ニコラス・ケイジ、巨匠監督のマーベル映画批判に「同意しかねる」 ─ エンタメとしての成功に着目、「問題があるとは思えない」

俳優ニコラス・ケイジが、近年著しい巨匠監督たちのマーベル映画批判に反応した。一連の背景を把握しているらしいケイジは、批判に「同意できません」と語っている。
これまでにマーベル映画に対する批判の声を上げたのは、マーティン・スコセッシやリドリー・スコット、ジェームズ・キャメロン、ローランド・エメリッヒといった監督たち。この中には、ケイジの叔父としても知られるフランシス・フォード・コッポラ監督も含まれている。
上述の面々の行動について、ケイジは「なぜ彼らは、そうしてしまうのでしょうか?」と米GQで語っており、疑問を抱いている模様。「衝突することが理解できません」と続けた上で、「私は、彼らの認識や意見には同意しかねます」と自身の立場を明らかにしている。
巨匠監督たちの意見は一様ではなく、それぞれ論点が異なる。マーティン・スコセッシ監督は、マーベル作品を「テーマパーク映画」と形容しながら、興行成績の優れたハリウッドの大作映画が劇場上映を占拠することによってアート映画やインディペンデント映画といった小規模作品が周縁化されてしまっている現状を批判。一方、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督やコッポラ監督、ジェームズ・キャメロン監督らは、オリジナリティの欠如を指摘している。
ここでケイジはインタビュアーより、マーベル映画の台頭によって小規模作品が製作されにくい風潮が形成されてしまう可能性についての意見を訊かれると、「私が作っている『Pig(原題)』や『グランド・ジョー』のような作品はマーベル映画と何の衝突もありませんよ」と持論。ケイジにとって、とりわけ納得できない意見が、同じ映画業界内での「衝突」を指摘する点にあるらしい。
「マーベル映画はトゥイナーの終焉に関係していると思いません。トゥイナーという言葉は、3,000万から5,000万ドルの予算規模の映画という意味で使っています。私は映画は上手くいっていると思いますよ。『パワー・オブ・ザ・ドッグ』や『スペンサー』、それか(プロデューサーの)ミーガン・エリソンの全作品を観たら、それが分かるでしょう。ポール・トーマス・アンダーソンのような人もいますし。」
こう語るケイジはむしろ、エンタメ業界におけるマーベル映画の功績を実感しているという。ケイジといえば、2007年と2012年に製作された『ゴーストライダー』2作で主演を務めた、いわばマーベル映画の経験者。同シリーズとの比較を通してマーベルの成長を語りながら、改めて巨匠監督たちの批判について触れている。
「マーベルは、全家族を楽しませるための素晴らしい仕事をしてきました。考えに考え抜いている。私が2つの『ゴーストライダー』を作った時からは、間違いなく大きな進歩がありました。ケヴィン・ファイギをはじめとする裏方全員が、物語をつなげて全キャラクターを連結していく見事な方法を編み出したんです。親や子どもに訴えかけるような、彼らをワクワクさせるような健全なエンターテイメントがどう悪くなりうるのか。問題があるとは思えません。」
なお、コメントで言及されていたポール・トーマス・アンダーソン監督は、まさにケイジが語った“トゥイナー”映画を手掛け、多くの高評価作品を世に送り出してきた若き巨匠だ。そのアンダーソン監督はというと、2021年12月にマーベル作品に肯定的な意見を述べており、以下のように語っていた。
「私は好きです。(マーベルが)最近人気だからか、“映画から何までをダメにしてしまったのではないか”という意見もありますが、私はそうは思いませんね。私たちは皆、人が映画館に戻ってくれるかと不安になりますけれど、そんな彼らを映画館に戻してくれているのは何だと思います?『スパイダーマン』です。そのことを喜びましょうよ。」
Source: GQ