『スパイダーマン バッド・コネクション』発売 ─ スポットも登場、「アメリカの今」リアルに感じられるヤングアダルト小説

スパイダーマンのヤングアダルト小説最新作『スパイダーマン バッド・コネクション』が2025年9月22日より発売された。人気イラストレーターのヒョーゴノスケさんによる表紙が目印だ。前巻の1章分試し読みも公開中だ。CGアニメーション映画『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』にも登場した、時空を自由に操るヴィラン「スポット」も出現する。
※Amazon のアソシエイトとして、THE RIVERは適格販売により収入を得ています。
60年以上にわたって愛されるマーベル・コミックの大人気ヒーロー、スパイダーマン。平凡な高校生のピーター・パーカーが、突然変異したクモに嚙まれたことにより、超人的な力を得て誕生した、ニューヨークの若きヒーローだ。
そんなスパイダーマンのオリジナルストーリー『スパイダーマン ソーシャル・ジレンマ』に続く作品が、本書『スパイダーマン バッド・コネクション』だ。
ストーリーはマーベル・コミックの公式作家である著者プリティ・チバ―氏が新たに書き下ろしたもので、ここでしか読めないオリジナル。『スパイダーマン』シリーズの魅力である、ユーモアやアクション、青春などの王道要素がたっぷり詰まっていて、スパイダーマンを詳しく知らない人でも、最初の入り口として安心して楽しめる。
また、作中では多民族、多文化、インクルーシブ(「包括的に」あらゆる人たちを平等に受けとめる)社会に生き、スマートフォンやSNSが身近にある、現代のアメリカの若者の姿もリアルに描かれており、読者は最新にアップデートされたスパイダーマンの物語としても楽しめるはずだ。
高校生ピーター・パーカーの正体は、ニューヨークの平和を守るスパイダーマン。新年を迎えたばかりの街で、謎の犯人による不可解なATM襲撃事件が立て続けに発生中! 現場に残っている「黒い点」の正体は?
恋人のMJと共に事件の真相を探る中、スパイダーマンのSNSにこれから起こる犯罪の情報が送られてくる。この匿名アカウントは誰なんだ?さらには、スマホの中に潜む邪悪な敵の気配も。
一方、高校生活では科学のシャー博士の様子がおかしかったり、怪しい大人たちに課題を邪魔されたりと、こっちも何やら不穏な雰囲気。舞台は街や学校を飛びだし、より広大な世界へ。「アメリカの今」もリアルに感じられるヤングアダルト小説。
スパイダーマンはNYを守るスーパーヒーローである一方で、ピーター・パーカーという平凡な高校生でもある。若いヒーローは、この二重生活の両立にしばしば悩まされる。
物語では、スパイダーマン=ピーター・パーカーは恋人のMJ(メリー・ジェーン・ワトソン)の協力でヴィランに立ち向かうが、時折二人の連携にはひびが入る。MJはたびたびヒーローの活動で命を危うくするピーターへの心配を募らせるし、ピーターはMJが学校での活動で直面したトラブルを充分にサポートできないのだ。
「訳者あとがき」で翻訳の上杉隼人氏は、タイトルの『バッド・コネクション』を引用しながら、以下のように解説している。
本書を読みながら、読者はタイトルBad Connection(通信不良)が暗示するものをいたるところで考えることになる。
bad connection(通信不良)は、メッセージやデジタル通信(メール、サイト閲覧、チャット)がうまくつながらない、機器やネットワークにトラブルが見られるといったことを表面上は意味する。だが、「人間関係・信頼関係のすれ違い」を暗示し、ピーターとMJのあいだには情報の共有不足から誤解や距離感が生まれていることも想起させる。さらにスパイダーマンと匿名の協力者のあいだに見られる情報のすれちがいや、スポットと背後にいる謎の指示者とのあいだの信頼関係の欠如も感じさせる。
実際、物語の後半では、スパイダーマンの警告や意図が人々に正しく伝わらず、状況は混乱し、事態は悪化していく。
このように「バッド・コネクション」は、「物理的な通信障害」のみならず、「心理的、社会的な断絶」を生じさせる。その結果、個人間や社会全体に大きな障害がもたらされることにもなる……。
SNSやインターネットの発達によって、年齢に関わらず、より多くの他者と多くの情報を交換することができるような時代だからこそ、信頼の欠如やすれちがいによるディスコミュニケーションがもたらす悲劇について、物語を通して味わってみるのもよいかもしれない。
『スパイダーマン バッド・コネクション』上下巻は各1,650円(税込)で発売中。
※Amazon のアソシエイトとして、THE RIVERは適格販売により収入を得ています。
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