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コッポラ監督、マーベル映画含むハリウッド大作への疑問を再提示 ─ 批判の対象は『DUNE』『ノー・タイム・トゥ・ダイ』にも

フランシス・フォード・コッポラ
Photo by Gerald Geronimo https://www.flickr.com/photos/g155/5980409834/ Remixed by THE RIVER

これまで度々マーベル映画についての私見を述べてきた巨匠フランシス・フォード・コッポラ監督が、マーベル映画のみならずハリウッドの大作映画に共通して抱いているという疑問を、このたび米GQ Magazineに語っている。その疑問に該当する大作映画として、2021年に公開されたドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の『DUNE/デューン 砂の惑星』とキャリー・ジョージ・フクナガ監督の『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』が挙げられている。

近年、マーベル・スタジオ製作のマーベル作品に対する批判の声が主に巨匠監督たちから相次いでいる。2019年10月、「映画ではなく最も近いのはテーマパーク」と発言し批判の口火を切ったマーティン・スコセッシ監督に次いで、コッポラ監督はマーベル映画を「浅ましい」と形容した。しかし、後に報道のなされ方に誤解があったとしてコッポラ監督は再度メディアに現れ、批判の真意は、シリーズ化されたフランチャイズにおける映画──つまりマーベル映画──の製作が「型にはまった取り組み」になっていること、経済面におけるリスク回避型の映画作りが作品の多様性を損なっているということにあると釈明した

それから現在まで2年以上もの間で、ケン・ローチ、リドリー・スコットジェームズ・キャメロンドゥニ・ヴィルヌーヴといった映画監督がマーベル映画への批判と取れる意見を述べ、その度にインターネット上では物議を醸してきた。その一方で、トム・マッカーシー監督やポール・トーマス・アンダーソン監督のような肯定派も存在しており、マーベル映画の在り方はハリウッド映画業界の未来を考える議論の中心となっている。

コッポラ監督、再び言及

こうした背景がある中、フランシス・フォード・コッポラ監督が再び、マーベル映画の名を挙げた上で、いわゆるハリウッドの大作映画に関する疑問を再提示した。取材を行った米GQは「コッポラは映画を愛しているが、現代の映画業界を認めていたり、享受していたりするわけではない」と紹介した上で、コッポラ監督の発言を載せている。

「かつてはスタジオ映画というものが存在していました。今やマーベルの映画だらけです。マーベル映画とは、どういうものなのでしょうか。マーベル映画とは、それぞれが違うものに見せるため、これまで繰り返し繰り返し作られてきた1つのプロトタイプ(試作品)です。」

“マーベル映画”という言葉の定義づけを行ったコッポラ監督は、必ずしも疑問の対象となる映画がマーベル映画に限ったものではないことを示唆している。「才能のある人(の作品)でさえ……」と切り出したコッポラ監督は、「類まれなる才能を持ち優れたアーティストであるドゥニ・ヴィルヌーヴが作った『DUNE』や、同じく非常に才能があって美しいアーティストであるキャリー・フクナガの『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』も同じようなものですよね」と、他の大作映画も自身の定義した“マーベル映画”に該当するという考えを示しているのだ。

「この2つの映画もそうで、それぞれの作品から同じシークエンスを抜き出して、それらを組み合わせることだって出来てしまう。車が衝突するような同じシークエンスのことです。そういうものが全て(の大作)には含まれていて、彼らは予算を正当化するためにはそれを含めなければいけないんです。そうしたものが良い映画として、才能のある監督たちによって作られているんです。」

ここでマーベル映画に対するコッポラ監督の批判の意図を整理すると、マーベルをはじめとするヒーロー映画の市場席巻によりスタジオ映画が劇場公開作品として製作される機会が失われていると考えるスコセッシ監督の主張とは異なり、コッポラ監督の主張はマーベル映画に代表される近年のスタジオ映画には作品そのものの多様性が失われているということを指摘するもの。コッポラ監督はこの持論を補強するかのように、実娘で映画監督であるソフィア・コッポラに一貫して伝えてきたこととして、以下のように続けている。

「私はソフィアをはじめとする子どもたちに、“自分の映画は常にパーソナルなものであれ”と教えてきました。“君は奇跡的(な存在)で、生き生きとしているのだから、出来る限りパーソナルのものにしなさい。そうすれば、唯一無二の存在である君自身から生まれたものなのだから、そのアートは奇跡的なものになる”と。一方で、もし学校かどこかに参加した時に、それが自分の解決策だと理解した上でマーベル映画を作ろうとなり、最善を尽くすということであれば、個性というものは保たれるでしょう。しかし、アートとしては、“何か他のものを作りなさい”と伝えてきました。」

これまで『ゴッドファーザー』3部作や『地獄の黙示録』(1979)といった数々の名作を手掛けてきたコッポラ監督は、2011年を最後に監督業から遠のいていた。しかし、現在コッポラ監督は、予算が1億ドル以上にも及ぶとされる超大作『Megalopolis(原題)』の製作の真っ只中にある。まさに上で挙げられたスタジオ映画と比肩する規模の作品となるが、コッポラ監督は「お金を惜しみません」と言い、製作費を自己調達していることを明かしていた。したがって、本作がハリウッドの“スタジオ映画”に該当するかどうかは定かでない。なお、『Megalopolis』は、破滅的な災害に見舞われたアメリカ・ニューヨークを、ユートピアとして再建しようと奮闘する建築家の姿を描く物語と言われている。

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Source: GQ Magazine,EL Mundo

Writer

SAWADA
SawadyYOSHINORI SAWADA

THE RIVER編集部。宇宙、アウトドア、ダンスと多趣味ですが、一番はやはり映画。 "Old is New"という言葉の表すような新鮮且つ謙虚な姿勢を心構えに物書きをしています。 宜しくお願い致します。ご連絡はsawada@riverch.jpまで。

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