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【解説】「ホワット・イフ…?」スティーブの声がクリス・エヴァンスではなかった理由、代役を担当したのは?

ホワット・イフ…?
(C)2021 Marvel

マーベル・スタジオが手がけるマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)初のアニメーション作品「ホワット・イフ…?」の第1話がついに公開された。第1話『もしも…キャプテン・カーターがファースト・アベンジャーだったら?』では、そのタイトル通り、スティーブ・ロジャースがキャプテン・アメリカにならない世界線が描かれている。

本シリーズでは、MCU映画に出演した俳優の多くが本国版の声優としてキャラクターを再演しており、『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)でMCUを卒業したクリス・エヴァンスもスティーブ役で帰ってくるかと思われたが、そうはならなかった。本シリーズでのスティーブは、エヴァンスに似た声のように感じられたが、エヴァンスの代役を担当した人物とはいったい誰だったのか。そして、多くの俳優が役を再演しているなか、エヴァンスはなぜ出演しなかったのか。本記事では、この2つの疑問について掘り下げていきたいと思う。

本記事には、「ホワット・イフ…?」第1話に登場するキャラクター名が記載されています。

スティーブ役の声優は?

「ホワット・イフ…?」は、第1話から豪華なMCUキャストが帰ってきた。ペギー・カーター役のヘイリー・アトウェルをはじめ、エイブラハム・アースキン役のスタンリー・トゥッチ、チェスター・フィリップス役のトミー・リー・ジョーンズ、アーニム・ゾラ役のトビー・ジョーンズ、ハワード・スターク役のドミニク・クーパーら、『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』(2011)からのキャストが勢揃いしたのである。その後のMCU作品にも登場し続けているバッキー役のセバスチャン・スタンやニック・フューリー役のサミュエル・L・ジャクソンも名を連ねた。

しかし、『キャプテン・アメリカ』シリーズの主人公であるスティーブ役のクリス・エヴァンスは、声優としての再演はしていない。代役を務めたのはアメリカ出身の声優、ジョシュ・キートン。2008年に始まったアニメシリーズ「スペクタキュラー・スパイダーマン」(2018-2019)でスパイダーマン/ピーター・パーカーを演じたことで知られている。ほか、アニメ「マーベル スパイダーマン」(2017-)ではノーマン・オズボーン役の声を担当するなど、マーベル作品に慣熟した人物だ。

キートンの出演がどのようにして決まったのかは定かでないものの、30年以上のキャリアを持ち、かつマーベル作品に出演歴のある彼であれば起用されても何ら不思議ではない。もっとも、ベテランのキートン自身、MCUの人気キャラクターの代役を担うにあたってはプレッシャーも感じていたようで、第1話配信開始後には、自身のTwitterで心境を明かしていた。

「『ホワット・イフ…?』で僕がクリス・エヴァンスの穴を埋めたことに対して、たくさんの前向きな反応をいただきました。本当に感謝です。僕自身、オタクでして、コミックのファンです。ただ、(声が)変わることがどれだけ特殊なことかも知っているつもりです。参加にあたっては間違いなく重責を感じていました。今回はちょっとやせ細っていたバージョン(のスティーブ)だったのが救いでしたね。」

クリス・エヴァンスが再演しなかったワケ

疑問の余地が残るとすれば、なぜエヴァンスがスティーブを演じなかったのか、ということだろう。米Uproxxに「ホワット・イフ…?」で監督を務めるブライアン・アンドリューが話したところによれば、エヴァンスを含め一部のMCU俳優たちが本シリーズで再演しなかった理由には、スケジュールの都合が大きく関係しているようだ。アンドリューは「彼らは皆、卓越した才能の持ち主です」としながら、「彼らにはいろんな予定がたくさんあって、たぶん全員に再演してもらうのは無理だと思ったんです。スケジューリングが本当に難しくて」と語っている。

MCU卒業後は、比較的ゆったりとした時間を過ごしていた様子のエヴァンスだが、2021年に入ってからは俳優活動に再びギアを入れ始めた。2021年3月には、『アベンジャーズ』シリーズでタッグを組んだジョー&アンソニー・ルッソの新作アクション『Gray Man(原題)』の撮影に入り、終了したのは同年8月上旬。この期間は始終、同作に傾注していたようだ。ほか、エヴァンスは2020年12月に発表された『トイ・ストーリー』バズ・ライトイヤーの単独映画『Buzz Lightyear(原題)』でタイトルロールの声優を担当することが決まっているため、同役の役作りの準備も並行して行う必要があったはずだ。

やはり多忙なエヴァンスだから、アンドリュー監督も話しているように再演できなかった要因はスケジュールの都合なのだろうか。しかし、本シリーズの製作時期に注目してみると、必ずしもスケジュールだけが原因であるわけではなさそうだ。というのも、本シリーズのアフレコ作業は、2019年8月から遅くとも2020年上半期まで行われていたことが判明しており、『Gray Man』や『Buzz Lightyear』の撮影・収録が始動するよりも前の期間にあたるからである。

もちろん、エヴァンスが関与しているのはこの2作品だけではないが、もしかするとエヴァンスには、長年演じ続け、有終の美を飾ったキャプテン・アメリカ/スティーブ・ロジャースを再演できない別の理由があったのかもしれない。2019年11月、エヴァンスは再演について「絶対やらないわけでも、すごくやりたいわけでもない」と話しながらも、『エンドゲーム』までで築かれたキャラクターの財産を「台無しにしてしまってはもったいない」がゆえに、当面は再演できないと語っていた。2021年1月にはエヴァンスがキャプテン・アメリカ役でMCUに復帰するという報道が出されたが、これは後にマーベル・スタジオ社長のケヴィン・ファイギによって否定されている。

ちなみに、エヴァンスのほか本作で再演していないMCU俳優として、アイアンマン/トニー・スターク役のロバート・ダウニー・Jr.やドラックス役のデイヴ・バウティスタ、スパイダーマン/ピーター・パーカー役のトム・ホランド、ブラック・ウィドウ/ナターシャ・ロマノフ役のスカーレット・ヨハンソン、ガモーラ役のゾーイ・サルダナ、スカーレット・ウィッチ/ワンダ・マキシモフ役のエリザベス・オルセンらが挙げられる。

Source:Uproxx,THR(1,2

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SawadyYOSHINORI SAWADA

THE RIVER編集部。宇宙、アウトドア、ダンスと多趣味ですが、一番はやはり映画。 "Old is New"という言葉の表すような新鮮且つ謙虚な姿勢を心構えに物書きをしています。 宜しくお願い致します。ご連絡はsawada@riverch.jpまで。

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