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『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』ルーク・スカイウォーカーはどこへ行く ― マーク・ハミル、34年ぶりのシリーズ本格復帰

©Walt Disney Studios Motion Pictures ©2017 & TM Lucasfilm Ltd. 写真:ゼータ イメージ

スター・ウォーズ ルーク・スカイウォーカー

その後のルークに何があったのか

かくして銀河に平和を取り戻したはずのルークだったが、『フォースの覚醒』では空白の期間に起こった衝撃の事実が語られる。ルークはジェダイ再興のため、新たなジェダイの騎士を鍛える側に回っていたはずが、ハンとレイアの間に生まれた息子、すなわちルークの甥であるベン・ソロを弟子に加えたことからすべてが狂ってしまったのだ。帝国軍の残党によって始動したファースト・オーダーの最高指導者スノークに心酔したベンは、カイロ・レンと名乗ってダークサイドに身を置き、ルークの弟子たちを虐殺してしまったのである。自身の責任を強く問うたルークは、最初のジェダイ寺院を求めて姿を消したのだった。
『フォースの覚醒』のラストでルークの居場所が明らかになったあと、かつて彼が失ったライトセーバーを手に惑星アク=トゥーを訪れたのは、新たなフォースの能力者であるレイだった。

スター・ウォーズ』オリジナル3部作でルークが向き合ったのは、思わぬ出自と能力を持つ自分自身、そして悪の道に落ちてしまった父親だ。その途中でルークは感情に走り、あわや自らもダークサイドへと引き込まれそうになっている。しかしルークは、結局は自分の意志によって脅威を克服し、父親との葛藤も解消するに至っているのだ。
こうしてみると、『フォースの覚醒』から始まった新3部作の悪役であるカイロ・レンは“ルークになりそびれた男”だといっても過言ではないだろう。スノークの、ダークサイドの誘惑に屈したのみならず、父親との葛藤を真っ当に解消しないままにハンを葬ってしまったのである。このねじれが『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』そして『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』でどういう意味を持つのかはまだわからない。

しかしベン・ソロ/カイロ・レンによる虐殺事件は、ルークにとって『ジェダイの帰還』から『最後のジェダイ』までに起こった出来事の「ほんの一部」であるという。34年ぶりの本格再登板となるマーク・ハミルは、『最後のジェダイ』に登場するルークが「多くの出来事を経験し、大きく変わった」存在だと述べて、本作で「見たこともないルーク」が現れることを明らかにしている
ルーカスフィルムは未知のルーク・スカイウォーカーを求め、また脚本・監督のライアン・ジョンソン監督はそれに応えるかのように、マークにも予想がつかなかったほどのルーク像を提示したというのだ。そして、そんなルークを演じることはマークにとって「チャレンジだった」という……。

予告映像が公開され、ルークの写真やプロモーション素材が発表されるにつれ、ファンの間ではある懸念が持ち上がっている。それは「ついにルークがダークサイドに落ちてしまうのではないか」というものだ。果たして、空白の時間に一体何があったのか、そしてルークはどこに向かっていくのか、何が目的なのか……。ファンたちの予想合戦は白熱する一方だが、当のマークは飄々として仮説の数々を煙に巻いている。

「“ヴィランはポスターの後ろにそびえている”という仮説を立てているみんなに速報:ルークは常にヴィランだった!(あるひとつの視点から見れば)

マーク・ハミル、堂々の大作カムバック

スター・ウォーズ/フォースの覚醒
写真:ゼータ イメージ
ところでルークを演じるマーク・ハミルという俳優にとって、『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』は堂々の大作カムバックというべき作品だ。1977年に『スター・ウォーズ/エピソード4 新たなる希望』で映画デビューを果たした彼は、オリジナル3部作の完結後、実写作品の俳優としてはやや厳しいキャリアを送っている。誰もが知る大作映画で誰もが知る役柄を務めあげたにもかかわらず、長らくB級SF映画やビデオ映画への出演が主で、近年は『SUSHI GIRL』(2012)や『キングスマン』(2015)が珍しく日本公開されたような状況だったのだ。

Writer

稲垣 貴俊
稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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