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『スパイダーマン』MCU離脱、ソニー会長が「現時点で」認める ─ 独自作品が複数進行中、今後の再合流は否定せず

スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム
© 2019 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved. | MARVEL and all related character names: © & ™ 2019 MARVEL.

ディズニー/マーベル・スタジオとソニー・ピクチャーズが『スパイダーマン』映画の契約条件をめぐって対立し、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)からスパイダーマンが離脱する可能性があると報じられた件について、ソニー・ピクチャーズの会長兼CEOであるアンソニー・ヴィンシクエラ氏が公の場で語った。

2019年9月5日(米国時間)、ヴィンシクエラ氏は米Variety主催のカンファレンス・イベントに登壇。『スパイダーマン』をめぐるディズニー/マーベルとソニーの契約については「現時点で扉は閉ざされています」と述べ、両社の交渉がひとまず終了していることを明らかにした。かねてよりの米国メディアによる報道通り、『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』をもって事業提携の更新はなされていないとみられ、少なくとも「現時点で」スパイダーマンのMCU離脱は認められた形だ。

一連の問題について、関係者が交渉状況について直接言及したのは今回が初めて。これまでマーベル・スタジオのケヴィン・ファイギ社長やスパイダーマン役のトム・ホランドもコメントを発してきたが、いずれの内容もMCU離脱を示唆するものでこそあれ、今後を直接的に明言するものではなく、またスタジオ同士の契約などビジネス的な側面には触れられていなかったのである。

ヴィンシクエラ氏は、ディズニー/マーベルに対しては「怒りはまったくありません」と強調。「先は長いですから(It’s a long life.)」とも述べて、再びの事業提携、スパイダーマンのMCU再合流を否定することはしなかった。これは第一報の直後、ソニーの公式声明に「(今回の決定が)将来的に変化することを願っています」との言葉があったことにも通じているだろう。

また公式声明と同じく、マーベル・スタジオのケヴィン・ファイギ社長について、ヴィンシクエラ氏は「余力がない」状態だと発言。ディズニーの20世紀フォックス買収のみならず、先日から発表されている大量のMCU作品のタイトルを見れば、そのことはファンの目にも明らかだろう。ちなみにソニーはファンの批判も十分に把握しており、「興味深い数週間でした」とも語られている。

スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム
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現在、ヴィンシクエラ氏は「マーベルの方々は素晴らしい人々。大きな敬意を払います」としながら、「私たちの方にも素晴らしい人たちはいます」として、今後はソニー独自の『スパイダーマン』計画を推し進めていくことを明言。『ヴェノム』(2018)続編や、ジャレッド・レト主演『モービウス(原題:Morbius)』が控えているほか、テレビシリーズは5~6作品計画されているという。

「スパイダーマンはイベント・ムービーになる以前から良いものでしたし、イベント・ムービーとしてさらに良いものになった。今では私たち自身のユニバースもありますから、他のキャラクターとも関わり合っていくでしょう。私たちは(スパイダーマンで)やるべきことをやれると考えています。」

なおヴィンシクエラ氏は『スパイダーマン:スパイダーバース』(2018)の成功や、Amazon Studiosと共同製作のドラマ「ザ・ボーイズ」(2019-)の好調ぶりに言及しながら、ソニーによる“スーパーヒーロー作品”の今後にも自信をにじませている。スパイダーマンのMCU再合流は、もし実現するにせよ当面先のことになりそうだ。

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Source: Variety

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。