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【インタビュー】『ローグ・ワン』監督にマーベル映画主演女優も輩出!巨大フェス「SXSW」に映画ファンが注目すべき理由を訊いた

SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)インタビュー

サウス・バイ・サウス・ウェスト(以下SXSW)をご存知だろうか。

アメリカ オースティンで毎年3月に開催される、音楽、映画、インタラクティブをテーマにした巨大ビジネスカンファレンス&フェスティバル。世界中から多くの来場者が訪れ(2014年は65万人)、開催期間中はオースティンの街中がお祭り騒ぎになる。あのTwitterが2007年のSXSW  ウェブ・アワードの大賞を、Pinterestが2012年のインタラクティブ・アワードを受賞した事がきっかけでそれぞれ世界中で大ブレイクするなど、スタートアップやビジネス関係者の間ではここ日本でもかねてより大きな話題となっている。

音楽部門も様々なバンドやアーティストにとって重要な場となっており、ザ・ホワイト・ストライプス、ストロークス、フランツ・フェルディナンド、ノラ・ジョーンズ、チャンス・ザ・ラッパーといったアーティストらを輩出しているほか、レディー・ガガはじめ世界中の一流アーティストたちがSXSWでパフォーマンスを行っている。

インタラクティブ部門、音楽部門に加え、SXSWは映画部門にも注目したい。インディペンデントなフィルムメーカーたちにとって登竜門となりつつあるSXSW映画祭は、『ローグ・ワン / スター・ウォーズ・ストーリー(2016)』『GODZILLA ゴジラ(2014)』のギャレス・エドワーズ監督や、『キャプテン・マーベル(2019予定)』『キングコング:髑髏島の巨神(2017)』のブリー・ラーソンを輩出するなど、ポップカルチャー・ファンにとってスーパースターになりうる才能の原石がひしめく場所だ。

この度、「日本でももっとSXSWの魅力をアピールしたい」と、日本初のSXSW公式全国ミートアップツアーイベント「SXSW WELCOME PARTY」が福岡、京都、東京、北海道で開催された。
5月25日(木)に東京、アーツ千代田3331で開催されたパーティーに参加したTHE RIVERは、SXSWの国際ビジネス開発部マネージャーとして来日されたピータ・ルイスさんと、映画配給会社ピクチャーズデプトの代表取締役であり、SXSW TOKYO SCREENING WEEK 主催プロデューサーも務められる汐巻裕子さん「映画祭としてのSXSWのスゴさ」を聞いた。

SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)インタビュー

ギャレス・エドワーズ、ブリー・ラーソン…SXSW映画祭から産まれたサクセス・ストーリー

ピーターさんのお言葉で、”SXSWってどんなところ?”についてご説明をお願いします。

ピーター氏:SXSWは、『発見』の場所です。新しいアイデア、新しい文化的なプロジェクトに溢れています。同じ志を持つ者たちが出会える場所であり、音楽、映画、テクノロジーにおいて”次に来るのは何?”を知ることができる場所ですね。

今回のミートアップツアーのミッションは?

ピーター氏:日本の皆さんにもっとSXSWを知っていただきたい。具体的には、SXSWを知り、興味を抱く機会をつくること。皆さんの質問に直接お答えします。

汐巻氏:昨年2016年は東京で『SXSW TOKYO SCREENING WEEK』を開催し、SXSWの映画祭のテイストや、こういうフィルムメーカーを待っているんだよというアピールを行いました。今回は、映画部門に限らず、”SXSWとは”を伝えるプロモーション・ツアーです。

─日本でSXSWと言うと、ビジネス系やIT系の方たちの間でよく言及されている印象があります。映画祭としてのネームバリューはいかがなのでしょうか?

