオのネタバレ警戒ぶりを知る方であれば、「そんな時代もあったのか」と驚くことだろう。

映画の製作中は、観客の反応を元に編集方針を見直すための「テスト試写」が行われることがある。また、いったん完成した作品を試写で流して、そこで得られた感想や意見をもとに編集し直すケースもある。現在、ディズニーの従業員には、作品名が伏せられた状態で「試写に参加しますか?」とのメールが配布されるようになっているそうだ。

彼らが内内で行う試写は80〜100名ほどが出席する小規模なもので、観客の率直な反応を探るために実施している。重要視するのは、「『アイアンマン』と『キャプテン・アメリカ』の間にどのような乖離があるか」というように、参加者の反応をMCU作品でのみ比較すること。「『クリード』や『スピード・レーサー』のような、我々の作品ではない映画とは比較しない」という。

また、当然ながら新ヒーローのデビュー作は馴染みがないため苦戦するとも、ムーアは明かしている。例えば『キャプテン・マーベル』1作目当時は「よく知らない、アイアンマンの方が観たい」といった反応が見られることが常だという。「でも続編では少し盛り上がる。“ブラックパンサーならとにかく好き”といった感じで、既に知ってもらえているからです」と、ムーアは話している。

事前に上映タイトルを明かさないミステリー試写であるため、会場で「これから皆さんには、『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』を初めてご覧いただきます」と伝えると、「観たかったやつだ!」と喜んでもらえることもあれば、「『エターナルズ』って何?」と困惑されることもあるのだそうだ。

試写で得られる反応は、作品製作の羅針盤ともなる重要なものだ。「プロデューサーから降りてきた要望と、一般の人から得られた要望、そのどちらに価値があるのか、あるいは共存できるのかを見極めなくてはいけない時もあります」とムーア。「でも、これまで迷ったことはないですね」と続けているが、さすがはベテランの審美眼である。

Source:Deadline

Writer

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中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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