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最高!『スーサイド・スクワッド』レビュー これはジョーカーとハーレイ・クインのラブストーリーだ

ついに日本公開が始まった、映画『スーサイド・スクワッド』。公開前から期待値大の盛り上がりを見せていたが、すでに試写などで鑑賞した観客の評価は意外や意外、両極端に分かれているのだ。

筆者の感想はというと、それはもう「最高」のひと言に尽きる。
実際、試写後に友人に宛てたLINEでは2・3言ごとに「最高」と語彙のない感想を送りつけていたほどだ。


2・3言ごとどころじゃなかった
2・3言ごとどころじゃなかった

しかし、辛口評価になってしまうのも分からなくはない。

筆者は試写で観るまで前情報をほとんどシャットアウトしていた為、この作品に対しては“悪役たちが暴れ回るバイオレンス・アクション”というイメージを持っていた。
確かにそれは間違いではなかったのだが、 もし今作をどんな内容か一言で述べよと問われたら、確実にこう答えるだろう。
これはジョーカーとハーレイ・クインのラブストーリーである」。

主役はハーレイ・クイン!?メンバー内格差のあるストーリー

作中、特殊部隊“スーサイド・スクワッド”として集められたヴィランズのバックストーリーが語られるが、まずその内容の厚さに偏りがある。どう見てもハーレイ推しだ。
今作のヒロイン、そしてDCコミックス作品において、悪役の代名詞と言っても過言ではないジョーカーの恋人と考えたら当然と言えば当然だが、それでも他のメンバーが不憫になるくらいの差がある。

もちろん、作品の主軸を見失わないようカットされた部分も多いだろうが、例えば、家族との過去を理由に戦闘を避けるエル・ディアブロや、その風貌ゆえ人々から恐れられ虐げられてきたキラー・クロックは、ドラマで言えば1エピソードは賄えるんじゃないかと思うくらい深く掘り下げられる余地がありそうだし、需要も多そうだ。

エル・ディアブロ 『スーサイド・スクワッド』公式Twitterより
エル・ディアブロ 『スーサイド・スクワッド』公式Twitterより
キラー・クロック 『スーサイド・スクワッド』公式Twitterより
キラー・クロック 『スーサイド・スクワッド』公式Twitterより

モブキャラよろしくあっという間に散ったスリップノットは、ファンがいたらキレてもいいくらいのおざなりっぷりだったし、カタナについてもその非業な過去を、取って付けた説明のようにちょろっと漏らしただけで終了。

スリップノット 『スーサイド・スクワッド』公式Twitterより
スリップノット 『スーサイド・スクワッド』公式Twitterより
カタナ 『スーサイド・スクワッド』公式Twitterより
カタナ 『スーサイド・スクワッド』公式Twitterより

個人的には、変身シーンのかっこよさに震えたエンチャントレスに、もっと突っ込んたストーリーがあれば良かった。 本体であるジューン・ムーン博士が魔女に憑依されるくだりや、バスタブの中で力に怯えているシーンがとても印象的だったリック・フラッグ大佐との出会いから馴れ初めまでなど、彼女で一本映画を作ってくれ!と叫びたいほど魅力的なキャラクターだったのだが、結局“なんだかすごそうな魔術的パワーで世界を滅ぼそうとするラスボス”というありがちな表現で終わってしまったのがとても残念である。

エンチャントレス 『スーサイド・スクワッド』公式Twitterより
エンチャントレス 『スーサイド・スクワッド』公式Twitterより
リック・フラッグ大佐 『スーサイド・スクワッド』公式Twitterより
リック・フラッグ大佐 『スーサイド・スクワッド』公式Twitterより

そして、部隊の中心的存在として描かれていたデッドショットですら、ハーレイの存在感に押されて中途半端な立ち位置に置かれていたではないか。せっかくのバットマンとの絡みもあったのに、今一歩主役になり切れず、もったいなく感じたのは筆者だけではないはずだ。

デッドショット 『スーサイド・スクワッド』公式Twitterより
デッドショット 『スーサイド・スクワッド』公式Twitterより

ただ、キャプテン・ブーメランは今作においてのキャラと見た目と小物感がとてもマッチしていた。海外ドラマ『ARROW/アロー』ですでに実写化もされているので(同一人物ではないにせよ)、スーサイド・スクワッドのメンバー内では唯一、ちょうどいい描かれ方をされていたのではないかと思う。

キャプテン・ブーメラン 『スーサイド・スクワッド』公式Twitterより
キャプテン・ブーメラン 『スーサイド・スクワッド』公式Twitterより

 

メインストーリー以上のサブストーリー

さて、では作品の主軸とは。
当然のことながら、ヴィランたちが任務を遂行するというメインストーリーはあるものの、やはり、どうしても印象に残ってしまうのが、ハーレイのバックストーリーだ。いや、もはやこれはサブストーリーと言ってもいい。

ハーレイ・クイン 『スーサイド・スクワッド』公式Twitterより
ハーレイ・クイン 『スーサイド・スクワッド』公式Twitterより

物語の随所でフラッシュバックするのは、彼女の過去。いかにしてヴィランになったのか、いかにしてジョーカーの恋人となったのか、そしてなぜ投獄されていたのか。それらが語られる度に、うっかりメインストーリーを忘れてしまう程ドラマチックな展開が待ち受けていた。

