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『ハウス・ジャック・ビルト』殺人鬼ジャック、ついにブチ切れる ─ マット・ディロン怪演、感情と理性のコントロール喪失

ハウス・ジャック・ビルト
(C)2018 ZENTROPA ENTERTAINMENTS31,ZENTROPA SWEDEN,SLOT MACHINE,ZENTROPA FRANCE,ZENTROPA KÖLN

『ダンサー・イン・ザ・ダーク』(2000)『ニンフォマニアック Vol.1/Vol.2』(2013-14)の鬼才ラース・フォン・トリアー最新作『ハウス・ジャック・ビルト』より、マット・ディロン演じる連続殺人鬼ジャックがいよいよブチ切れる緊迫のワンシーンが公開された。

1970年代の米ワシントン州で、建築家を夢見るハンサムな技師ジャックは、まるでアートを創作するかのように殺人に没頭していく。彼は、自分がサイコパスであることを自覚しているサイコパスなのだ……。

クールでハンサム、常に落ち着き払っている“普通の人間”ジャックが、ついに感情を爆発させた。フルメタルジャケット弾を求めていたジャックは、店側のミスで誤った銃弾を購入してしまったのだ。車のドアを閉めて、店に乗り込むと、ジェレミー・デイビス演じる店主アルに「お前にはがっかりだ」と告げる。「この箱にはフルメタルジャケットと書いている。だが中身は…」と銃弾をデスクにばらまくと「どういうことだ、箱と中身が間違っているとは!」と恫喝した。

ジャックの鬼気迫る勢いに怯えるしかない店主アルは、「君の言う通りだ、ラベルが間違っていた」と認めながらも「ひとつ分からないのは、弾丸がこの店で売られたものかどうかだ、レシートが見たい」と震えながら抵抗。ジャックは落ち着きを取り戻したかのような表情を時折見せるも、「そんなものはない、一度ももらったことはない!」と再び激高する。その様子を怪しんだアルが身分証の提出を求めると、ジャックは「一発だけでいい」と漏らす。「なぜ一発だけ?」。アルの質問に答えず、ジャックは「バカな質問はよせ。さっさと店を閉めて帰れ、頭が変だ」と吐き捨てて店を出ていく。

ハウス・ジャック・ビルト
(C)2018 ZENTROPA ENTERTAINMENTS31,ZENTROPA SWEDEN,SLOT MACHINE,ZENTROPA FRANCE,ZENTROPA KÖLN

激しく上下する感情、アルを追い詰めようとする思惑、しかしその隙間にうかがえる不審さ。理性と感情をうまくコントロールできないジャックの状態を、この短いシーンでも確実に観客に伝えるマット・ディロンは、意外にも本作でラース・フォン・トリアー監督と初タッグ。トリアー監督について「技術的にとても長けているけれど、テクニカルなことではなく、エモーションを重要視している」と語る。「いろんなことを恐れつつも、とても大胆で勇気のある監督ですよ。観客がストーリーについてくることを理解しています」

ジャックの内面がにじみ出る静かな場面や、感情を爆発させるシーン、過激な殺人描写、そして笑いを誘う会話。トリアー監督がたくらみ、ディロンが体現する、観客を物語の世界へと誘う仕掛けの数々をスクリーンで目撃すべし。

ハウス・ジャック・ビルト
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ハウス・ジャック・ビルト
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本作はカンヌ国際映画祭にて途中退出者が続出するも、上映終了後はスタンディング・オベーションが鳴りやまなかった賛否両論の超問題作。あまりの過激さゆえに米国では修正版のみ正式上映が許可されたが、日本では「無修正完全ノーカット版」としてR18+指定での劇場公開が実現した。

映画『ハウス・ジャック・ビルト』は、2019年6月14日 (金) 新宿バルト9、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国公開中

『ハウス・ジャック・ビルト』公式サイト:http://housejackbuilt.jp/

殺人鬼ジャックの「不安」もきっちり表現

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THE RIVER編集部THE RIVER

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