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『ザ・フラッシュ』で考えるマルチバースの問題点 ─ ゾッド役再演のマイケル・シャノン、「役者として満足できなかった」

ザ・フラッシュ
(c)2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved (c) & TM DC

この度のシャノンの発言は、マルチバース展開が潜在的に抱える問題を克明に照らしている。マルチバースとは性質上、標準的な文脈を超越してキャラクターを描くことが多くなる。そこに登場するキャラクターたちは、ほとんど「別世界から突然引っ張り出されてくる」と言ってもよい。

こうした夢の共演は、キャストやファンにとっては物珍しいお祭りになるかもしれないが、シャノンのように文脈やキャラクター造形を重視したいという意見もあって然るべきだ。

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マーベルもDCも、今後しばらくはマルチバースをスパイスとした演出が続くと予想される。『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』を手がけるフィル・ロード&クリス・ミラーが「マルチバースの仕掛けでは観客に興味を持たせ続けられない」と述べているように、重要視されるべきはストーリーのほうだ。もしも観客のサプライズ期待が先走りすぎてしまうと、ストーリーや他の演出が、本来通りの評価を得られなくなる恐れもある。

ただし誤解されたくないのは、『ザ・フラッシュ』はもちろん、日本では同日公開される『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』も、それ自体が素晴らしいストーリーを有しているということ。『ザ・フラッシュ』ではバリー・アレンの、『スパイダーバース』ではマイルス・モラレスの、唯一無二となる上質なストーリーをご堪能いただきたい。

『ザ・フラッシュ』と『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』は2023年6月16日、日本公開。

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Source:Collider,Variety

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中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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