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スター・ウォーズ『ローグ・ワン』ダース・ベイダー、惑星スカリフに登場する構想あった ― オープニング・クロールの案も

『スター・ウォーズ』シリーズ初のスピンオフ(アナザー・ストーリー)作品、映画『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(2016)。主人公ジン・アーソやキャシアン・アンドーら反乱軍のメンバーが、帝国軍の保有するデス・スターの設計図を盗み出すまでを描いた『エピソード4/新たなる希望』(1977)の直前にあたる物語だ。

この映画で観客を驚かせ、怖がらせ、そして興奮させたのがダース・ベイダーの活躍シーンである。密室の闇に浮かび上がる赤いライトセーバー、繰り出される圧倒的な戦闘能力……。しかし原案を担当したゲイリー・ウィッタ氏によれば、初期の構想では、ダース・ベイダーの活躍はまったく違うかたちになっていたという。

注意

この記事には、映画『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』のネタバレが含まれています。

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ダース・ベイダー、惑星スカリフのビーチに登場案

『ローグ・ワン』において、ダース・ベイダーは本編のクライマックスに登場した。帝国軍との死闘の末、惑星スカリフのシタデル・タワーからジンとキャシアンはデス・スターの設計図を強奪、はるか上空の艦隊にデータを送信する。しかしデータを受信した反乱軍艦隊の前に現れたのは、設計図を持ち出させまいとするダース・ベイダーだった。自らデータを奪還すべく反乱軍の船に乗り込んできたダース・ベイダーは、データを追って兵士たちを次々を手にかけていく……。

しかしゲイリー氏が当初考案したストーリーでは、ダース・ベイダーは惑星スカリフのビーチに登場する予定になっていたそうだ。自身のTwitterにゲイリー氏はこう記している。

「私の提案した(しかし執筆されなかった)バージョンでは、ベイダーはスカリフのビーチに現れて、帝国軍のタワーの下に陣取った反乱軍を一人で打ち倒していきました。[完成版の]ラダスの船の通路に現れるバージョンはすごく良かったですね。抑制が効いていて、アクションというよりもホラー調になっていましたから。」

詳細はわからないが、ゲイリー氏の執筆した原案では、ダース・ベイダーはスカリフの地上で反乱軍と戦ったのだという。おそらくゲイリー氏は、大きく開かれた空間で、広さを活かしたダイナミックなアクションを構想していたのではないだろうか。そうだとすれば、ダース・ベイダーの圧倒的な力が恐怖をもって示される完成版とは方針が大きく異なることになる。

『ローグ・ワン』は製作終盤に膨大な再撮影・再編集が行われたことで知られているが、ダース・ベイダーが反乱軍の兵士を次々に倒していくシーンも再撮影の段階で追加されたものだ(記事)。以前にもゲイリー氏は「ベイダーの皆殺しシーンは私が書いたんじゃありません。アイデアは僕にもあったけど、脚本に書くことはなかった」と語っていたほか、初期の構想では、生き残ったオーソン・クレニック長官をベイダーが処刑するプランがあったことも明かしている。整理すれば、ベイダーは自らスカリフで戦ったものの反乱軍を取り逃がし、最後にはクレニック長官を相手にその恐ろしい力を使ったということか…?

ちなみに『ローグ・ワン』は、『スター・ウォーズ』シリーズのお約束であるオープニング・クロールを持たない作品のひとつ。しかしゲイリー氏は、当初は『新たなる希望』につながるイースター・エッグ(小ネタ)を仕掛けたオープニング・クロールを執筆していたことも明らかにしている。

「私は確かにクロールを書きましたよ。『新たなる希望』のクロールとぴったり同じ語数だったことを覚えています。単独作品にはオープニング・クロールを用意しないという(正しい)判断が下される前のことです。」

映画『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』MovieNEXは発売中。

Sources: Gary Whitta(1, 2

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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