汐巻氏:たしかに、インタラクティブ部門と音楽部門は日本でもよく知られていますね。音楽部門の歴史は長く、世界の音楽業界の人たちはみんな行っているという印象があります。インタラクティブ部門には日本の大手広告代理店が参加し、国内でも急激に注目されるようになりました。

ですが、映画に関してはサンダンス映画祭というアメリカの大きなインディペンデント系映画祭があるので、映画を買う方も作る方も、サンダンス映画祭がメインの商売の場所、みたいなトレンドがずっとあったんです。映画祭としてのSXSWは、これまで日本ではあまり知られてなかったんですね。

それは、SXSWで発掘されて日本で大ヒット、という事例が今まであまり無かったからかもしれません。サンダンス映画祭はクエンティン・タランティーノのように、サンダンスで登場してから大スターになっていくというサクセス・ストーリーがいっぱいあるのでわかりやすいんです。

ところが、2~3年前くらいからSXSWでもそういった事例が増えてきています。たとえばギャレス・エドワーズというイギリスのインディペンデント系の監督が『モンスターズ/地球外生命体(原題:Monsters)』という作品をSXSWでプレミア上映して、そこで高評価を受けて『GODZILLA ゴジラ』の監督に抜擢されたというサクセス・ストーリーがあります。

©THE RIVER
SXSW TOKYO SCREENING WEEK 主催プロデューサー:汐巻裕子氏 写真©THE RIVER

それからちょっと手前味噌になるんですけど、『ショート・ターム』という、2013年にSXSWで審査委員賞と観客賞を獲った素晴らしい作品があるのですが、私が代表を務めるピクチャーズデプト社が買い付けをして日本で公開したんですね。その際にSXSWで受賞したことをプロモーションしたんですが、配給会社の方たちにとってはSXSWに行くと掘り出し物があるんだっていう認識が広まるキッカケになりました。
ラッキーなことに『ショート・ターム』主演のブリー・ラーソンという女優がその後2015年に『ルーム(原題:Room)』でアカデミー主演女優賞を受賞しました。そして監督のデスティン・クレットンは次作の『ザ・グラス・キャッスル(原題)』という作品が今大注目されるほどのスターになっちゃったんですよ。

こうした”スター誕生”みたいなのがあって、映画業界のバイヤーにとっても無視できない場所になりつつあることから、映画祭としてのSXSWの注目度は急に上がってきています。

SXSWは「フィルムメーカーにとって夢のようなの場所」

では、映画業界関係者のみならず一般の映画ファンもSXSWに注目しておくべき理由とは何でしょう?

汐巻氏:実は、かつて日本は世界で最も世界中の映画が劇場で鑑賞できる国だったんです。ブルガリアの映画が観れる、ニュージーランドの映画が観れる、みたいに、とにかく買い付けが盛んだったんです。今ではシネコンが登場して、どこへ行っても同じ映画が上映されています。ミニシアターと呼ばれるものが衰退してしまったので、バラエティに富んだ映画を観る機会が減少してしまったのです。

世界の映画祭でも同様のトレンドがあって、例えばカンヌ映画祭のコンペのラインナップは、ここ10年くらい同じような傾向の作品が多く、新たな発見が無いような気がしています。
でも、映画ファンは新しい才能を待っているはず。そういった発見の場所というのは、いま世界中の映画祭を見ても非常に少なくなってきているんです。大げさに言ってしまえば、SXSWはそのための唯一の場所になれるかなと思っています。

スタートアップとか、音楽、そして映画といったジャンルが並列で語られる場所というのは、あまり日本では見られないように思います。このように、あらゆる話題が同じ場所にあるというのがSXSWの魅力ですよね。

汐巻氏:そうですね。映画業界、音楽業界、出版業界…、すべて同じエンターテインメントのものなのに、そこには断絶があるんです。ですが本来、映画制作者は音楽も使うし、テクノロジーも使う。あらゆる分野の最新情報を持ってなくてはいけない。ハリウッドの巨大スタジオの場合はそういうものが自力で出来るんですね。リソースが豊富なので、お金も持ってるしリサーチも出来る。それが映画会社というものです。

