「ウォーキング・デッド」シリーズ全7作を解説 ─ 各作品のあらすじ・特徴を紹介

2010年の放送開始以来、全世界で熱烈なファンを獲得してきた「ウォーキング・デッド」(2010-2022)。11シーズンにわたる放送中に3作のスピンオフを生み出し、2022年の完結後は、人気キャラに焦点を当てた新たなスピンオフ3作が続々と公開されている。新作スピンオフの日本配信を控える今、「ウォーキング・デッド」ユニバースの各作品のあらすじ・特徴をおさらいしてみよう。
「ウォーキング・デッド」(2010-2022)

ロバート・カークマンのコミックを原作とした、サバイバル・ヒューマンドラマの金字塔「ウォーキング・デッド」。2022年、シーズン11をもってフィナーレを迎えた。
物語は、昏睡状態に陥っていた保安官リック・グライムズ(アンドリュー・リンカーン)が、病院で目を覚ますところから始まる。そこで彼が目にしたのは、“ウォーカー”と呼ばれるゾンビがはびこる終末世界だった。妻と息子を探す旅に出たリックは、途中で出会った生存者たちと時にぶつかり合いながらも、絆を深めていく。やがてアトランタの生存者コミュニティのリーダーとなり、安住の地を求めて恐怖に立ち向かう。
ゾンビドラマの枠を超えて、生存者同士の対立や倫理的ジレンマを描き、極限状態で繰り広げられる人間ドラマが魅力の本作。主要キャラの死といった予測不能な展開、複雑に絡み合う人間模様など、中毒性のあるストーリー&演出によって、世界中に熱狂的なファンを生んだ。主人公リックをはじめ、その仲間となるダリル(ノーマン・リーダス)、キャロル(メリッサ・マクブライド)、マギー(ローレン・コーハン)、ミショーン(ダナイ・グリラ)、彼らの脅威となるニーガン(ジェフリー・ディーン・モーガン)など、カリスマ的な魅力を放つキャラクターたちも人気の一因だ。
「フィアー・ザ・ウォーキング・デッド」(2015-2023)

「ウォーキング・デッド」の前日譚として、2015年に始まったスピンオフ第1作。終末世界と化したアトランタから物語が始まる本家に対し、本作ではカリフォルニア州ロサンゼルスを舞台に、黙示録的世界の始まりを目の当たりにする混合家族が描かれる。シーズン8で完結。
高校の進路指導カウンセラーのマディソン(キム・ディケンズ)は、娘アリシア(アリシア・デブナム=ケアリー)、息子ニック(フランク・ディレイン)、そして恋人のトラヴィス(クリフ・カーティス)と共にロサンゼルスで暮らしていた。しかし、そんな日常に突然変化が訪れる。謎の感染者が人間を食し、街で暴動が起き、世界は急速に崩壊へと向かっていく。
シーズン1~3は前日譚として機能し、タイトルの通りゾンビ自体が“Fear(脅威)”だった時代が描かれる。本家との違いとして「原作が存在しない」点もあり、より自由なストーリーテリングが可能となっている。「ウォーキング・デッド」シーズン8後の世界を舞台にしたシーズン4では、本家よりモーガン(レニー・ジェームズ)が登場し、彼の視点でストーリーを語ることで、作品のトーンは劇的な変化を遂げた。なお、シーズン4以降は本家と同時進行で進み、モーガン以外にも複数キャラのクロスオーバーが実現している。
「ウォーキング・デッド:ワールド・ビヨンド」(2020-2021)

