映画『デッドプール2（仮題）』から1作目のティム・ミラー監督が降板した、という衝撃のニュースから数日。熱心なファンがついに“新監督のための署名運動”をスタートさせてしまった。

内容は『デッドプール2』をクエンティン・タランティーノに監督させろ！というもの。集まった署名はウェイド・ウィルソン/デッドプール役のライアン・レイノルズに届けられるという。目標数は5,000だが、10月25日16時（日本時間）の時点で、すでに約3,800もの署名が集まっている。果たしてどこまで署名は集まるのか、そしてタランティーノ版『デッドプール』は実現するのだろうか？

今回の“タランティーノを『デッドプール2』に”運動が展開されているのは、オンラインの署名サイトChange.orgだ。署名運動の発起人であるカール・チャンピオンJr.氏は、自らの思いをこう語っている。

「もしもタランティーノが数十億ドルを生み出せるプロジェクトがあるとしたら、それはこの企画だ。僕たちは『キル・ビル』で彼の最高のセンスを知ってる。タランティーノみたいな男がマーク・ウィズ・ア・マウス（冗舌な傭兵）のセリフを書くのを想像してほしい。きっとスゴくいいものになるだろう。署名に参加してほしい！」

『デッドプール』には最高の人選か

考えてみれば、タランティーノの作風は『デッドプール』という映画に非常にマッチしている。ユーモアに富んだセリフの数々にはポップカルチャーやオタク文化への偏愛が見え隠れするし、カッコいいアクションと鮮烈なゴア描写の両立も巧みだ。『レザボア・ドッグス』『パルプ・フィクション』『キル・ビル』など、彼の作品にはどれもその魅力が詰まっている。そういえばタランティーノ本人は『ルーク・ケイジ』の映画化を考えたことがあるらしく、アメコミの映画化に興味がなくもなさそうだ。

しかしちょっと待ってほしい。そもそもティム・ミラー監督は、ライアン・レイノルズとの「創作上の相違」が理由で『デッドプール2』を降板したのだ。タランティーノほど作家性の強い監督がプロジェクトに入れば、同じ事態が再び起きるだけなのではないか……。そんな杞憂の声に対して、発起人のカール氏はこう答えている。

「その意見にはとても賛成するよ。でも僕は、レイノルズとタランティーノが続編のアイデアを議論してくれると信じてる。彼らはお互いの言うことを気に入るはずさ」

またカール氏は、いかにタランティーノが『デッドプール2』に適任かを熱く語ってもいる。タランティーノは長い映画を作りがち、異なるジャンルのストーリーを混ぜがち、という意見に対して、彼は「尺の長い『デッドプール』も見てみたい」と答えつつ、最近のヒーロー映画の傾向を分析しているのだ。

「最近のすぐれたヒーロー映画は、複数のジャンルを見事に混合している。いろんな意味で、それこそが映画を素晴らしい作品にしているんだ。『ダークナイト』はヒーロー映画を装った犯罪ドラマだし、『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』はヒーロー映画のふりをしたスパイ・スリラーだ。マーベルとNetflixの例でいえば、『ジェシカ・ジョーンズ』はほぼフィルム・ノワールで、『ルーク・ケイジ』はブラックスプロイテーション映画だ。どっちもきちんと一般向けだよ」

最後にカール氏は「タランティーノはセリフを書く達人、レイノルズはセリフを届ける達人」だとして、「タランティーノは超暴力的な映画を作るよ。愛すべきキャラクターと下品なセリフ、セクシーな女性、忘れられないヴィランを生み出してくれる」と締めくくっている。

“『デッドプール2』の監督にタランティーノを”の署名運動は、現在とてつもないハイペースで進行中だ。Change.orgで日本からも簡単に署名できるので、少しでも「観たいかも」と思った人は是非参加してはいかがだろうか。ちなみに筆者はすぐ署名した。

source: https://www.change.org/p/ryan-reynolds-tarantino-for-deadpool-2