【インタビュー】『さよなら、僕のマンハッタン』主演カラム・ターナーが立つ「狭間」とは

マーベル映画『アメイジング・スパイダーマン』シリーズでも知られるマーク・ウェブ監督が、自身の代表作『(500)日のサマー』以前に出会い、この『サマー』よりも描きたかった作品としてついに映像化を果たした映画『さよなら、僕のマンハッタン』が、2018年4月14日より日本公開となった。
THE RIVERでは、この映画で悩める主人公トーマス・ウェブを演じたネクストブレイクの新鋭、カラム・ターナーにインタビュー。「今作は、ニューヨークへのラブストーリー。いろんなこと、真実を見出す男性の物語。ミステリアスな部分もある作品です。ポップコーンを食べながら、リラックスして楽しんでね」と語るカラムと共に、本作の魅力を探った。

偉大な大人に囲まれて
『さよなら、僕のマンハッタン』が素晴らしいのは、あらゆる要素が様々な「狭間」の上で絶妙なバランスを取りながら成立している点だ。主人公トーマス・ウェブを通じた「少年」と「大人」の狭間や、「軽蔑」と「情愛」の狭間、「男」と「女」の狭間、そしてこの作品自体も、文学的・教養的な印象と、ポップでカジュアルな印象の狭間にあるように感じられる(メジャー、インディーの狭間を行き来するマーク・ウェブ監督の手腕によるところが大きいだろう)。
トーマス・ウェブを演じたカラム・ターナーは、こうした狭間上にあるバランス感と、繊細かつ大胆に演じあげた。まだ未熟で、人生に迷っていたりクヨクヨしていても許されるであろう「少年」の一面と、大人の女性や自身の人生に向き合いながら凛々しさを得ていく「大人」の中間で、後者についてはジェフ・ブリッジスやピアース・ブロスナンをはじめとする名俳優に囲まれて演じた。
1990年生まれ、気鋭の若手カラムにとって、本作は大物たちに囲まれて緊張を強いられるものだったと想像できる。カラムは、W.F.ジェラルド役、アカデミー賞俳優であるジェフ・ブリッジから、服装や髪の毛に至るまでアドバイスを受けながら、「緊張感とどう折り合いををつけるか」について学んだという。
「ジェフは僕に、“とにかくやり続けるしかない。その作品に出ることを決めて、みんなと友達になって、楽しむ。作品自体が良くなくても、その経験がすごく良いものになる。うまくヒットしたり、誰かに喜ばれるのはおまけみたいなもの。結果はどうであれ、プロセスを楽しむ。常に成長する。やり続ける”と教えてくださいました。素晴らしい偉大な役者たちと一緒に過ごせたのは、本当に特別なことです。」
ニューヨークへの憧憬、やはり褪せぬ
『さよなら、僕のマンハッタン』からは、他にも「憧憬」と「共感」の狭間にあるようなフィーリングが得られるだろう。この「憧憬」には、その街並みを思い浮かべるだけでどうも高揚してしまうニューヨークの中にあってより深まる。劇中では、アッパー・イースト・サイドやロウワー・イースト・サイド、ソーホー、ブルックリンなど、ニューヨーク全土に渡るロケ地がめくるめく登場する。このニューヨークもまた、「古さ」と「新しさ」の狭間の景色が切り取られた。カラム・ターナー自身はイギリス・ロンドン出身だが、本作を経てニューヨークの感触に変化は。
「ニューヨークは本当に好きな街。これまで多くの時間をニューヨークで過ごして、家族って呼べる人たちもいて。今作では映画のマジックを感じました。自分の知っている人たちが見ている中で演技をするっていう経験もできましたし。今ではニューヨークは地元のように感じます。素敵な場所はいっぱいあるけど、グリーンポイントやダンボ、ブルックリンハイツは特に好きな場所ですね。」
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