『トイ・ストーリー4』降板の脚本家、事態の真相を語る ― ピクサー幹部のセクハラ問題とは直接関係せず

2017年11月21日(米国時間)、映画『トイ・ストーリー』(1995)などを手がけ、現在は米ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ、およびピクサー・アニメーション・スタジオの幹部を務めるジョン・ラセター氏のセクハラ問題が報じられた
これに伴い、米The Hollywood Reporterは映画『トイ・ストーリー4(仮題)』から脚本家のラシダ・ジョーンズ氏&ウィル・マコーマック氏が降板していたことを伝えている。降板理由はラセター氏の「不適切な進行」だったとして、思わぬ製作トラブルの発覚はファンの間で話題を集めたのだった。

しかしこのたび、降板した本人であるジョーンズ氏とマコーマック氏が連名でコメントを発表。THR紙による報道は事実ではないとして、『トイ・ストーリー4』を降板するに至った真相を明らかにしている。

降板理由は「哲学の相違」

映画製作からスタッフが降板する際、折に触れて使われる決まり文句が「創造性の相違(creative differences)」だ。『トイ・ストーリー4』についても、ピクサー側はジョーンズ氏&マコーマック氏の降板をこの言葉によって説明したといわれる。しかし米Varietyほか複数メディアが掲載したコメントでは、この文句に加えて、「哲学の相違(philosophical differences)」なる言葉が使用されていた。

THRによる報道がなされた同日、ジョーンズ氏&マコーマック氏は以下のコメントを発表している。

「私たちは、私たち自身について語らなければならない立場にあると感じています。次なる加害者を告発するジャーナリストたちの異様な速度は、時に報道を無責任なものとし、また事実として、自らについて語りたい人々の望まない結果を生んでいるのです。
今回の場合、The Hollywood Reporterは私たちの声を代弁してはいません。私たちは不適切な進行(unwanted advances)を理由にピクサーを去ったのではないのです。真実ではありません。私たちは、不快なふるまいについてきちんと意見を述べる人々については非常にうれしく思っています。ただし私たちが(プロジェクトを)離れたのは、創造性の違い、そしてより大切な哲学の相違によるものだったのです。」

丁寧に選ばれた言葉で記されたコメントは、ピクサー社に蔓延する悪しき文化への批判へと転じていく。

「ピクサーには才能あふれる人々がたくさんいますし、私たちは今でも彼らの作品の大ファンです。ただし(同社には)女性や有色人種が創造上の意見を(白人男性と)平等に持たないという文化がありました。このことは会社の歴史における、映画20本の監督の統計からも証明されています。女性が共同監督を務めた作品は一本のみ、また有色人種が監督した作品も一本のみなのです。
私たちはピクサーに、より多様な、女性のストーリーテラーやリーダーを励まし、雇用し、促進する先導者になるよう働きかけています。かつて、自分の声を力あるものとして聞いてもらえなかった人々を勇気づけることができればと思っています。」

 

ここで述べられているのは、『トイ・ストーリー4』という作品について脚本家とピクサーが対立したというような問題ではない。それ以上に根が深い、ピクサーという会社に対する疑問であり抗議なのである。ただし、根が深いという意味で通じる部分はあるものの、ジョーンズ氏&マコーマック氏の降板は、ラセター氏のセクハラ問題に直接関係していないということだ。

なお『トイ・ストーリー4』は、2017年7月にラセター氏が監督を降板し、現在はジョシュ・クーリーが単独でメガホンを取るものとして製作が進められている。全米公開日は2019年6月21日の予定だ。

Source: http://variety.com/2017/film/news/rashida-jones-john-lasseter-toy-story-4-1202621286/

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稲垣 貴俊(Takatoshi Inagaki)。THE RIVER編集部。わかりやすいことはそのままに、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすくしてお伝えできればと思っております。

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