【大解剖】『スパイダーマン ホームカミング』予告編、日本版とアメリカ版を比べてわかること
映画『スパイダーマン ホームカミング』の予告編が公開された。直前に報じられた通り、予告編にはアメリカ国内版とインターナショナル版の2種類が存在する。日本の公式SNSなどで大々的に告知されている字幕付きの映像はインターナショナル版だ。
すでに両方ご覧になった方はご存知のことと思うが、この2種類の予告編は内容がまるで違う。すなわち映画を紹介する切り口が異なるのだ。そこで2つの映像を照らし合わせてみると、早くも『ホームカミング』の中身がいろいろとわかってきた。
インターナショナル版(日本語字幕版)予告編
巨悪と戦う(戦いたい)ピーター・パーカー
まずは字幕付きの映像から確認していこう。『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』での印象的な登場シーンから始まるインターナショナル版は、まず夕刻のクイーンズ、スパイディ・スーツを着たピーター・パーカー(トム・ホランド)、車内で話をするピーターとトニー・スターク(ロバート・ダウニー・Jr.)、アベンジャーズのお面をした強盗をボコボコにするスパイディ、と続く。ちなみに夕刻のクイーンズの映像はのちほど登場するので覚えておいていただきたい。
ここまでの映像で分かるのが、まずピーターがスパイディとして世界を守るため戦っていること、しかしアベンジャーズの域には及んでいないことだ。幕開けから、トニーら“アベンジャーズ”に対する“少年ヒーロー”としてのスパイダーマンを強調する構成になっている。そして、悪と戦う(戦いたい)ピーターの戦いぶりは、このあとヴィランが続々登場することでより確かになっていく。
ふたりのヴィラン、ヴァルチャーとショッカー
インターナショナル版予告編には、スパイダーマンと対決するふたりのヴィランが登場している。マイケル・キートン扮するヴァルチャーと、ボキーム・ウッドバイン扮するショッカー(公式発表はされていないが情報が流出済)だ。スパイディはそれぞれに苦戦を強いられるようだが、どんな能力を見せてくれるのか期待が高まる。ちなみにウッドバイン演じるショッカーの姿は、アメリカ国内版の予告には登場していない。
しかし気になるのは、予告編の後半で、ヴァルチャーがショッカーの武器を持って飛行しているらしいことだ。ヴァルチャーとショッカーは共闘関係にあるのか、それとも別の目的があって動いているのかははっきりしない。ヴィラン同士が対立している可能性もあるだろう。ヴァルチャーがショッカーから武器を奪うという展開はありうるだろうか?

とにかく学校(と思しき建物)で、崩壊するフェリーで、スパイディは体を張りまくっての奮戦ぶりを見せている。『シビル・ウォー』にも登場したメイおばさん(マリサ・トメイ)も登場するし、アイアンマンとスパイディが並んで飛ぶという夢のような映像も見られるしで、まさに大盤振る舞いの予告編だ。
こうして見ると、インターナショナル版の予告編は、とにかく“戦うスパイダーマン”という方向性を強く打ち出した映像となっている。トニーに認められない不満をぶちまける場面もみられるが、やはりアベンジャーズに対するスパイダーマンという構図になっており、ヒーローの成長物語としての印象を与えるだろう。
しかしアメリカ国内版の予告編では、インターナショナル版に含まれていない側面が大胆にフィーチャーされている。ピーター・パーカーの学生生活である。
アメリカ国内版予告編
ピーター・パーカーの鬱屈した学園生活
インターナショナル版とはうってかわって、アメリカ国内版の予告編は夜のクイーンズ、アベンジャーズのお面を被った強盗をボコボコにするくだりからスタートする。
しかし場面が変わるとそこは昼間の学校、ピーターの高校生活の様子を垣間見ることができる。同級生のリズ・アラン(ローラ・ハリアー)に見とれるピーター、その横にはクラスメイトのネッド・リーズ(ジェイコブ・バタロン)、ピーターとネッドを「負け犬」呼ばわりするミシェル(ゼンデイヤ)が次々と映し出されるのだ。一時はゼンデイヤがMJ役を演じると噂されていたが、ゼンデイヤ本人がこれを否定していた。ピーターが恋するヒロイン的ポジションはローラ・ハリアーが務めるようだ。
またピーターは、『シビル・ウォー』でジャイアント・マンと戦った際の映像を授業中に観て注意されるなど、愛すべきダメっぷりを見せてくれている。しかしその一方では、服の下に着られたスーツや、夕刻のクイーンズでスーツを着たまま電話するピーター、「僕がスパイダー…」と告白しようとする台詞など、やはりティーンの日常とヒーロー生活の間での葛藤を予感させる映像がふんだんに盛り込まれているのである。
ちなみにワンタッチで上半身裸になるピーターが見られるのもアメリカ国内版だけである。
3人目のヴィラン、そして
アメリカ国内版の予告編には、ボキーム・ウッドバイン扮するショッカーが登場しない代わりに、また別のヴィランが姿を見せている。ヴィラン役で登場すると報じられていたローガン・マーシャル=グリーンらしき人物と、その隣には『オデッセイ』に出演していたドナルド・グローバーの姿もあった。
グリーンらしき右の人物が手にしている武器は、ショッカーが操っているものと同じにも見えるが、こちらは青い光を放っている。ショッカーの武器は紫色の光なので、見た目は似ていてもまったく違う武器なのかもしれない。
ちなみに、これで『ホームカミング』に登場するヴィランのうち3名の姿が確認できたわけだが、マイケル・チャーナスが演じると報じられたティンカラーは未だ登場していない。今後、予告編やTVスポットなどでの登場が待たれるところだ。
タイトルロゴを比べてみよう
最後に、『スパイダーマン ホームカミング』のタイトルロゴを日本語版と英語版で比較してみよう。もちろん、どちらが好みかは人それぞれだが、あえて私見を述べるなら「日本語版はどうしてこうなっちゃうの?」という気持ちでいっぱいである……。
映画『スパイダーマン ホームカミング』は2017年8月11日公開予定。
Eyecatch Image: https://www.youtube.com/watch?v=xrzXIaTt99U