THE RIVER編集部『スケアリーストーリーズ 怖い本』ホラー界の新ヒロイン「青白い女」初登場シーン ─ 生気のない微笑み、垂れさがる皮膚
『シェイプ・オブ・ウォーター』（2018）のギレルモ・デル・トロが企画・製作・原案を務め、全米のトラウマ児童書を映画化する『スケアリーストーリーズ 怖い本』が2020年2月28日（金）に公開となる。このたび、クリーチャーを愛するデル・トロの心を鷲掴みにした“クリーチャー界のニューヒロイン”ペール・レディ（青白い女）の劇中写真と登場シーンが到着した。
『パンズ・ラビリンス』（2006）のペイルマンやパン、『シェイプ・オブ・ウォーター』の半魚人など、美しくも奇怪、恐ろしいモンスターやクリーチャーを多数生み出してきたギレルモ・デル・トロは、映画界屈指ともいうべき、クリーチャー愛にあふれたクリエイター。そんなデル・トロがオスカー受賞後はじめて企画・製作・原案を務める本作の基となったのは、選りすぐりの怖い話を詰め込んだベストセラー児童書。ところが、スティーブン・ガンメルによる挿絵があまりに不気味でおぞましいがゆえ、全米の学校図書館に置くことが禁じられた“トラウマ本”でもある。
この原作に、若いころ多大な影響を受けたというデル・トロは、墨のような黒鉛で描かれたグロテスクなモンスターのイラストを愛してやまなかったという。ガンメルの挿絵に惚れ込みたあまり、貧乏時代にガンメルの原画を衝動的に購入、妻との関係に暗雲が立ち込めたことさえあったそう。このたび本編の姿が公開されたペール・レディも、ガンメルの挿絵に登場するクリーチャーだ。
黒いロングヘアに、もちっとした青白い肌。小さな目でこちらを見据え、ゆっくりと近づいてくる、丸い背中の洋ナシ型シルエット。遠目に見れば、まるで着ぐるみマスコットのようだが、間近で見るとその印象はがらりと変わる。表情は微笑みをたたえているが、真っ黒な瞳の奥は暗く濁っていて、一切の感情はうかがえない。脂っぽい髪はべったりと身体に張り付き、血の気のない、なめし革のような皮膚が垂れさがっている……。
造形を担当したのは、『シェイプ・オブ・ウォーター』で半魚人を創作したマイク・ヒル。ペール・レディに強く惹かれたというヒルは、挿絵からそのまま這い出てきたかのような忠実さでガンメルのイラストを再現した。液体に近い黒鉛を使い、モノクロで描かれた挿絵の実写化にあたっては、肌の色は必然的に真っ白となっている。デル・トロは原画の再現に力を注ぎ、透き通るような肌質にも強いこだわりがあることを明かしている。「モンスターの色彩は、白やオイスター・グレイ、イエロー・パーチメント（羊皮紙のような黄色）などを混ぜて青白くしたかった。デジタル効果を使い、固体よりも滑らかに、液体のような質感にしたところもあります」。
『スケアリーストーリーズ 怖い本』
ハロウィンの夜、町外れの幽霊屋敷に忍び込んだ高校生のステラたちは一冊の本を見つける。そこには、美しい手書きの文字で、噂に聞いた怖い話の数々が綴られていた。持ち帰った翌日から、子供たちがひとり、またひとりと消えていく。そして、その“怖い本”には毎夜ひとりでに新たな物語が書かれていった。物語の主人公は消えてしまった子供たち。彼らが“いちばん怖いこと”に襲われる物語がそこにあった。次の主人公は誰なのか、子供たちはどこへ消えたのか。“怖い本”の呪いからは、誰ひとり逃げられない……。
原作は累計700万部もの売り上げを誇りながら、子どもたちにトラウマを与えたとして全米の図書館に置くことが禁じられた“最恐”の児童書シリーズ。企画・製作・原案のギレルモ・デル・トロが10代の頃に大きな影響を受けた本シリーズは、実際の事件を彷彿とさせる描写やおどろおどろしい挿絵に親や教師から苦情が殺到した。デル・トロの原点といえる作品の映画化にあたり、監督に起用されたのは『ジェーン・ドウの解剖』（2016）のアンドレ・ウーヴレダル。恐るべき映像表現とダークなユーモアの才能から、デル・トロに「この映画を任せられる監督は彼しかいない」と言わしめた。
映画『スケアリーストーリーズ 怖い本』は2020年2月28日（金）新宿バルト9ほか全国ロードショー。
