マーベル・コミック『ムーンナイト』の映画化は「ややこしい」? 『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』脚本家が持論語る

マーベル・コミックの世界には、映画化を待望されている数多のヒーローがいる。なかでもコミックファンから映像化が強く求められているのがムーンナイト、元傭兵のマーク・スペクターが白いスーツに身を包んで戦うキャラクターだ。心の病を患っているという設定のムーンナイトは、複数の人格を持ち合わせるほか、脳内にキャプテン・アメリカ、ウルヴァリン、スパイダーマンを作り出したこともある(邦訳版コミック『ムーンナイト/光』『ムーンナイト/影』(小学館集英社プロダクション刊)についてはこちらの記事に詳しい)。
映画『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)の公開直前にあたる2018年4月、マーベル・スタジオのケヴィン・ファイギ社長は、今後映画化するキャラクターの候補にムーンナイトが入っていることを明かしていた。時期など具体的な内容は語られていないが、ひとまず話し合いの場に名前は挙げられているようなのだ。
しかし同作を執筆した脚本家のクリストファー・マルクスは、オンラインのトーク番組「FAT MAN ON BATMAN」にて、コミック『ムーンナイト』を映画化することの難しさについて語っている。
キャラクターを展開させる難しさ
クリストファーは「すばらしい『ムーンナイト』の映画版を誰かが作らなきゃいけないと思うんです」と言い切ってから「でも、ややこしいんですよね」と口にした。
「彼(マーク・スペクター/ムーンナイト)が本当に良いキャラクターになるのは後からなんです。最初のうちは、良いところもありますがちょっとタチが悪い。あとから最高の人物になるわけですが、(物語の)筋を通すには、最高の部分を描くためにタチの悪い部分が必要になる。すごく複雑だし、(その変化が)すごく早いんですよ。」
おそらくこうした性質は、少なからぬコミックファンが理解していると思われる。なぜなら『ムーンナイト』の映像化を望む声のなかには、映画化ではなくドラマ化を希望する者も多いのだ。確かに長い時間をかけて物語を紡ぐことができるドラマであれば、人物の多面性をきちんと見せることで、その切り替えを観客に過不足なく伝えることができそうだ。
ちなみに複雑なストーリーテリングを特色とするマーベル・ドラマといえば、同じく複数の人格を持ち合わせる主人公デヴィッド・ハラーを描いた『レギオン』(2017-)がある。ただし、こちらは20世紀フォックス製作の「X-MEN」シリーズ作品だ。マーベル・スタジオとしては、すでに『レギオン』が作られてしまったがゆえに『ムーンナイト』をドラマ化しづらくなったという事情もあるのかもしれない。
ともかく『ムーンナイト』は、多くのファンによって映像化が求められているコミックにほかならない。映画にせよドラマにせよ、いずれ実現することを祈るばかりだ。たとえばマーベル・シネマティック・ユニバースに登場するならば、確実にユニバースの型を破ってくれる、そんな可能性を秘めたキャラクターなのである…!
Sources: Kevin Smith, Comicbook.com, SR
Eyecatch Image: Photo by Chris Jackson