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『NOPE/ノープ』ジョーダン・ピール監督、『AKIRA』実写版を断ったことに「満足している」

NOPE/ノープ
©2021 UNIVERSAL STUDIOS

『ゲット・アウト』(2017)『NOPE/ノープ』(2022)のジョーダン・ピール監督が、大友克洋の漫画『AKIRA』のハリウッド実写化企画を断った過去について現在の心境を語った。

『AKIRA』の実写化企画はハリウッドにて長らく計画されてきたもので、ピールが監督に就任する可能性があったのは、彼が『ゲット・アウト』で大きな注目を浴びた2017年のこと。もともと『AKIRA』のファンだったピールは意欲を示したとも言われていたが、結果的にはオファーを断っている。

Happy Sad Confusedにて、ピールは『AKIRA』の実写映画化について「とても情熱を抱いていた企画でした」と振り返りつつ、「引き受けなかったことに満足しています」と語った。「既存のIP(知的財産)を解釈することをやめたからこそ、新しいものを創造する道が開けたのだと思うから」。

今回の発言は、2017年5月、ピールが就任を断念した直後のコメントにも通じている。アニメ映画版『AKIRA』(1988)を敬愛するピールは、「ストーリーが正当ならば作れたと思います」と述べた一方、「僕にとって最大の問いは、既存の作品をやりたいのか、オリジナルをやりたいのかということ。結局のところ、僕はオリジナルを作りたいんです」と語っていたのだ。

NOPE/ノープ
©2021 UNIVERSAL STUDIOS

もっともピールの『AKIRA』愛は、のちに異なる形でスクリーンに表れた。『NOPE/ノープ』には、キキ・パーマー演じるエメラルドがバイクで疾走したのち、バイクを横滑りさせて停止するという“金田スライド”の再現ショットが含まれているのだ。英Empireにて、ピールは「バイクの停め方には数え切れない方法があるし、別の方法もあったけれど、『AKIRA』のスライドを実写でやることにしました」と語っている。「正しい道を選んだ自分自身のための“けじめ”でもあった」と。

なお『AKIRA』の実写化企画には、ピールののちに『ジョジョ・ラビット』(2019)『マイティ・ソー バトルロイヤル』(2017)のタイカ・ワイティティが就任。しかし、ワイティティも『ソー:ラブ&サンダー』(2022)のために企画を離脱しており、その後の動向はわかっていない。2021年の時点でワイティティは変わらぬ意欲を示していたが、実際に再就任が叶うかどうかは未知数だ。そして、本当に実写化が実現するかどうかも。

ピールは今回、実写版『AKIRA』に期待するものとして「ネオ東京は観たいし、全員日本人のキャストでやってほしい。映画ならではのやり方で、漫画のように『AKIRA』の世界に没入させてほしいですね」とも話している。原作の大ファンだけに、実写版に求めるハードルも相当高いようだ。

大友克洋の漫画『AKIRA』は、新型爆弾によって崩壊した東京に誕生した新首都「ネオ東京」を舞台に、暴走族のリーダー格である金田と、その親友であり、事故によって超能力に覚醒した鉄雄を主人公とする物語。軍が秘密裏に隠していた超能力者「アキラ」を解放して世界を征服しようとする鉄雄を止めるため、金田は戦いに臨んでいく。1988年には大友自身の手でアニメ映画化された。

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Sources: Happy Sad Confused, IndieWire, Empire

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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