一方でインディペンデントのフィルムメーカーたちは自分でそこまでは出来ません。たとえば、自力でNASAの最新テクノロジー情報にはなかなかアクセスできない。だけどSXSWに行けば、NASAがブースを出していて最新のVRが体験できるんですよ。そうするとアイデアが湧きますよね。NASAの人達はそのテクノロジーを映画撮影に活用しようとは考えてもみないわけですが、フィルムメーカーたちは”この技術、使えるぞ”とか、”未来の映画はこう変わっていくんだろうな”とか、いろんな情報がうわぁって入ってきて、アイデアが湧いてしまう。それが実現できるかどうかはまた別の話ですが、魅力的なプレゼンテーションに繋げられるのなら…、SXSWには投資家も来ているわけだから、そのまま彼らにアピールもできる。これまで世界中を周ってお金かけてやる必要があったことが一同に介してくれているわけだから、非常に効率のいい場所だし、夢のような場所ですね。

テクノロジーと映画

ちなみに、ピーターさんが今一番興味のあるテクノロジーは何ですか?

ピーター氏:未来の移動手段ですね。自動運転技術が生み出す波及効果…、安全面についての議論や、アメリカの保険業界はどう動くのかについて興味があります。自動運転技術は運転手にとっても魅力的ですが、旧来の自動車産業界をどう壊していくのかという点についても。

未来のテクノロジーは映画体験を変えると思いますか?

ピーター氏:変わるでしょう。既にインパクトがあるのはストリーミング・サービスの台頭。これにより、”映画館離れ”が発生しました。そのため、現在アメリカの映画館はビールやフードの提供に力を注ぎ始めています。”映画体験”という意味では大きな変化があると思いますが、私はそれでも人は映画館に行くものだと思っています。家で映画を観るのと、映画館で観るのでは別の”体験”ですからね。

©THE RIVER
SXSW社 シニア・インターナショナル・ビジネス・ディベロップメント・マネージャー:ピーター氏 写真©THE RIVER

では、クリエイターにとっては?

ピーター氏:テクノロジーの発達によって、製作の障壁はぐっと下がりますね。スタジオ・システムの外部から現れた人にとっては、これまでリソース不足で成し得なかったような表現がテクノロジーのおかげでどんどん可能になっていきます。SXSWは、そういったインディペンデントのクリエイターにフォーカスした映画祭でもあります。

セス・ローゲンも注目するSXSW映画祭、新たな才能が見つかる場所

映画祭としてのSXSWは、他の映画祭とどんな違いがありますか?

ピーター氏:インディペンデント精神ですね。他の伝統的な映画祭では取り扱わないような、ホラーやカルト系の映画を取り扱っています。セス・ローゲン監督は、「SXSWはコメディ映画を真面目に取り扱ってくれる唯一の映画祭だ」と語っています。スーパーヒーロー映画については、2010年には『キック・アス』のプレミアを行いました。他の映画祭と比べて、インディペンデント精神が強いというのが一番の違いです。

汐巻氏:ピクチャーズデプト配給の『サケボム』というコメディ映画もSXSWに正式招待されています。インターナショナル・コメディをピックアップしてくれる映画祭は他にはなかなか無いですね。

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新進気鋭のクリエイターに寄り添うような映画祭なのですね。

汐巻氏:そうなんです。SXSW FILMのフェスティバル・ディレクター、ジャネット・ピアソンさんも言っているのですが、作品をセレクトするときの大きなポイントは、”映画業界との接点がまるでないような新人にチャンスを与えられるか”、というところ。同様のコンセプトは他の映画祭も掲げているのですが、キュレーターがそれを本当に忘れていない映画祭はあまりないんですよ。だからフィルムメーカーたちに愛されているんです。
実はジャネットさんは今年(2017年)から選考する本数を減らしたんです。なぜなら、上映作品が多すぎるとせっかくの作品を来場者に観てもらうチャンスが薄まってしまうし、人との出会いのチャンスも薄まるから。あえて上映作品を絞ることで、その出会いのチャンスを増やしたいという志を聞いた時は、素晴らしいと思いました。

なるほど。選ばれたクリエーターの人生を一変しかねるほどの影響力を持つ映画祭として、チャンスを与えることには難しさもありそうですね。

ピーター氏:はい。あくまでSXSWは全てのクリエーターに対して平等性を持ったプラットフォームでありたいと思っています。まだ酸素に触れていないようなイノベーティブなアイデア、映画、音楽、テクノロジーを世界中に届けるのがミッションですから。

海外マーケットを目指す日本人へ

おふたりから、日本のフィルムメーカーにアドバイスがあるとすれば?

