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『ジェイソン・ボーン』『パージ』ドラマ版の打ち切りが決定 ─ テレビ局、リアリティ番組重視の戦略に

ジェイソン・ボーン
(C)Universal Pictures

人気映画『ボーン・アイデンティティー』『パージ』シリーズから派生したドラマシリーズ「トレッドストーン」「パージ」の打ち切りが決定した。米Deadlineなど複数のメディアが報じた。両作は日本ではAmazon Prime Videoにて配信されている。

『パージ』シリーズは「一年に一晩だけ、殺人を含むすべての犯罪が合法になる」という設定で話題を呼び、2013年の第1作『パージ』を皮切りに4作品が製作されてきた。2020年には第5作の米国公開も予定されている。ドラマ版「パージ」は異なる登場人物によって世界観を拡張するもので、製作総指揮には映画版からジェイソン・ブラムとマイケル・ベイ、ジェームズ・デモナコ監督が続投していた。

また、マット・デイモン演じる暗殺者ジェイソン・ボーンを描く『ボーン』シリーズから生まれた「トレッドストーン」は、ボーンを生んだCIAの工作員育成計画「トレッドストーン」に焦点が当てられ、世界各国に“武器”として潜伏するスパイたちが任務のため暗躍する群像劇。こちらも「パージ」同様、映画シリーズの世界観を広げる意図をもって製作されていたものだ。

両作の放送を担当した米USA Networkは、「トレッドストーン」を2019年の1シーズンかぎりで、「パージ」を2018~2019年の2シーズンで終了することを決定。米NBCユニバーサルは、傘下のユニバーサル・ピクチャーズが有する人気作を、同じく傘下のテレビ局USAにて展開するという目論みだったが、製作費に対して成果が見合わなかったことから製作終了を決定した。やはりNBCユニバーサル傘下の製作会社Universal Content Productionsが製作を務めていたが、同社はAmazonとのストリーミング契約をもってしても、シリーズを継続できるほどの利益に至っていなかったという。

また、USAは「トレッドストーン」「パージ」のほか、「何様なのよ?」(Netflixで配信中)も2019~2020年放送の1シーズンかぎりで終了している。現在、同局はドラマからライブ&リアリティ番組を重視する方針に切り替えているため、一連の打ち切りは予算の問題のみならず、局としての戦略変更にも基づくものとみられる。今後、USAでは“よりイベント的な”ドラマを製作していくといい、今後は「ダーティ・ジョン -秘密と嘘-」(Netflixにて配信中)のシーズン2や、「THIS IS US/ディズ・イズ・アス」(2016-)のマイロ・ヴィンティミリアが実在のスタントマンであるイーベル・クニーベルを演じる新作ドラマが予定されている。

『ボーン』新作への影響いかに

Source: Deadline

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。