世界が崩壊した後に生まれた“第一世代”の若者を主人公とした、スピンオフ第2作。全2シーズンで製作された。
ゾンビ(同作では“エンプティ”と呼ばれる)による世界崩壊から10年後、ティーンエイジャーの姉妹・アイリス(アリーヤ・ロイヤル)&ホープ(アレクサ・マンスール)は、ネブラスカ州の小さなキャンパス・コロニーで平和に暮らしていた。そんななか、強大で秘密に包まれた組織「市民共同体(CR)」で研究を行う父親から、危険を訴える通信を受け取ったふたり。父を探すため、友人のエルトン(ニコラス・カントゥ)、サイラス(ハル・カムストン)を仲間に加えて危険な世界へと出発する。
“第一世代”と呼ばれる若者の成長を描くと同時に、「ウォーキング・デッド」や「フィアー・ザ・ウォーキング・デッド」に断片的に登場した組織「市民共同体軍(CRM)」を深掘りした本作。シーズン2には、本家よりジェイディス(ポリアナ・マッキントッシュ)が登場している。なお、本作の関連キャラが「ウォーキング・デッド:ザ・ワンズ・フー・リブ」に登場予定だったり、ポストクレジットに「ウォーキング・デッド:ダリル・ディクソン」の舞台・フランスが登場していたりと、新スピンオフとのつながりも見られる。
「テイルズ・オブ・ザ・ウォーキング・デッド」(2022)

スピンオフ第3作であり、お馴染みのキャラクター&新キャラクターに焦点を当てたアンソロジー・シリーズ。
他のスピンオフとは異なり、本作では1話ごとに異なるキャラクターの物語が描かれる。第3話には、「ウォーキング・デッド」でお馴染みの極悪グループ“囁く者”のリーダー、アルファ(サマンサ・モートン)が登場。彼女と娘リディアの複雑な母子関係が描かれる。
「ウォーキング・デッド:デッド・シティ」(2023-)

「ウォーキング・デッド」で犬猿の仲にあったマギー&ニーガンを主役に据えた、スピンオフ第4作。すでにシーズン2製作が決定している。
マギーは敵対グループにさらわれた息子・ハーシェルを救い出すため、ニーガンとともに、荒廃したニューヨークへと向かう。
本家でニーガンがマギーの夫・グレン(スティーヴン・ユァン)を殺して以来、長年対立していたふたり。シーズンを重ねて改心していったニーガンだが、最後までマギーの許しを得ることはできなかった。製作者によれば、本作ではそんなふたりの複雑な過去を“感じ取る”ことができるため、「ウォーキング・デッド」未見の人でも楽しめる作品に仕上がっているそう。また、シリーズ史上最も「素晴らしく、不快で、恐ろしいウォーカー」の登場にも注目だ。
「ウォーキング・デッド:ダリル・ディクソン」(2023-)

シリーズ屈指の人気キャラ、ダリルを主人公としたスピンオフ第5作。本作もすでにシーズン2へ更新されている。
「ウォーキング・デッド」最終回で文明都市コモンウェルスを去ったダリルは、その後フランスに漂着。ここへ来た経緯を覚えておらず、その理由を考えながら故郷へ帰る道を模索する。しかし旅の道中で生まれた人とのつながりが、ダリルの最終的な計画を複雑にしていく。
フランスに舞台を移した本作は、リーダスいわく本家と「違う雰囲気」を持つ作品とのこと。一方で、人気絶頂にあった「ウォーキング・デッド」初期シーズンの「優れたDNAに立ち返る」シリーズでもあるらしく、ファンは必見といえるだろう。なおシーズン2には、ダリルの親友・キャロルの登場が決定済みだ。
「ウォーキング・デッド:ザ・ワンズ・フー・リブ」(2024)

「ウォーキング・デッド」の物語を途中で去ったリック&ミショーンに焦点を当てた、スピンオフ第6作。2024年にリリース予定だ。
リックは「ウォーキング・デッド」シーズン9でCRMに連れ去られて以来、ミショーンはシーズン10でリックを探す旅に出て以来、作中で長らく姿を消していた。彼らが正式にカムバックする本作は、ふたりの「壮大なラブストーリー」を描く物語になるようだ。本作にはジェイディスが再登場するほか、「ウォーキング・デッド:ワールド・ビヨンド」で名前だけ言及されていたビール少将(マット・ジェフリーズ)がついに姿を見せることがわかっている。
「ウォーキング・デッド:ダリル・ディクソン」は、2023年10月20日(金)00:00よりU-NEXTにて独占配信開始。「ウォーキング・デッド:デッド・シティ」は11月17日(金)、「テイルズ・オブ・ザ・ウォーキング・デッド」と「ウォーキング・デッド:ザ・ワンズ・フー・リブ」は2024年上旬に独占配信予定。
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