シブい、アツい、破天荒!ハリウッドで戦う中年アクション・スターに燃えろ

とにかく何もかもがシブい。まさか2018年に、ルドガー・ハウアーが猟銃をぶっ放す映画を見られるとは思わなかった。『リミット・オブ・アサシン』(2017)は「男」というよりも「漢」の物語である。妻子を失った孤独な暗殺者、トラヴィス(イーサン・ホーク)は、任務中に銃撃され命を落とす。蘇生手術により24時間だけ延命させられたトラヴィスは、最後の力を振り絞って正義を遂行しようとするのだった。
それにしても、イーサン・ホークである。若い頃はインテリ派俳優として、小粋なインディペンデント映画ばかりに出演しているイメージが強かった。しかし、最近になって『バレー・オブ・バイレンス』(2016)や『マグニフィセント・セブン』(2016)といったアクション作品に次々と出演、演技の幅を広げている。なんというか、「売れるものに興味はないです。洋楽しか聴かないです」とかイキがってた大学生が、年をとってから「やっぱりアイドル最高おお!」とか吹っ切れたみたいというか(全然違うような気もする)。
そこで今回は、中年以降になって急に「アクション路線」に目覚めた俳優たちを振り返りながら「オヤジ・アクション」の魅力を紹介していきたい。
知性派アクション・スター、遅れて登場!リーアム・ニーソン
流れが傾いたのは、齢50を超えて出演した『96時間』(2008)である。「誘拐された家族のために体を張る元CIAのお父さん」という役柄にリアリティを持たせられたのは、そもそもの演技力が高かったのと「知性派」のイメージが世間に浸透していたから。単なる肉体派俳優ではこなせない当たり役として、シリーズは3作も公開された。以降、『特攻野郎Aチーム THE MOVIE』(2010)や『ラン・オールナイト』(2015)、『トレイン・ミッション』(2018)といったアクション作品で「頭脳」と「肉体」を両立させながら活躍している。
アカデミー賞を獲ってますます壊れる!ニコラス・ケイジ
しかもケイジはアカデミー賞獲得後、『ザ・ロック』(1996)や『コン・エアー』(1997)、『フェイス/オフ』(1997)といったアクション大作に連続して出演、「演技派路線」に落ち着くかと思われた周囲の予想を大きく裏切る。『スネーク・アイズ』(1998)のキレた演技では、「ヤバさ」も失っていないことを証明し、「本来ならハリウッドにいてはいけない人」が大ヒット作に出続けているスリルを存分に楽しませてくれた。
ただ、あまりにも出演作選びに「金の臭い」がしすぎたせいだろうか、ケイジの人気はゆるやかに下降していく。それでもたまに、『バッド・ルーテナント』(2009)や『キック・アス』(2010)、『ドッグ・イート・ドッグ』(2016)といった挑戦的な傑作にも、思い出したように出演するのでいまだ無視できない怪優だ。