『トップガン マーヴェリック』を徹底予習 ─ 復活の理由、ストーリーの見どころ、「合成なし」の撮影まで

トム・クルーズ主演、海軍のエリートパイロットを目指す訓練生たちの青春を描いた映画『トップガン』が2022年に帰ってくる。シリーズ36年越しの続編『トップガン マーヴェリック』だ。
当初の予定から約3年の公開延期を余儀なくされている本作を待ち望んでいるファンは多い。本記事では、きたる公開に先がけて今一度、企画の興りから見どころまで、分かっていることを整理してみたいと思う。
なぜ35年ぶりに復活したのか

『トップガン マーヴェリック』の企画が最初に持ち出されたのは2010年。第1作でメガホンを取ったトニー・スコット監督に対し、製作・配給の米パラーマウント・ピクチャーズが企画を提案したことが始まりだ。しかし、2012年にトニー・スコット監督が死去。これにより企画は一時的に停滞したが、2017年に主演・製作のトム・クルーズが続編の再始動を伝えた。
きっかけこそスタジオからの提案だったわけだが、第1作が世界で旋風を巻き起こしてから30年以上。続編を作るのには、それだけの理由が必要だったはずだ。これについては2019年、本来役割を担うべきメディアやジャーナリストに代わって、なんとクエンティン・タランティーノ監督がトム・クルーズに聞いてくれている。トニー・スコット監督の死を踏まえながら、続編復活の理由をトムに尋ねたというタランティーノは、彼からの返事を以下のように語っていた。
「トムは、“本当に良いストーリーを作ってくれた”と言ってました。とても良くできた脚本で、キャラクターを演じるのがすごく楽しいって。だから、脚本だったんですよ。」
ストーリーがトムの心に響いたということだが、スコット監督亡き後、新たに企画を持ち出したのは、『トロン:レガシー』(2010)『オンリー・ザ・ブレイブ』(2017)のジョセフ・コシンスキー監督だ。トムとは『オブリビオン』で仕事を共にしている。
そんなコシンスキー監督、トム演じるマーヴェリックの物語を伝えなければいけない理由について、「彼は過去の何かに向き合い、解決しなければなりません。第1作みたいに通過儀礼の物語なんです。いま彼は人生の違うステージにいます」と語っていた。『トップガン』でマーヴェリックは、楽しいこと、悲しいこと、様々な感情を抱きながら過酷な訓練学校を卒業し、一人前となった。あれから数十年。続編では、現役を引退し、次世代パイロットを育成する教官としてマーヴェリックは登場する。
さらに、マーヴェリックのほかにも第1作から帰ってくるキャラクターがいる。マーヴェリックの訓練生時代のライバルだったアイスマンだ。演じるヴァル・キルマーは、続編への出演を製作側に直談判したことを自ら明かしていた。その一方で、製作を兼ねるトムも、ヴァルの参加をプロデューサーのジェリー・ブラッカイマーに訴えていたことが判明している。ブラッカイマーによれば、トムはこのように伝えてきたそうだ。「もし僕たちが『トップガン』をもう一度作るなら、そこにはヴァルがいないとダメだ」。
次世代との衝突、鍵となるのはグースの息子

アメリカ海軍戦闘機兵器学校“トップガン”に教官として帰ってくるマーヴェリック。つまり、物語の主な舞台は第1作と同様、訓練学校内となる。マーヴェリックには「過去の何かに向き合うことがある」と述べたコシンスキー監督は、トムを説得する上で欠かせなかったキャラクターを明かしていた。
その人物が、マーヴェリックの親友にして戦闘機上の相棒でもあった亡きグースの息子ブラッドリーだ。演じるのは、『オンリー・ザ・ブレイブ』のマイルズ・テラー。予告編ではマーヴェリックとブラッドリーの衝突の様子が垣間見られるが、本作では2人の関係性に焦点が当てられることになるだろう。
そのブラッドリーは、第1作にも幼い姿で登場している。オリジナルキャラクターであるブラッドリー役を引き継ぐテラーは、その思いをこう明かしていた。「観客の皆さんが、僕が演じているのがあの小さな少年だということに気づいたら、感動してしまうでしょう」と。果たして、マーヴェリックとブラッドリーはいかに衝突していき、修復しなければならない関係性にどう向き合っていくのか。そこにこそ、続編が存在する大きな意義がありそうだ。
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