獄中のハーレイ 『スーサイド・スクワッド』公式Twitterより
獄中のハーレイ 『スーサイド・スクワッド』公式Twitterより

やはり、ジョーカーの存在は大きいのだ。

ジョーカー 『スーサイド・スクワッド』公式Twitterより
ジョーカー 『スーサイド・スクワッド』公式Twitterより

スーサイド・スクワッドのメンバーではないため、出番は圧倒的に少ないにもかかわらず、これだけ心奪われるのは「犯罪の道化王子」と呼ばれる狂人がハーレイ・クインを本気で愛しているからだ。
元は脱獄の道具くらいにしか思ってなかっただろうハーレイが自分に心酔していく様を間近で見ていて、ジョーカーも徐々に心変わりをしていったのだろうか。

『スーサイド・スクワッド』公式Twitterより
『スーサイド・スクワッド』公式Twitterより

その愛を確かめるべく、ハーレイを薬品タンクに落とすシーン。なんの躊躇もなく落ちたハーレイを助けるべく、しぶしぶ自らもタンクにダイブするシーンは「最高」にかっこよかったではないか!
バットマンに追われ、車ごと海へ落ちた時、あっさりとハーレイを置いて姿を消したシーンでは、結局はハーレイを捨て駒としてそばに置いていただけだったのかと思わされた。
しかし、劇的な2人の愛の物語は過去から現在へと続く。メインストーリーと並行して行われるジョーカーのハーレイ救出作戦は、メインを凌ぐほど心躍るシーンだった。

『スーサイド・スクワッド』公式Twitterより
『スーサイド・スクワッド』公式Twitterより

命懸けで敵地に乗り込み、ハーレイを救おうとする彼の行動は確かに彼女への愛であり、ヴィランだろうがなんだろうが、ハーレイにとってのジョーカーはまごう事なきヒーローなのである。
ここに、ヴィランによるもうひとつのヒーローストーリーが出来上がり、この肉付けがあってこそ今作を「最高」と呼べる作品にしているのである。

悪カワヒロイン、ハーレイ・クインは完璧!

ハーレイが抜群に悪カワイイキャラクターとして描かれているので、他のメンバーの扱いが多少疎かになっていても許容できてしまうから不思議だ。キャラが強烈なので他より際立ってしまう部分もあるだろうが、とにかく“ハーレイ・クイン”が終始ブレないところが素晴らしい。ただひたすらにプリンちゃん(=ジョーカー)のことを一途に想い続けるハーレイは、ヴィランの前にひとりの恋する女の子だ。

ハーレイ・クインを演じているマーゴット・ロビーの力量にも舌をまいた。なにせ、ひとつ前に観た彼女の作品は『ターザン:REBORN』のジェーンだったからである。180度タイプの違うキャラクターをこうも演じられるのかと驚かされた。

『ターザン:REBORN』公式サイトより
『ターザン:REBORN』公式サイトより

『ターザン:REBORN』のレビューはこちら

全体的な出来は及第点、どこに重きを置くか

バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』のラスト、スーパーマンの葬儀から繋がる形で始まり、エンディングではバットマン=ブルース・ウェインが仲間を集めるべくアマンダ・ウォーラーにコンタクトを取るシーンに繋がり終わる。この流れにしたことにより、基本シリアスでダークなDC作品の中ではコメディ色が強く異色に見える今作も、見事にDCエクステンデッド・ユニバースの一員に仲間入りできた。

ただ、ストーリーには特に目新しいところはなく、結局はミスの尻拭いをさせられるだけという急に手を抜いたかのような流れに呆気に取られる場面あり、世界滅亡の恐れがあるほどの事態でも、キャラクターたちが立ち回る舞台がミッドウェイシティの一角だけと狭いため、こぢんまりとした世界観になってしまっていたのが惜しいところ。
アクションも際立った部分はなく、クライマックスのスローモーションは長いな……とさえ感じてしまった。
悪くはない、悪くはない出来なんだけれども……高く上げ過ぎたハードルを越えられなかった観客たちは、こういった部分に引っかかったのかも知れない。

素直にアクション作品として観るか、キャラクター作品として観るか、そのキャラクターを受け入れられるか。特にジョーカーは、今までにも何人かの俳優が演じているため、短い出番ながらも一番賛否が分かれる部分なのではないだろうか。
人それぞれ、注目する部分や見方の違いによって評価が分かれるのは仕方がないことなのだと、この作品においては強く思う。

あなたはどう観るか、そしてどう評価するか。一概によかった悪かったと言えないところが、この 『スーサイド・スクワッド』の面白いところであり、楽しみ方なのかも知れない。
少なくとも多くの観客が、良くも悪くも予想していたものとは違う作品に出会うことになるだろう。

最後に、重ねて言うが筆者は今作を「最高」の一作だと声を大にして言いたい。

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Writer

Az

洋画・海外ドラマ大好きマン、海外俳優オタ。 映画をスクリーンで観賞することが好きで、映画館にはほぼ毎週通っています。 誰が読んでも分かりやすい記事を書くのがモットー。

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