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『ザ・フラッシュ』は「ヒーロー映画史上最高傑作」と謳うべきではなかった?海外メディアで考察広がる

ザ・フラッシュ
(c)2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved (c) & TM DC

DCユニバースの集大成として鳴物入りでの上映を迎えた『ザ・フラッシュ』が事前予想を下回るオープニング興行収入となったことが、業界に大きな動揺を与えている。ハリウッドの業界メディアは、なぜ『ザ・フラッシュ』が不調に見舞われたのか、続々と分析を始めている。

要因として主に考えられたのが、事前プロモーションで生じた問題だ。本作の主演エズラ・ミラーは度重なる不祥事で逮捕され、保護観察中の身で映画公開を迎えるという異例の事態に。これによって『ザ・フラッシュ』は、主演俳優が映画をほぼ全く宣伝できないという苦境に立たされた。

そのためか、米ワーナー・ブラザースは試写上映などを通じ、事前の口コミ拡散を重視した。そこで度々登場することになったのが、日本国内の宣伝でもさかんに利用された「スーパーヒーロー映画史上最高傑作」という触れ込みだ。新設DCスタジオ会長のジェームズ・ガンが「おそらくスーパヒーロー映画史上最高の一作のうちのひとつだ」と言えば、本作を3度鑑賞したというワーナー・ブラザース・ディスカバリーのデヴィッド・ザスラフCEOは、自身の就任前の企画であるにも関わらず「史上最高のスーパーヒーロー映画」と手放しで絶賛。テスト試写では、あの『ダークナイト』以来となる絶賛の声があがったとも伝えられた。

また、『トップガン マーヴェリック』(2022)でコロナ禍直後のハリウッドを救った男、トム・クルーズも事前鑑賞して作品を大絶賛したエピソードは、プロモーションで度々取り上げられた。スーパーヒーロー映画に興味がないという巨匠作家スティーヴン・キングが絶賛したという話題もそうだ。

ところが「スーパーヒーロー映画史上最高傑作」となるはずだった本作の米初週末興収は、『ブラックアダム』(2022)に及ばぬ平凡なスタートとなった。興収ランキング上は1位を獲っているものの、本来は1億2,000万ドルほどを目指すはずだった本作の初週末記録は5,500万ドル。米Varietyはこの成績について「未曾有の大惨事」と伝え、『グリーン・ランタン』(2011)の5,317万ドルと同規模となったことを危惧している。

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中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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