【インタビュー】『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』ケヴィン・ファイギが見てきたピーター・パーカーの成長

“全ての運命が集結する”と言われる『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』が、ここ日本でも遂に封切りを迎える。これに先がけ、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)を率いるケヴィン・ファイギのオフィシャルインタビューが到着した。
マーベルコミックスのいちファンだったファイギは、その膨大な知識を買われ、サム・ライミ版『スパイダーマン』シリーズに参加。今や、ハリウッドの一大フランチャイズを統括する立場となったファイギは、とりわけこの『ノー・ウェイ・ホーム』に並々ならぬ思い入れを感じているようだ。

物語の出発点
── この映画のコンセプトを見つけることについて
何でも可能なこのプロセスの中でも、仲間たちと一緒に部屋で座っている時が──今回だとマーベル・スタジオの会議室ですけれど──お気に入りのプロセスです。『ファー・フロム・ホーム』で彼の正体が明らかになったという事実から逃げたくないと思っていましたし、それが常に出発点でした。脚本家のエリック・ソマーズとクリス・マッケナ、監督のジョン・ワッツ、そしてエイミー・パスカルと一緒に座って、ブレインストーミングを始めました。次に何が起こるのか?大きなテレビスクリーンに正体が映し出されたマディソン・スクエア・ガーデンから去り、ピーター・パーカーはどうなるのか?そして、彼の人生はどのように変化し、混乱して行くのか?さらに重要なのは、それが彼の友人たちにどのような影響を与えるかということでした。ピーター・パーカーは大抵のことに対処できます。けれど、友人たちが自分の行動によって不当な影響を受けているのを目の当たりにすると、彼は精神的にかなり疲弊してしまう。
それらは常に初期段階からあったことでした。たくさんの楽しい議論をして。“何がクールだと思う?これをやったらいいんじゃないか、こうしたらいいんじゃないか”といつも話し合っていましたね。もしドック・オクを復活させるとしたら、アルフレッド・モリーナを起用しなければならないといつも言っていました。“どうやってそんなことをするんだ?”とも“いつかそうできたら楽しい”とも思いましたね。でも、まずはトム・ホランドのピーター・パーカーのストーリーを追いかける作業を始めました。彼ならどうするか?と。
ピーターはMCUの中でこの問題をなかったことにするために何ができるのか?と考えていた時に、彼がドクター・ストレンジのことを知っていると気がつきました。ドクター・ストレンジはグリニッジ・ビレッジのブリーカー・ストリートにいる。彼に頼めば、魔法のように全てを解決してくれたり、時間を戻してくれたり、呪文を唱えて人生が元通りになるようなことをしてくれるかもしれない、と。お察しの通り、そんなに簡単なことではないですし、物事はうまくいかなくなっていきます。
そして、ピーターは気づくんです。ドクター・ストレンジは確かに忘却の魔術を持っているけれど、全員に忘れて欲しくはないのだと。メイおばさんにも、ハッピーにも、MJにも、ネッドにも知っていてもらいたい。このユニバースでは、彼は一人ではない。彼には心強い仲間がいて、それを失いたくはない。そこで彼は呪文を台無しにし始め、ドクター・ストレンジは最後には魔術を止めて、“気にするな、すまない。こんなことをするべきではなかったんだ”と言う。
でも不運なことに、魔術がうまくいかなかったその小さな瞬間にも 、ピーター・パーカーがスパイダーマンであることを人々に忘れさせる代わりに、ピーター・パーカーがスパイダーマンであることを知っているあらゆるユニバースの人々が我々のユニバースに来てしまって……。
普通の子であること、ヒーローであることの葛藤

── 過去のヴィランたちを復活させるというアイデアについて
『スパイダーマン:ホームカミング』でスパイダーマンをMCUに登場させる機会を得たとき、これまでのスパイダーマン映画では行われなかった2つのことを探求しました。1つは、スパイダーマンの年齢をもっと若くし、高校生活に入ったばかりで、彼が若くしてこれらのパワーを持っていることに対処しながら高校生活を送っているということ。もう1つは、より広いマーベル・ユニバースを舞台にして、そこに他のヒーローがいるということです。