Menu
(0)

Search

『ローグ・ワン』チアルート・イムウェには盲目になる以前の物語がある!ドニー・イェンのアクションは『スター・ウォーズ』専用

ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー
© Walt Disney Studios Motion Pictures 写真:ゼータ イメージ

映画『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』チアルート・イムウェ役で出演しているドニー・イェンは、ベイズ・マルバス役のチアン・ウェンとともに、『スター・ウォーズ』シリーズで初めて主要キャラクターを演じるアジア人俳優だ。演じるイムウェというキャラクターは、フォースの存在やジェダイの教えを信じる盲目の僧兵という役どころ。観客や批評家からは、イムウェのキャラクターやドニーの演技に対して、すでに高い評価が集まっている。

本作のプロモーションで、ドニーは言葉少なながらも、『ローグ・ワン』の撮影やイムウェ役への思いを語っている。本記事では、そのうちのいくつかをご紹介しよう。

武術の使い手ではなく、俳優のドニー・イェンとして

バラエティ誌によると、『ローグ・ワン』のオファーが初めてドニーに届いたとき、彼は出演を引き受けるかどうかを悩んだようだ。まず、現在ドニーは香港在住だが、『ローグ・ワン』に出演するとなれば、撮影のため家族と離れてロンドンに5ヶ月滞在しなければならない。しかし彼の杞憂をよそに、ドニーの子供たちは「何言ってるの?『スター・ウォーズ』だよ、出なきゃダメだよ」と背中を押したという。

それでも、ドニーにはもうひとつの心配があった。近年、中国は映画の市場として急速に巨大化しており、ハリウッドからみても中国での興行収入は無視できない存在となっている。ドニーによると、「中国のマーケットに届けるためだけに僕らを欲しがる映画すらある」というのだ。『スター・ウォーズ』の新作はどうして自分を求めているのか、ただ武術が必要なだけではないのか……というのが彼の気がかりだったのである。

しかし、ギャレス・エドワーズ監督がドニーと話したことで、その心配はなくなったという。

「(ギャレスに)なぜ僕がこの役に必要なのかと尋ねたんだ。すると彼は、僕の映画を研究してきたこと、彼の求める人格が僕にはあるということ、そして僕にピッタリの役なんだと話してくれた。ポイントはマーシャルアーツの能力じゃなくて、俳優としての能力だったよ。マーシャルアーツのファンが喜ぶシーンはあるけどね」

膨大な背景を持つチアルート・イムウェ

ギャレスの言葉通り、『ローグ・ワン』でドニーは“マーシャルアーツの使い手”としてではなく、あくまで俳優としての作業を丁寧に積み重ねていったようだ。その結果、自身の演じるチアルート・イムウェには、映画本編では語られないバックストーリーが生まれたのだという。ScreenRantのインタビューで、ドニーはこう語っている。

「(チアルートには)本当はバックストーリーがあるんだよ。俳優たちやプロデューサー、監督とは、結論の出ない話し合いをたくさんしたし、(キャラクターの)研究もした。きっと[手を大きく広げて]こんな分厚い資料になると思う。でも、その中身を話すことは許されてないんだ」

ドニーによると、チアルートのバックストーリーには“なぜ彼が盲目になったのか”という経緯も含まれているという。映画で語られなかったエピソードにもかかわらず話してはならない……ということは、いずれ『スター・ウォーズ』シリーズのどこかで明らかにされるということだろうか?

『ローグ・ワン』のためのアクション

すでに『ローグ・ワン』をご覧になった方ならお分かりの通り、それでもやっぱりドニーのアクションはスゴい。なかでもストーム・トルーパーを次々と倒していく中盤のアクションは、彼の映画を初めて観る人にはとりわけ強烈な印象を与えることだろう。本作のアクションにも、ドニーは他の作品でマーシャルアーツを演じるのと同じように挑んだという。

BBCで少女からのインタビューに応じたドニーは、自身の幼少期を振り返りながらこう語っている。

「僕はたくさんのマーシャルアーツをやってきた。9歳のときに始めて、それからいろんなスタイルを学んだんだよ。すべての映画で、僕は作品独自のマーシャルアーツをそれぞれ作ってる。たとえば『ローグ・ワン』のチアルート役では、『スター・ウォーズ』専用のマーシャルアーツをちょっとだけデザインしたんだよ」

つまり『ローグ・ワン』でドニーが見せたアクションは、他の出演作では決して見られないというわけだ。しかしチアルートは盲目という設定のため、ドニーはカラーコンタクトレンズを付けて演技しなければならなかった。視界が青くなって周囲がはっきりと見えない上に、レンズを交換するため2時間に1回は20分間の休憩を取らねばならないという状況は、彼にとって大きなストレスになったようだ。

Writer

稲垣 貴俊
稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

Ranking

Daily

Weekly

Monthly