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【特集】『ローグ・ワン』実現しなかった3つのアナザー・エンディング ─ 設計図リレー、コルサント、カーボンフリーズ

映画『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』は、これまでの『スター・ウォーズ』ファンはもちろんのこと、新たな観客からも好評を博した、シリーズの新たな金字塔と呼びうる作品だ。しかし本作は、製作トラブルや膨大な再撮影大規模な再編集などが伝えられるなど、別の可能性を大きくはらんでいた映画であることもまた事実だろう。

米国でのBlu-ray/DVDリリース、デジタル配信の開始に先がけて、原案・製作総指揮のジョン・ノール、脚本を執筆したゲイリー・ウィッタが『ローグ・ワン』製作の過程で検討された“別の可能性”をありのままに明かしている。私たちが映画館で、そして自宅で観ている『ローグ・ワン』は、間違いなくそれら“別の可能性”が捨てられた先に生まれた映画だ。もしかしたらあの人物は存在しなかったかも、この人物の設定が異なっていたかも、あるいは別の結末になっていたかもしれない……。そんな“もしも”を想像しながら、『ローグ・ワン』をより深く味わうことにしよう。

この記事には、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』のネタバレが含まれています。

 

完成版のエンディングが生まれた理由

私たちが知る『ローグ・ワン』のエンディングは、デス・スターの設計図強奪作戦に臨んだ反乱軍の主なメンバーが全滅してしまう、あろうことか帝国軍のオーソン・クレニック総督も巻き込まれてしまう……というものだ。ラストカットのレイア姫さえなければ、いや彼女の威力をもってしてもバッドエンドに限りなく近いハッピーエンドである。ところがこの結末は、製作陣の中では最初から決めていたことだったという。

「彼らはみんな死ななければならない、と最初から直感していました。」

こう語るのは脚本家のゲイリー・ウィッタだ。ところがジョン・ノールによる原案をもとにウィッタが執筆した脚本の第一稿は、数名の人物が生き残る展開だったという。

「ディズニーが許してくれないことを恐れていたんです。『スター・ウォーズ』やディズニー・ブランドにしては暗すぎると思われるだろうって。」

それでもウィッタをはじめ、同じく脚本担当のクリス・ウェイツ、ギャレス・エドワーズ監督は『ローグ・ワン』は“全滅エンド”であるべきだと考えていた。とうとう本当の希望を抑えきれなくなった彼らが、ルーカスフィルムのキャスリーン・ケネディ社長らにその意向を伝えたところ、意外にもその要望は快諾されたという。「やりたかったエンディングをやれることになったんですよ」とウィッタは語る。

アナザー・エンディング① 宇宙空間での設計図リレー

はじめにご紹介するのは、脚本の初期段階で検討されていた“ハッピーエンド”だ。

まず主人公のジン・アーソ(フェリシティ・ジョーンズ)は、完成版のようにミッションのため反乱軍に引き入れられるのではなく、もともと反乱軍の軍曹という設定で、攻撃部隊に自ら命令を下す役割だったという。またキャシアン・アンドーディエゴ・ルナ)のようなキャラクターは登場していたものの、別の名前が与えられていたらしい。K-2SOはメンバーの一員として存在したものの、ボーディー・ルックリズ・アーメッド)、チアルート・イムウェ(ドニー・イェン)、ベイズ・マルバス(チアン・ウェン)は登場しなかったようだ。しかし、この“ハッピーエンド”でも全員が生き残ることはできなかったという。

「K-2は(どのバージョンでも)いつも死んでる。ジンは生き延びるし、“キャシアン”も生き残る。どちらのバージョンの脚本でも、(帝国軍と反乱軍の)両方に犠牲者がたくさん出るんです。」

このハッピーエンド版『ローグ・ワン』も、デス・スターがスカリフを破壊すべく登場するという展開は同じだという。決定的に異なるのは、このバージョンには設計図データを送る通信タワーが存在しないことだ。したがってジンとキャシアン(とは呼ばれていなかった別の人物だが)は、設計図のディスクを持ったままスカリフを脱出しなければならなかった。その後の展開を、ウィッタはこのように話してくれている。

「反乱軍の宇宙船が下りてきて、彼らはスカリフを離れるんです。設計図を渡すのはその後。ジンたちが(宇宙空間を)超えると、オルデランからレイアの船が助けに来ているんです。スカリフを離れてから、船同士でデータを送るんですよ。」

ところがそこにダース・ベイダーが現れ、ジンの乗るシャトルに攻撃を仕掛けはじめる。反乱軍は設計図をなんとかレイアの宇宙船に送ろうと試みるが、ついにベイダーの攻撃は命中し、ジンのシャトルは木っ端微塵になってしまうのだ。スクリーンには、宇宙空間に漂うシャトルの破片が映し出される……。

Writer

稲垣 貴俊
稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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