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トム・クルーズがスタントを止めない理由 ─ 「準備こそ全て」「その世界を体験してほしい」

『トップガン マーヴェリック』来日記者会見 撮影写真
©︎ THE RIVER

文字通り死と隣合わせの状況でスタントに挑む俳優で、トム・クルーズの右に出る者はいるだろうか。1996年、『ミッション:インポッシブル』でアクションスターの仲間入りを果たしたトムは60歳を目前にしてもなお、不可能を可能にする任務に全力疾走し続けている。

今ではすっかりおなじみになったトムの決死スタントだが、“人に任せる”という選択肢は彼に無いのだろうか?この疑問に対し、フランスで開催中のカンヌ国際映画祭で最新作『トップガン マーヴェリック』のプレミア上映を迎えたトムは、『雨に唄えば』(1952)をはじめとする伝説のミュージカル俳優ジーン・ケリーを例に挙げながらこう答えた。「誰もジーン・ケリーにこうは聞きませんでしたよね。“なんで踊るんだ?”って」。

かく語るトム、ただ好きだからという理由だけでスタントを行っているわけではない。映画という一種の芸術を愛する者としての立場からも、トムはアクションに対して並々ならぬ情熱を捧げるのだ。トムはこれまでのキャリアを振り返り、以下のように続ける。

僕は常に、自分にもできることがあると考えてきました。そして、芸術の境界をもっと押しやりたいとも。どうやったらアクションを使って観客を没入させてあげられるか。どう楽しませられるだろうか。何ができるだろうか。こう考え続けてきました。」

このように考え、行動してきた先に実を結んだ成果の一つが、『ミッション:インポッシブル』シリーズだ。1960〜70年代のテレビドラマ「スパイ大作戦」を映画化した本シリーズは、ハリウッドを代表するアクション作品として知られるが、当時トムは周りの友人から「それはひどいアイデアじゃないか。テレビドラマだぞ」と言われ、映画化の可能性すら一蹴されたという。

それでも諦めなかったトムの創造精神は、プレミア上映の場で彼が会場に向けて語った次の言葉に表されているであろう。「僕は、物語は尽きないものだとを知っています。常に未来のことを見据えながら、こう考えているんです。“次は何だ。何だろうか”と」。そして、命がけの任務を全て成功させてきたトムはこうも語る。「準備こそ全て。その姿を皆さんが見逃したとしても問題ありません。僕は人に仕事の裏側を見てほしくないし、見てもらいたいとも思いません。ただその世界を体験してほしいんです」。

“次”を常に意識するトムは、『トップガン マーヴェリック』の次回作として、『ミッション:インポッシブル』最新作となるシリーズ第7作『ミッション:インポッシブル/デッド・レコニング パート・ワン(原題)』を控える。また、第8作も予定し、さらにその次には実現すればハリウッド初となる、宇宙空間で撮影を行う新作映画を控えている。まさに有言実行の男、トム・クルーズ。彼のミッション・インポッシブルはこれからも続く。

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Source: Variety

Writer

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SawadyYOSHINORI SAWADA

THE RIVER編集部。宇宙、アウトドア、ダンスと多趣味ですが、一番はやはり映画。 "Old is New"という言葉の表すような新鮮且つ謙虚な姿勢を心構えに物書きをしています。 宜しくお願い致します。ご連絡はsawada@riverch.jpまで。