『トップガン マーヴェリック』デジタル配信はまだまだ未定 ─ 45日ルール、トム・クルーズ作品では例外

『トップガン マーヴェリック』を劇場で夢中で観た観客なら、未見の友人には「絶対に映画館で観た方がいいよ!」と勧めるだろう。戦闘機のコックピットにIMAXカメラを詰め込み、訓練された俳優たちが本当に飛行しながら撮影されたCGなしのド迫力映像は、映画館の大スクリーンでこそ真価を発揮するからだ。
一方、“胸アツ”な物語を自宅のテレビでじっくり好きなだけ堪能できるようになるのも贅沢な楽しみだ。最近の劇場映画は、公開後わずか数週間でデジタル配信が開始となることも多いが、しかし『トップガン マーヴェリック』の場合はそうではないらしい。
製作・配給の米パラマウント社では、コロナ禍や自社ストリーミングサービス開始に伴って、劇場公開から「45日後」にストリーミング配信するという戦略を定めている。この45日というのがポイントで、米ワーナー・ブラザースも同じように45日間は劇場で独占公開させるという契約を締結してもいる。
ところが、この45日ルールは、トム・クルーズ作品では例外。というのも、劇場体験に断固としてこだわるトム・クルーズは「45日は短すぎる」と考えているようで、3ヶ月間は劇場でかけるべしとスタジオ側に抗議したと伝えられている。この対立はトム側の弁護士まで登場し、両者譲らずの平行線となったまま、議論は持ち越しとなっていた。
その流れでの『トップガン マーヴェリック』の劇場大ヒットである。パラマウント社ストリーミング部門CEOトム・ライアン氏は米Varietyに対し、『マーヴェリック』の劇場公開期間をどうするかは「まだ決められていない」との最新状況を伝えている。
コロナ禍という未曾有の異常事態に、スタジオは劇場公開とストリーミング配信の適切なバランスを暗中模索。ライアン氏が「最近では『ソニック・ザ・ムービー/ソニック VS ナックルズ』が非常に成功した」というように、作品によっては劇場公開45日後に迅速にストリーミング配信に回すことで成功を収めた事例もある。一方、快進撃続く『トップガン マーヴェリック』がもし45日後に配信開始になるのなら、それは7月中旬ということになる。トムの考える通り、あまりにも早すぎる気がするだろう。
米パラマウントは本作の配信リリース予定を未決定としたが、実際のところいつ頃になりそうか。トムが提示したという条件が「3ヶ月」。映画の公開が5月27日だったため、早ければ8月下旬ということになる。もっとも、本作は公開5週目に突入してもヒット記録を続けており、全世界累計興収は9億ドル突破、このまま10億ドルの大台を目指しているところだ。ストリーミング配信予定が解禁されれば客足への影響が考えられるため、劇場興収を重視するのであれば、しばらくは配信の匂いを出したくないはず。その分、配信開始が秋以降にズレこむ可能性もある。
他方、本作はパラマウント社が米国で展開するストリーミングサービス「Paramount +」の強力なコンテンツになることも間違いない。F-18がいつ着陸すべきかは、喧々諤々の議論となりそうだ。
『トップガン マーヴェリック』は劇場体験の喜びを再定義するような作品だ。ファンとしては、劇場に通えるうちは心ゆくまで足を運んで、最高の環境で本作を堪能したい。4Dなど、いわゆるラージフォーマットのシアターでリピートしてみるのも良いだろう。来たる配信リリースに備えては、自宅の視聴環境をアップデートしておくのも一興だ。
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Source:Variety