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THE RIVERニュースレター 6月2日号 ─ エンタメの最新ニュース解説

THE RIVERのニュースレターです。日々のニュースや話題から注目のトピックを厳選して紹介・解説します。面白い最新情報や、タメになる話まで。THE RIVER運営代表の中谷が担当。

6月になりました。今月は『M3GAN』『リトル・マーメイド』『ザ・フラッシュ』『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』、そして月末には『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』と、注目作が続々と公開されます。

中でも驚きは、『ザ・フラッシュ』と『スパイダーバース』が同日公開となること。言うまでもなく両作共にDCとマーベルのアメコミが原作で、さらにマルチバースという同じ題材を扱う作品でもあります。当然ながらファン層も被ることとなるので、スクリーンと観客の取り合いとなってしまいそう。

『ザ・フラッシュ』は日米同時公開(16日)ですが、『スパイダーバース』の米公開は2日。本国から2週間の期間をあけての日本デビューとなります。『スパイダーバース』1作目は日本アニメの雰囲気を踏襲したようなこだわりの吹替版を制作しており、おそらく本作でも吹替制作にある程度の期間を設けたかったものと想像できます(そもそも『スパイダーバース』のアニメ製作はかなり大変らしく、吹替着手には完パケ版がやってくるのを待つ必要もあったかもしれません)。僕は普段は字幕派ですが、『スパイダーバース』1作目の吹き替えはとても素晴らしいものがあり、本作でも字幕・吹替の2バージョンでの鑑賞を楽しみにしています。

自然と『スパイダーバース』の話題が長くなりましたが、『ザ・フラッシュ』と共にどちらも素晴らしい作品なので両方観ていただきたいところ。どの映画を観るべきか迷うというのも、なんだか久しぶりな気がする、嬉しい悩みです。

それでは、今週の海外エンタメ最新ニュースを解説していきます。

きょうの話題

  • レベッカ・ファーガソン、『デッドプール』監督の新作で復讐の傭兵演じる
  • 実写版『モアナと伝説の海』監督決定
  • 実写版『ヒックとドラゴン』主人公ヒックとアスティ役決定
  • シャイア・ラブーフ、アウシュビッツ題材の映画脚本を執筆中

レベッカ・ファーガソン、『デッドプール』監督の新作で復讐の傭兵演じる

『ミッション:インポッシブル』シリーズのレベッカ・ファーガソンが『デッドプール』ティム・ミラー監督の新作『Best Served Cold(原題)』主演に向けて交渉の最終調整に入った。配給はスカイダンス。同名小説が原作で、伝説の傭兵の復讐劇が描かれる。『ジョン・ウィック』や『アトミック・ブロンド』のような作品になりそうだ。

ティム・ミラーといえば『デッドプール』1作目のハードコアなアクションで注目されたのち、『ターミネーター:ニュー・フェイト』監督に抜擢されたが、製作ではジェームズ・キャメロンと衝突して手腕を活かせず、同作は失敗したと認めている。『ソニック・ザ・ムービー』シリーズや「ラブ、デス&ロボット」で製作総指揮を務めた後の、久々の実写アクション監督復帰に気合いも入りそうだ。

ファーガソンも大作への出演が続く。今年2023年は、2部作の前編『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』と『デューン 砂の惑星 PART2』が公開。SFディストピアドラマ「Silo」への主演も好評で、Apple TV+ではシーズン2への更新も決定している。

実写版『モアナと伝説の海』監督決定

ディズニー『モアナと伝説の海』(2016)の実写映画化企画で、トーマス・カイルが監督を務めることが決定した。

本作で長編シナリオ映画監督デビューとなるカイルは舞台演出の才能が知られる人物で、ミュージカル『イン・ザ・ハイツ』と『ハミルトン』を手がけた。これらは両作ともリン=マニュエル・ミランダと共にした作品であり、ミランダは『モアナと伝説の海』オリジナル版で音楽を担当したという縁がある。ちなみにミランダの続投はまだ正式に伝えられてはいないが、このように外堀は固まっている。

ディズニーは現在、『リトル・マーメイド』など古いアニメ作品を実写で蘇らせているが、『モアナ』は2016年の作品でまだ年月が経っていない。他の実写化と違って、新鮮な映像で描きなおすことに込められる特別な意味も薄いので、試みとしては新たなものとなりそうだ。

ヒットメイカーのドウェイン・ジョンソンがプロデューサー兼マウイ役ということで、彼の牽引力に期待したいところもある。ザ・ロックとディズニーの関係は2021年の実写映画『ジャングル・クルーズ』より続くものとなるが、同作はコロナ禍中の公開とあって興行収入自体はそこまでだった。『モアナ』実写版で手腕発揮となるか。決定した監督のミュージカル的な演出にも注目できそうだ。

実写版『ヒックとドラゴン』主人公ヒックとアスティ役決定

『ヒックとドラゴン』の実写映画化企画で、主人公ヒックとアスティ役がメイソン・テムズとニコ・パーカーに決定した。2人とも次代を担う注目の子役だ。

テムズといえば『ブラック・フォン』でイーサン・ホークと対決。筆者もインタビューを行ったことがあるが、素直で誠実な印象だった。イーサン・ホークも彼と共演して、若い頃の自分を重ねる瞬間があったそうだ。

一方のパーカーは評判のドラマ「THE LAST OF US」で、ペドロ・パスカルの娘サラ役を演じている。出演シーンは多くなかったものの、物語における重要な役割を担った。

この実写化はユニバーサル・ピクチャーズが手がけるもので、アニメ映画シリーズ3部作を手がけたディーン・デュボアが脚本・監督・プロデュースを担う。アニメ版のこだわりがそのまま映像化されることになりそうだ。2025年3月14日に米公開予定。

シャイア・ラブーフ、アウシュビッツ題材の映画脚本を執筆中

シャイア・ラブーフとアベル・フェラーラ監督が、アウシュビッツについての映画を企画しているそうだ。現在ラブーフが執筆を進めており、フェラーラは彼と共同で製作することを検討しているという。

ラブーフは、フェラーラ監督の2022年の映画『Padre Pio(原題)』で主演。撮影はわずか数日だったというが、監督はそこでのラブーフの仕事ぶりを高く評価。アウシュビッツ強制収容所を描く難しい題材に一緒に取り組むつもりだという。

派手なアクションシーンが見られる『トランスフォーマー』シリーズや自身のスキャンダルなどを経て、ラブーフはより内省的な映画に出演するようになっている。『ハニーボーイ』(2019)では自身の経験を基に、父親との不完全な関係を丹念に演じた。『ザ・ピーナッツバター・ファルコン』ではダウン症を、『私というパズル』(2021)では死産を取り扱っている。

ラブーフが脚本を執筆するのは『ハニーボーイ』以来となる。アウシュビッツについて、ラブーフがどの視点から描くのかも注目したい。

情報参考:Deadline,THR,Deadline,Variety

Writer

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中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。