エドワード・ノートン、『インクレディブル・ハルク』脚本を批判 ― マーベルとの製作トラブル、現在も「しこり」残る?

マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)のヒーローには、一人だけ大きな変化が途中で生じることになったキャラクターがいる。演じる俳優がエドワード・ノートンからマーク・ラファロへと変更されたブルース・バナー/ハルクだ。黎明期において、『アイアンマン』(2008)のロバート・ダウニー・Jr.に次いで『インクレディブル・ハルク』(2008)に出演したノートンは、その後の作品でユニバースに復帰していない。
どうやらノートンとマーベル・スタジオ側の不和は、現在に至るまでくすぶったままのようだ。『インクレディブル・ハルク』から10年が経過した今、ノートンが改めて同作の脚本に批判的なコメントを発している。米The Hollywood Reporter誌のライアン・パーカー氏が伝えた。
Edward Norton took a shot at Marvel during the Comedy Central Roast of Bruce Willis, saying he was difficult on ‘Incredible Hulk’ because “I wanted a better script.” https://t.co/KKvDyvBhFG pic.twitter.com/1ao6rrwqbQ
— Ryan Parker (@TheRyanParker) 2018年7月15日
米国のテレビ番組「Comedy Central Roast of Bruce Willis」に登場したノートンは、番組の中で『インクレディブル・ハルク』での仕事が難しかったことを明かし、その理由として「もっと良い脚本が欲しかった」と発言したという。『インクレディブル・ハルク』は、のちに『レディ・プレイヤー1』(2018)を手がけるザック・ペンが執筆した作品だが、当時、ノートンがノークレジットで脚本の改稿に携わったことで知られている。
そもそも『インクレディブル・ハルク』については、米国公開直前にあたる2008年3月の時点で、マーベル・スタジオとノートン側が脚本や編集をめぐって衝突していることが報じられていた。米Deadline誌には、「マーベルはノートンの言い分を聞く気がない」という関係者の証言のほか、ノートンの『ミニミニ大作戦』(2003)や『アメリカン・ヒストリーX』(1998)における製作トラブルに言及したうえで、別の関係者による「あの俳優に脚本を書かせるべきじゃない」という声が掲載されていたのである。
さらに2010年、『アベンジャーズ』(2012)への出演をめぐって両者の不和は深刻化した。同作にノートンが出演しない件について、なんとマーベルは「金銭面ではなく、創造性や協調性のある俳優を求めるゆえの判断。『アベンジャーズ』ではアンサンブルの一員としての働きが求められます」という攻撃的な声明を発表したのだ。もちろんノートン側は、このコメントは不適切であり、ノートンの名誉を損なうものだとして厳しく反論している。
その後、ブルース・バナー/ハルク役はマーク・ラファロが引き継ぎ、『マイティ・ソー バトルロイヤル』(2017)や『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)ではそのパーソナリティを掘り下げるストーリーも描かれている。性格などはノートンが演じた人物像とは大きく異なるが、これはキャスティング変更による方針転換の結果だろう。ただしハルクをめぐるイメージの刷新や展開が功を奏した一方で、ノートンがマーベルとの関係にいまだ言及していることを鑑みると、当時のトラブルは現在に至るまで「しこり」を残しているといってよさそうだ。
ちなみにファンの間で希望する声が続いている「ハルク」の再映画化については、その権利をユニバーサル・ピクチャーズが有しているため、マーク・ラファロによれば「絶対にない」「話し合いをしているんですが、ありそうにない」とのことである……。
Sources: Ryan Parker, Deadline, AVClub