ピーター氏:技術的にはノー・アドバイスです(笑)。SXSW関連で申し上げられるとすれば、SXSWはフィルムメーカーにとって自分のプロジェクトをアピールし、多様な人たちに出会うことができるとても恵まれた機会。業界の出自に関係なく、様々な人とつながって成功のチャンスを手新しいアイデアや文化的多様性を得られる場所です。ぜひSXSWを目指してください。

汐巻氏:では、SXSWを目指される日本のフィルムメーカーさんに向けて私から。是非、英語を話す練習をしておいてください。選出されたら、現地メディアによる英語でのインタビュー取材が山ほど待っています。そこで通訳さんを挟んでしまうと、時間の浪費になってしまう。自分の言葉で作品のプレゼンテーションを行うためには、英語力が必須。”どうすればSXSWに出られますか?”と悩む日本人クリエーターには、”まず英会話スクールに行きましょう”とアドバイスしていますよ(笑)。

もちろん、英語でのプレゼンテーション能力の重要性はSXSWに限らず、国際映画祭に出る日本人クリエーター全員にとっても同様です。カンヌやベルリンといった映画祭でも、監督が舞台に上がって挨拶やQ&Aを行う機会が設けられていますが、時間が限られています。海外のオーディエンスはすごく情熱的で目が肥えている。けっこうテクニカルな質問が挙がるんです。それに対して日本人はシャイな性格もあって、うまく答えられない場面を見かけることがあります。ITの方々はそういった文化に慣れ、能力もある世代の方もいます。ミュージシャンは音楽で表現できる(笑)。海外マーケットを目指す日本人のフィルムメーカーは、英語でのプレゼンテーション能力が大切かなと。

最後にピーターさんから、SXSWの魅力を改めて教えてください。

ピーター氏:SXSWでは、本当に色々なことが起こります。日本から参加した方にも素晴らしい体験が必ず待っているはず。昨年(2016年)は世界95を越える国からの参加者が集まりました。異文化交流が起こり、エナジーを産み、ひとつの時間、ひとつの場所でクリエイティブとテクノロジーが交わり合うのです。こういう体験は他の場所ではできません。

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©THE RIVER

この日の登壇イベントでは、SXSWとともに本イベントを主催した未来予報株式会社のメンバーが司会進行を務め、ピーター氏と共にSXSWの歴史や最新情報がレポートされた他、汐巻裕⼦氏に加えSXSW2017アートプログラム展示アーティストの後藤映則氏、音楽情報メディアSpincoaster運営の株式会社Spincoaster代表 林潤氏が登場し、SXSWの現地の雰囲気や見どころを詰めかけた200人超の来場者に向けてたっぷりと語った。

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サウス・バイ・サウスウエスト(SXSW)は、2017年は3月10日〜19日の期間中、テキサス州オースティンで開催、日本からは述べ1,283人が参加した。
2018年の日程やバッジ(チケット)についての最新情報は、公式サイト( https://www.sxsw.com/ )”STAY TUNED”よりメールアドレスを登録しておけば、随時アップデートが届く。耳の早い映画ファンたちが皆チェックしているSXSWをバッチリ押さえておいて、誰よりも早く「次に来るのは何?」を知ろう。

SXSW WELCOME PARTY2017 公式ページ(イベントは終了しました):http://sxsw.miraiyoho.com/tour2017/

(インタビュー、撮影、文、構成:Naoto Nakatani)

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Photo:©THE RIVER

Writer

中谷 直登
中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER編集長。ライター、メディアの運営や映画などのプロモーション企画を行っています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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