米国の週末映画興収、20年ぶりの低記録に ─ 新型コロナウイルスの影響で客足遠のく、閉鎖の映画館も

アメリカにおける映画の週末興行収入が、新型コロナウイルスの影響を受けて、20年ぶりの低記録となることがわかった。
米The Hollywood Reporterによれば、2020年3月15日(日曜日・現地時間)午前の時点で、13日~15日の週末興収は5,530万ドルとなる見込み。これに匹敵する数字を前回記録したのは、2000年9月の5,450万ドル。2001年9月、アメリカ同時多発テロが発生した直後の2週末も6,630万ドル・5,970万ドルという今回を上回る成績だった。なお、発表された成績は確定版ではないため、やや数字が上向きとなる可能性も、さらに低い結果となる可能性も残されている。
背景には、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、アメリカでも映画館の閉鎖が始まっていることがある。すでにペンシルベニア州とニュージャージー州では映画館の閉鎖が求められているほか、ニューヨークやシアトル、ボストン、フィラデルフィア、ワシントンD.C.、メリーランドでも閉鎖が確認されている。15日(現地時間)午前の時点で、全米6,000館近い映画館のうち、すでに100館以上が閉鎖されたということだ。
週末ランキングの第1位は、ディズニー&ピクサー最新作『2分の1の魔法』(日本近日公開)。米国公開後2度目の週末となったが、前回から73%下落して興収1,050万ドルとなった。下落率は『アーロと少年』(2015)の59%を抜き、ピクサー史上最も厳しい数字。専門家は、本来あるべき週末成績よりも25%ほど低いと推定している。なお、10日間の米国興収は6,030万ドル。海外興収も、ヨーロッパやアジア圏における映画館の閉鎖などで順調とは言いがたい状況だ。
『2分の1の魔法』に続いたのは、「リバーデイル」(2017-)のK・J・アパ主演による青春映画『I Still Believe(原題)』の950万ドル、ヴィン・ディーゼル主演のヒーロー映画『Bloodshot(原題)』の930万ドル。事前の予想と比較して、どちらも少なくとも100万ドルほど低い滑り出しとなった。これらに続くのが、米国では3度目の週末となった『透明人間』(5月1日日本公開)の600万ドル(下落率60%)。公開延期を経て初登場となった『The Hunt(原題)』は530万ドルでのスタートとなった。そのほか、ともに2度目の週末を迎えたベン・アフレック主演『The Way Back(原題)』とアニャ・テイラー=ジョイ主演『Emma(原題)』は、前者は240万ドル(下落率70%)、後者は140万ドル(下落率71%)という数字となっている。
なお現在、日本国内と同じく、アメリカの映画館でも観客同士の距離を確保すべく入場者数の定員を減らすなどの策が講じられている。今後も映画館の閉鎖が広がる可能性があるほか、大作映画の公開延期も相次いでおり、上映作品が不足する状況にもなりそうだ。新型コロナウイルスをめぐる状況によっては、このまま甚大なダメージが継続する可能性も高い。
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Source: The Hollywood Reporter