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【まあまあ満足】ジョーカー結構でてるってよ。『スーサイド・スクワッド』ネタバレなしレビュー

DCEU第3作「スーサイド・スクワッド」、興行的にまあまあの結果を残したものの、批評家たちにこき下ろされた「バットマンVSスーパーマン ジャスティスの誕生」の後を引き継ぎ、公開前から興行的なヒットだけではなく、内容的にもファンを納得させなくてはならないという至上命題を背負わされた作品でした。
ところが全米公開直前の試写を見た批評家達からは、酷評の嵐。先日UPした当サイトの記事に詳しく「スーサイド・スクワッド」公開前の騒動の顛末が詳しくまとめてありますので、そちらもご参照下さい。

筆者的には今作のメガホンをとったデイビッド・エアー監督の手腕には全幅の信頼をおいていたものの、止せばよいのに海外映画批評サイトに寄せられたどうかしてる量の批判的な記事を読む度に、失望に胸が塞がる気持ちでおりました。レビューサイトの批評家スコアが凄く低いのは、まあ尖った作品にごく稀にあることなのですが、観客スコアが全米公開から日が経つにつれジリジリ下がっていってしまったので、興行的にスマッシュヒットが確定しても、不安な気持ちは消えませんでした。
そんなわけで、とても楽しみというよりは、おっかなびっくり迎えた本日の日本公開日。朝一番の回の鑑賞を終えての感想は、「思ったより全然良かったけど、これは評価分かれるなあ。」というのが正直なところです。

まず、如何なものかと思ったところから先に簡潔にやっつけてしまいましょう。ストーリープロットは、前評判通り、イマイチ描き込み不足です。総勢10名近くのDCコミックキャラクターが入り乱れる本作、おそらくバットマンやジョーカーを知らない観客はあまり居ないでしょうが、その他のヴィランに関してはサラッとした紹介しかありません。アメコミファン以外は高確率で置いてきぼりをくらった気分になるのではないでょうか。
一番どうかなと思った点は、キラークロックみたいな連中捕まえてこう言うのもなんですが、キャラクターの人間性が把握できないので、ラストに向かってチームの結束力が上がっていったり、仲間のために身を呈したりしても、カタルシスがうまく生まれません。主役級の扱いのデッドショットとハーレイは尺を長めに紹介されはするのですが、デッドショットはともかく、ハーレイは原作からして破天荒キャラなので仕方ない部分もありますが、こんなコントロール不能なジョーカーの紐付女、作戦にとっての危険要素がどうしてチームに入れるのか、ハーレイは何をどう気に入って枷が外れているにも関わらず最後の戦いに付き合うのか、終始登場キャラクターの心の流れが読み取れませんでした。

また、物語演出上、観客には全てが提示されたまま何も隠されず話が進むので、チームが招集された作戦の真の意味やら、ラスボスやら、意外な展開が何もない、ってところもマイナス要素でしょう。普通の映画ならば。

さて、苦言はこのくらいにして、この映画「スーサイド・スクワッド」それ以外の点では、筆者は大変満足致しました。まずアメコミ原作映画ではクリアしなければならない絶対条件。「既存のコミックキャラクターを魅力的に描写できるか」これは、基準を大幅に超えて大成功しています。デッドショットもキラークロックもとにかくカッコいい。そしてみんなが口を揃えるでしょうが何といってもハーレイですよ。まあ、とにかく可愛いんだ。前述したようにキャラの特性からも、シナリオ的にもメチャクチャな人なんですが、とにかく華があるので画面に映ってるだけでなぜか「ありがたい」気持ちになってしまいます。
普通ストーリーが弱い映画はキャラの魅力も減ってしまうものですが、今作についてはそれはない、むしろ動いているキャラクターを鑑賞し愛でるためだけの映画の趣すらあります。

またロゴ、衣装、タイトルバック、エンドロール、といったこの映画の「ガワ」の部分。陰鬱な夜に映える毒々しいネオンサインのような、それでいてどこかキュートな、非常に印象的な秀逸なデザイン揃いだと思います日本国内版は断固として除く。音楽も80年代後半から90年代初頭の誰でも知っているようなヒットチューンをPVかと錯覚させるほど印象的に多用しており、ベタな選曲に人によって好みは激しくわかれそうですが、筆者的には「一周回ってダサかっこいい」と受け取りました。

総じてこの映画、普通の映画としては今ひとつ、アメコミファンとして心待ちにしているアメコミ映画を見る目で鑑賞すると、カッコよくて可愛いキャラクター達をたっぷり見せて頂いて有難うございます、満足です、という二律背反な玉虫色の感想になります。

Writer

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アクトンボーイ

1977年生まれ。スターウォーズと同い歳。集めまくったアメトイを死んだ時に一緒に燃やすと嫁に宣告され、1日でもいいから奴より長く生きたいと願う今日この頃。

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