『それでも夜は明ける』スティーブ・マックイーン監督、新作は移民コミュニティ描く連作映画 ─ 故ジョージ・フロイド氏に捧げる

『それでも夜は明ける』(2013)のスティーブ・マックイーン監督は、2020年カンヌ国際映画祭にも選出された2本の新作映画『Mangrove(原題)』『Lovers Rock(原題)』を黒人男性の故ジョージ・フロイド氏に捧げることを表明した。米Deadlineなど複数のメディアが報じている。
「私はこれらの映画を、ジョージ・フロイドをはじめ、自身のアイデンティティによって殺されたり、差別や不当な仕打ちを受けたりしてきた、アメリカやイギリス、その他すべての国で暮らす黒人に捧げます。」
2020年5月25日、アメリカ・ミネソタ州ミネアポリスにて、フロイド氏が白人警官に首を膝で押さえつけられて窒息死する事件が起こった。この事件を受けて、黒人差別への抗議活動「Black Lives Matter」が世界的に広がっている中、マックイーン監督もまた、同活動に賛同する意思を示している。
マックイーン監督による最新作『Mangrove』『Lovers Rock』は、5作品の異なる物語から成るアンソロジーシリーズ「Small Axe(原題)」に含まれた作品。本シリーズでは、1960年代後半から80年代後半を舞台に、人種差別を受けながらも懸命に闘う、ロンドンにある西インド系移民コミュニティの物語が描かれていく。
『Mangrove』は1970年を舞台に、反人種差別を掲げる黒人運動家団体「マングローブ9」、そして同じく運動家であるフランク・クリッチロウの姿を描く実話だ。出演者には『ブラックパンサー』(2018)のレティーシャ・ライト、「ロスト・イン・スペース」(2018-)のショーン・パークス、『ファイティング・ファミリー』(2019)のジャック・ロウデンなどが参加。脚本は『トゥームレイダー ファースト・ミッション』(2018)のアラスター・シドンズとマックイーンが共同執筆している。
また『Lovers Rock』は、1980年代初頭のブルース・パーティーで繰り広げられる若者たちの恋と音楽を描くフィクション。出演者には新人女優アマラ・ジェセント・オービン、「セックス・エデュケーション」(2019-)のケダル・ウィリアムズ・スターリングなどが参加しており、脚本にはマックイーンと共にクルティア・ニューランドが名を連ねている。
なおシリーズのタイトル「Small Axe」は、アフリカで語り継がれていることわざ「If you are the big tree, we are the small axe(あなたが大きな木なら、私たちは小さな斧だ)」に由来している。「僅かな声であっても、より強力な声に立ち向かうことが出来る」という意味だ。この言葉は歌手ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズの楽曲『Small Axe』の歌詞の中でも引用されており、今回のマックイーンによる声明にも記されていた。
『Mangrove』『Lovers Rock』を含む本シリーズは、当初は5時間を超えるテレビシリーズとして、英BBCのもと製作されていたが、現在では英BBC Filmsとの共同製作で、あくまでも映画シリーズとして位置付けられている。マックイーン監督と同じく、「Black Lives Matter」において積極的に活動している『スター・ウォーズ』のジョン・ボイエガも出演していると伝えられていたが、詳細は不明だ。
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Source: Deadline