「マーベルは全作を観ていないといけないという義務感あったかも」とプロデューサー、リブランドで「どこから観てもOK」打ち出す

マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)が、密かなるリブランドに着手している。ユニバースが拡大し、作品の相互作用が深まった結果、“一見さんお断り”の複雑な物語になってしまったことを反省しているようだ。
クロスオーバー大作『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)の成功後にコロナ禍を迎えたマーベル・スタジオは、当時の方針に基づいてディズニープラス独占配信のドラマシリーズを含めた多作品展開に踏み込んだ。これは必ずしも成功したとは言い難く、ファンの間では供給過多に伴う「マーベル疲れ」を引き起こすことになる。配信ドラマ「ワンダヴィジョン」や「ミズ・マーベル」とも繋がる映画『マーベルズ』(2023)では、シリーズ初の赤字という危機も経験した。
こうなっては新規層を取り込むことが至上課題だが、「どの作品から見ればいいのかわからない」「今さら見始めるのは大変」といった印象はまだ根強いだろう。マーベル・スタジオは、他作品との繋がりを意識せずに楽しめる単独ブランド「マーベル・スポットライト」を立ち上げ、ドラマ「エコー」をリリースしているが、こうした初心者歓迎の作品群をさらに充実する構えだ。
最新の事情では、リブランドの一環として、「マーベル・テレビジョン」「マーベル・アニメーション」といったブランドバナーが復活されている。ともに、かつてマーベル・スタジオの子会社として存在した制作会社の名称を再び用いるものだ。「マーベル・テレビジョン」としては2025年の「デアデビル:ボーン・アゲイン(原題)」が打ち出されている。「マーベル・アニメーション」からは「X-MEN ’97」が登場しており、今後もスパイダーマンや『ブラックパンサー』ワカンダ舞台のアニメシリーズが控える。
「誰に対しても、マーベルが常に扉を開いて歓迎するようにしたいのです」と、プロデューサーのブラッド・ウィンターバウムは米Comicbook.comを通じて述べている。「『エンドゲーム』の後、おそらく、何かを観る際には全てを絶対に観なければならないという義務感が少しあったかもしれませんね」との反省がある。
「ご存知のように、コミックファンとして、ただ飛び込んで、自分の好きなものを見つけて、それを使ってユニバースに入り込み、自分の好みに基づいて探検し、紡ぎ出すことができるようにデザインされています」と、ウィンターバウムはコミックの自由度を引き合いに出しているが、ここに、日本の作品との大きな違いがある。たとえば、『ドラゴンボール』の世界やキャラクターを理解したいのであれば、鳥山明による原作漫画の第一巻から読み進めればまず間違いないというのが、基本的な考えである。対してアメコミは形式が異なり、複数のクリエイターによる多種多様なシリーズやエピソードが、ほとんど無数に存在している。ウィンターバウムの言うように、読者は好きなエピソードを手に取り、お気に入りのバージョンを見つけることができる。
今後、マーベル・スタジオの作品も、このような幅広い単独作を展開し、それぞれを入り口にしたい考え。「マーベル・スタジオやマーベル・テレビジョン、マーベル・アニメーション、そしてマーベル・スポットライトにおけるリブランドは、観客に“どこから飛び込んでもいいよ”と伝えようとすることだと思います。それぞれは繋がっているし、繋がっていないとも言える。作品Bを楽しむために作品Aを観なくてはいけない、ということはありません。好きなように追いかけることができます。自分の好みに従えばいいし、マーベルというタペストリーの中から、自分の望むものを見つければいいのです」。
そんなマーベル・スタジオの目下最新作は、2024年7月26日日米同時公開の『デッドプール&ウルヴァリン』で、こちらの監督を務めたショーン・レヴィもまさに「予習の必要はありません」とアピールしている。
▼ MCUの記事
『サンダーボルツ*』やるしかない!日本最速試写に100名様ご招待 ─ IMAXスクリーンで鑑賞せよ PR日本最速でお観せします! ベン・アフレック、デアデビル語る「面白いストーリーだった」 ─ ジョン・バーンサルのパニッシャーとは「絡まないだろう」 新作は「まだ観てない」 『サンダーボルツ*』吹替キャストに梶裕貴、伊瀬茉莉也が参戦 ─ 吹替版予告映像も公開 より強力な布陣に 『アベンジャーズ/ドゥームズデイ』は「昔のマーベルの感覚」とキャプテン・アメリカ役 ─ 「ショーを仕切るのは間違いなく彼」と『ブレイブ・ニュー・ワールド』脚本家も期待 アベンジャーズ、再建 ドクター・ドゥームは『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』では描かれない?監督が示唆 オリジンも描かれない
Source:Comicbook.com