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『ソー:ラブ&サンダー』はヴァルキリーのセクシャリティをどう描いたか ─ 「とても満足」とテッサ・トンプソン

ソー:ラブ&サンダー
©Marvel Studios 2022

『マイティ・ソー バトルロイヤル』(2017)でマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)に初登場したヴァルキリーは、そのセクシャリティをどう描くかという点において長らく課題を残しつづけてきたキャラクターだった。当初からバイセクシャルという設定があったものの、登場した『マイティ・ソー バトルロイヤル』『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)ともに、そのことが観客に伝わる描写はなかったのである。

では、3度目の参加となる『ソー:ラブ&サンダー』で、製作陣はこの課題にどう取り組んだのか? 演じるテッサ・トンプソンは、このことを監督・脚本のタイカ・ワイティティとは「たくさん話し合った」と米Yahoo!にて語っている。

「(セクシャリティの表現は)大きな話題でした。明らかにクィアである、あるいはLGBTQIAであるキャラクターを見たいという強い欲求が観客の中にあると思っていましたし、リプレゼンテーション(多様性を正しく作品に反映し表現すること)は非常に重要なものだから。」

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『ソー:ラブ&サンダー』でヴァルキリーのセクシャリティが掘り下げられることは以前から示唆されていたが、一方でトンプソンは「マーベル映画ではラブストーリーに割ける時間があまり多くない」とも述べていた。ワイティティとトンプソンは、あくまでもこの前提に立ちながら話し合いを進めてきたようだ。

「特にこうした映画の場合、ストーリー的には(ヴァルキリーのセクシャリティを)描く余地があまりないのです。だからこそ、そこをどう扱うかをきちんと話し合いました。そして、個人的には本作でやれたことにとても満足しています。ヴァルキリーにはファンが共感できるキャラクターでいてほしいし、彼女のあらゆる人間らしさをじっくりと描ける時間があってほしいと思います。」

このように語る背景には、セクシャリティを表現することの重要性とともに、ストーリーとキャラクター性が必ずしも繋がるとは限らないというトンプソンの考え方がうかがえる。今回のインタビューで、トンプソンはこのようにも述べているのだ。

「私たちは人間として、自分のセクシャリティや、自分が誰を愛するのかによって定義づけられるものではありません。だから時には、物語に従うことでキャラクターの人間味が大きく損なわれることもあります。なぜなら彼女たちは他の何者でもないからです。[中略]この映画でヴァルキリーが愛を見つけるかどうかは、彼女が素晴らしいクィアのキャラクターであるかどうかとは関係のないこと。彼女は、しかるべきタイミングで愛を見つけることにオープンなんですよ。」

映画『ソー:ラブ&サンダー』は2022年7月8日(金)に日米同時公開。

Source: Yahoo! Entertainment

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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